Ω
生まれて初めて見たのは少女だった。
ボクを照らす明かりのような少女。
ボクに体をくれて、ボクに性格をくれて、ボクに全てを与えてくれる彼女。だけど、ボクは、その影になるしかないんだ。そう思うと、とても哀しかった。
――生まれてこなきゃよかったのかな。
そんなことを言う彼女が哀しかった。
そんな事を言わせる自分が悔しかった。
だけど、ボクはボクとして生まれてしまったからには、どうしようもないんだ。
だから、ボクは、ボクとして、ボクであり続けながら、どうにか少女を生かさなくてはならないんだ。彼女の影として、彼女の影の存在として、彼女を覆う闇から、守ってあげなくてはならないんだ。そして、ボクを焦がしてしまう強すぎる光からも、守って貰わなくてはいけないんだ。
こうして、ボクは少女を支える存在として、少女と一緒に生き続ける存在として、一緒に居なくてはならないんだ。
ボクは消えない。きっと。消えない。
だから、そうするしか、そうするしか、共倒れしない道はないんだ。
――生まれてきたのには意味がある。
だから、ボクはこの少女の生を繋ぐために、影になる。ボクの世界の全て。
そして、ボクの存在そのものを司る彼女を、内部から保たせるのが、ボクの存在意義なんだ。だから、ボクが消える時は、彼女が消える時。
光と影なんて、そういうものでしょう。
真っ暗な闇に包まれるのも、煌々とした強すぎる光に飲みこまれるのも、全てが怖い。怖い。怖い。けれど、そんな怖さを、増長させてはいけない。
増長させてしまえば、少女を支えることなんて出来ないんだから。
――ありがとう、バツ。
ボクの光、ボクの半身が、そう言ってくれる。
それだけで、ボクは十分だった。
光と闇。
ボク達は、二人で一つ。
だから、ボクはマルを支え続けられる。




