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ギターが恋人の男子高生には現実の恋人なんてできない(と思っていた)  作者: エルんぐ
第1章 嘘をつかない音

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第10話 音の下で

澪がスティックを軽く鳴らした。


さくらがマイクを持ち直す。


悠はベースを構えて、ネックを軽く握る。


そして、健太郎が言う。


「じゃ、いくか」


澪のカウント。


カッ、カッ、カッ、カッ。


ギターが鳴る。


ドラムが入る。





その下に――ベース。


低音がゆっくりと流れ始める。


前よりも、音がまとまっている。


ドラムとベースが土台になって、その上をギターが走る。


そこへさくらの声が乗る。


四つの音が、自然に重なっていく。







曲が終わる。


最後のコードが伸び、音楽室に余韻が落ちる。


少しだけ静かになったあと。


健太郎がぽつりと言う。





「……なんか」


ギターを肩にかけ直す。


「安定してんな」


澪が短く言う。


「ベース」


さくらがすぐに指をさす。


「それだ」


悠は少しだけ笑う。


「そうかな」


健太郎が首を振る。


「いや、そうだろ」


「さっきより全然まとまってる」


澪もうなずく。


「リズムも安定してた」


悠はベースを軽く弾いた。


ポン。


「健太郎がギターのボリュームを少し絞る。


アンプから小さくノイズが鳴る。


澪がスティックを軽く鳴らした。


カッ、カッ。


さくらがマイクを持ち直す。


悠はベースを構えて、ネックを軽く握る。


健太郎が言う。


「じゃ、いくか」


澪のカウント。


カッ、カッ、カッ、カッ。


ギターが鳴る。


ドラムが入る。


その下に――ベース。


低音がゆっくりと流れ始める。


前よりも、音がまとまっている。


ドラムとベースが土台になって、その上をギターが走る。


さくらの声が乗る。


『一瞬止まっても また鳴らせばいい』


四つの音が、自然に重なっていく。


曲が終わる。


最後のコードが伸び、音楽室に余韻が落ちる。


少しだけ静かになったあと。


健太郎がぽつりと言う。


「……なんか」


ギターを肩にかけ直す。


「安定してんな」


澪が短く言う。


「ベース」


さくらがすぐに指をさす。


「それだ」


悠は少しだけ笑う。


「そうかな」


健太郎が首を振る。


「いや、そうだろ」


「さっきより全然まとまってる」


澪もうなずく。


「リズム、揺れない」


悠はベースを軽く弾いた。


ボン。


「ありがとう」


少し照れたように笑う。


「でも、そんな大したことないよ」


さくらが腕を組む。


「いやいや、普通にうまいって」


「悠ってさ、いつからベース弾いてるの?」


悠は少し考える。


「中学くらいかな」


「兄が昔やっててさ」


ネックを指でなぞる。


「家にベース置いてあったんだよね」


「なんとなく触ってたら、そのまま続いてた感じ」


健太郎が言う。


「へえ」


「じゃあ結構長いな」


悠は肩をすくめる。


「まあ、そうなるね」


さくらが言う。


「だったらさ」


「なんで今までバンドやってなかったの?」


悠は少し考えてから答える。


「うーん」


窓の外をちらっと見る。


「一人で弾くのも結構好きでさ」


それから、少し笑う。


「あと軽音部って人多いでしょ」


「ちょっと苦手で」


澪が小さく言う。


「わかる」


健太郎が笑う。


「澪が言うと説得力あるな」


さくらは少し首をかしげる。


「でもさ」


「じゃあなんで来たの?」


悠が健太郎のギターを見る。


「昨日」


少し間を置く。


「廊下で聞こえたんだ」


健太郎が眉を上げる。


「Re:start?」


悠はうなずく。


「うん」


「いい曲だと思った」


さくらがニヤッとする。


「でしょ?」


悠が笑う。


「うん、そう思った」


健太郎がギターを持ち直す。


「じゃあさ」


アンプのスイッチを少し上げる。


「もう一回やるか」


澪がスティックを構える。


カウント。


カッ、カッ、カッ、カッ。


ギター。


ドラム。


ベース。


四つの音が重なる。


さっきよりも自然に。


低音が曲を支える。


ドラムと絡みながら、ギターを前に押す。


その上に声が乗る。


曲が進む。


音がぶつからない。


四つの音が、それぞれの場所で鳴っている。




サビ。


音が一気に広がる。


音楽室の空気が震える。





最後のコード。


余韻。


しばらく誰も喋らない。


さくらが小さく笑う。


「やっぱりさ」


健太郎を見る。


「ベースいるね」


健太郎も笑う。


「当たり前だろ」


澪がスティックを机に置く。


その時悠はベースをスタンドに戻しながら言った。


「なんか」


三人が見る。


悠は少し考えてから、穏やかに笑う。


「バンドって」





「思ったより楽しいね」


さくらが言う。


「でしょ?」


音楽室に、四人の笑い声が少しだけ広がった。

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