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プロローグ
遠い遠い昔。
ある世界での話。
緑ひとつもない広野に、その男は小さな苗木を植えた。
大切に。
大切に。
いつか、この地が緑にあふれることを夢見て。
その男には、苗木がほほえんだように見えた。
その男の意思を宿した苗木は、やがて若い樹へと成長し、たくさんの苗木を生み、いつしか、「母なる樹」と呼ばれるようになった。
その男の意思を受け継ぐ者たちに見守られながら、長い長い時間を経て、「母なる樹」は、小さなふたつの命を生み出した。
そして、遙か遙か、再生の未来へと、物語はつながる。