我検索中されど思考中 プロローグ
見るばかりで自分でもできないかと考え、書いてみようと思いました。
なにぶん始めてで間違えたりおかしかったりすると思いますがよろしくお願いします。執筆速度は不定期ですががんばります。
秋の山道を歩く、連なり荷を担ぎ、一歩一歩富士山の麓を歩く、岩がゴロゴロと転がる道を歩く。
荷物は二日分の衣類、防寒着、軽い食料と水等必要な物、重量は10キロはあるかどうか、ただ重い。
自衛隊で隊員に訓練でなにが嫌かって聞くと、十中八九は行軍っていう、40キロ近くを目的地まで歩く
これが訓練検閲だとさらに目的地に着いた後に陣地を掘ったり、戦闘訓練をしたりと正直泣き事を言いたくなる時もある。
今自分は訓練検閲で富士山を登山中、富士山のさらさらした火山灰の道は体力と気力を奪っていく。
現工程はまだ半分を越えた所だ、正直眠い、行軍は基本夜間に行う。今は夜の2200を過ぎた頃である。強力な睡魔が襲いかかってくる。
眠い、眠い、眠い、眠気で今自分がどこを歩いているのかわからなくなるのもしばしばある。
歩調が遅れ、自分の小隊と思ったら別だったという笑い話も多々ある。光の無い道、光源は夜空の星と月のみ、それも乏しい。
時折、闇が目の前を包む時もある。何も見えない目をつぶっているのと何も変わらない状態、唯一見えるものは薄く光る前方の隊員の鉄帽に付いている蛍光塗料のシールのみ、それ以外なにもない。
そんな闇の道を行く、足の裏の感触を感じ並行感覚が麻痺してないかを確認する。ふと前方から声がある、前方に地割れあり気おつけろ、
了解と小さく返事を前方隊員に返し、注意深く進む、小さな地割れは富士山の道には結構ある。昼間なら気づいてよけるが夜の眠たい時はまず間違いなく注意散漫で足をひっかける。そのため隊員相互での注意喚起が必要となってくる。
地割れを避けさらに進む、道はまだ半ばだが眠気がきつい、前方の隊員も同じなのか時たま横にふらふらと揺れる。あーありゃ眠りながら歩いてるな、内心思いながらも自分もそうなりそうで怖い。
眠い、眠い、眠い、眠い。。。眠。。。。。。
ずるとした足の感触と同時にぱっと目があく、一瞬の浮遊感、しまったという舌打ちがでる。
暗転、内心これはやばいぞ道から転げ落ちたかと思う。
富士山の行軍道はガードレールなんて物はない、標高が高くなれば結構きつい傾斜もある登って横をみると横は崖なんてのはざらにある。そして、多分今がその状況だ。
転がり落ちる、衝撃は左腕、頭、体と順にきた、痛い、痛い、j鈍痛と激痛が交互に襲いかかり顔に土と小石がぶつかる、脳みそが沸騰する感覚、死を意識する、そして、また一時の浮遊感が襲いかかる。
長い、俺はそんな高い所から落ちたのか?
時間的に10秒程を走馬灯の様に長く感るそして待っていた衝撃が走る。
しかし、きた衝撃は思った以上に軽い、最初の時の衝撃の方が痛かった位だ。
最初に感じた感触は草だった、火山灰の感触ではない。一体どうゆうことか?正直狐につままれた気分だ。
あの浮遊時間的に考えて、落ちた高さは100メートル位と思う。なら今俺は死んでなきゃならない。
課業中の事故死、多分新聞にのって色々マスコミが騒ぐだろうなと思いつつも生きてる現状を把握する。
小銃よし、背嚢よし、装具よし、体の状態、特に異常なし、手が少しすりむけて血が出てるくらいだ。
一応小銃の点検も行う。各部をチェックしたが以上はなかった。
どうなってるんだ?全く状況が見えてこない。
今、俺はどこにいるのだ?
混乱した頭で考えつつとにかく中隊と合流しなくてはと思い周りを見渡す。
見えたのは原生林の様な、森、森、森、背後は落ちてきた斜面である。斜面は傾斜が約45度その上サラサラな火山灰、これでは登れる筈がない。
考えたのは取り敢えず斜面側を迂回しながら進み登れる所か大きな道まで出る。そうすれば、近くにいる支援でいる隊員と連絡が取れるかもしれない。
また、車両のライトは点灯してるので今いる位置を特定できるかもしれない。淡い期待を抱きつつ取り敢えず、原生林の森を斜面側になぞりながら前進する。
20分程歩いたのかようやく道にでる。原生林の道と比べはるかにましな道に感激しつつ、周りにいるハズの支援隊員の車両と歩いている隊員の光源を探す。
しかし、一時間近く道を歩くが人っ子一人いない。というより光源が全く確認出来ない。
どうなってるんだ?状況が解らない。わかるのはここはもうかなり標高が低いという事と山を抜けたということだ。
周りは原生林が切り開かれた道、周囲には雑草が青々と茂り、人の背を越えるものがごろごろとしている。なのにおかしい、なにかがおかしい、恐怖が這いよってくる。
今歩いているこの道幅は広い、それに状況的にもう大分下山しているはずだ。
なら、なぜと思い、恐怖の理由に行き着いた。
標識だ、標識がない。それにライトがないのに明るい。頭が動いていなかったとしかいいようがない。
富士山の道は結構標識がある。演習場内にも普通にある、ないと迷うからだ。
なのにその標識がない、ならこの道はなんだ、どこに向かっているんだ。恐怖が背中を刺す。
恐怖からか一旦大休止して体を休め、頭を回転させる。ライトも規制を破り光光と灯す。
頭を回転させ状況を整理していく。今自分が置かれていく状況を整理しておかしい箇所を探す。
まず、標識だがもしかして自分が知らないだけで標識がない道もあるのかも知れない。次に光源だが単に地形的に見えないだけかもしれない。次に明るさだが自分が気絶でもしてその間に月がでてきただけだ。
よし、状況は整理された。妄想は全部自分の恐怖心からきたものだ、整理して考えれば何も問題はない。
後は、救助されてみんなからボロクソに文句と嫌味を言われるだけだ。結構考えると憂鬱だ。
さて、考えも纏まったし早く、味方を見つけなければ。
重い体を上げてまた道を進む、すると少しして火山灰混じりの砂利道が土混じりの砂利道に変わり森も開け始めた。
よし、これで後は駐屯地まで行けばいいそうすれば万事解決だ。
さっきまでの足取りと比べ軽くなった足で進む。そして、そこにあったものは。。。。。。
困惑と恐怖だった。




