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猫の国  作者: ねこじゃ・じぇねこ
EPILOGUE
35/35

Ω

 生まれて初めて見たのは少女だった。

 ボクを照らす明かりのような少女。

 ボクに体をくれて、ボクに性格をくれて、ボクに全てを与えてくれる彼女。だけど、ボクは、その影になるしかないんだ。そう思うと、とても哀しかった。

 ――生まれてこなきゃよかったのかな。

 そんなことを言う彼女が哀しかった。

 そんな事を言わせる自分が悔しかった。

 だけど、ボクはボクとして生まれてしまったからには、どうしようもないんだ。

 だから、ボクは、ボクとして、ボクであり続けながら、どうにか少女を生かさなくてはならないんだ。彼女の影として、彼女の影の存在として、彼女を覆う闇から、守ってあげなくてはならないんだ。そして、ボクを焦がしてしまう強すぎる光からも、守って貰わなくてはいけないんだ。

 こうして、ボクは少女を支える存在として、少女と一緒に生き続ける存在として、一緒に居なくてはならないんだ。

 ボクは消えない。きっと。消えない。

 だから、そうするしか、そうするしか、共倒れしない道はないんだ。

 ――生まれてきたのには意味がある。

 だから、ボクはこの少女の生を繋ぐために、影になる。ボクの世界の全て。

 そして、ボクの存在そのものを司る彼女を、内部から保たせるのが、ボクの存在意義なんだ。だから、ボクが消える時は、彼女が消える時。

 光と影なんて、そういうものでしょう。

 真っ暗な闇に包まれるのも、煌々とした強すぎる光に飲みこまれるのも、全てが怖い。怖い。怖い。けれど、そんな怖さを、増長させてはいけない。

 増長させてしまえば、少女を支えることなんて出来ないんだから。

 ――ありがとう、バツ。

 ボクの光、ボクの半身が、そう言ってくれる。

 それだけで、ボクは十分だった。

 光と闇。

 ボク達は、二人で一つ。

 だから、ボクはマルを支え続けられる。


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