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猫の国  作者: ねこじゃ・じぇねこ
EPISODE【1】 ホーム
2/35

1.


 ぼんやりと、夢を見ていた。

 なんの夢かなんて聞かれても、誰かに教えることが気恥ずかしい夢。だって、夢っていうものは、無秩序で、とりとめもなくて、子どもっぽい考えがそのまま現れていたりするのだもの。夢は、冒険する夢。

 一人で? いいえ、二人。わたしとバツという少年と二人。バツの姿はわたしには見えない。見えないけれど、一緒に居る。わたしとバツはそういうものなんだ。

 わたしの名前はマル。

 わたしは冒険者マルになって、たくさんの異世界に行く夢を観た。バツと一緒に感じて、バツと一緒に学ぶ。まだまだ未熟なわたし達だけれど、二人ならば大丈夫。二人ならばやっていける。そう信じて、それを力にして、わたし達は先へと進んでいく。

 そういう夢だった。

 どうしてこんな夢を観たのかな?

 『夢は心の反映。もしくは、何かのお告げ』

 今の声は、バツの声。バツは声しか聞けない。だけど、傍に居るのは確実。わたしとバツはいつも一緒。でも、わたしとバツが一緒に居る事を知っている人は、あまりいない。言いふらしても、信じて貰えないから。気持ち悪いって思われちゃうから。

 『夢は理想の姿。ここなら何でも出来るんだよ』

 それなら、バツ、姿を見せてよ。わたしに姿を見せてよ。

 一人じゃない。わたしにはバツがいる。それはとても幸せな事。けれど、独りを感じることはある。どうしてだろう。なんでなんだろう。なんでわたしは独りを感じることがあるのだろう。その疑問の答え。その一つが、バツだった。

 わたしは、バツを見たい。もっとバツを感じてみたい。

 『いつもマルと一緒に居るよ』

 バツはそう言って、うろちょろと動く。わたしのすぐ傍に? それとも、遠くに?

 姿が見えないと、分からない。

 『とにかく今は、目を覚ましたらどうかな?』

 目を覚ます? どうしてだろう。

 その時、わたしは遠くで誰かが呼んでいるような気がした。マル、マル、と、声が響く。冒険を続けていたこの夢の空間で。いや、そうではなくて、もっと違う場所で。もっと身近な場所で。もっと……。

「マル!」

 はっと目を覚ます。ああ、ここは。……教室?

「マル?」

 寝ぼけ眼のわたしを睨んでいるのは、このクラスの担任の先生。若い女の先生。

「睡眠学習もほどほどにしなさい」

 先生は呆れ顔でそう言った。

ああ、やってしまった。

 そう分かったのは、クラスメイト達がくすりと笑った後だった。


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