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現代に残る聖杯伝説について  作者: 乙黒


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失踪事件について

 失踪事件について。

 現在、××市において、何人かの行方が分からなくなっている事件が起こっているようです。ただ共通点などはなく、ただの家出だろう、と思われている件も数多くあるようだ。その中で一つ、奇妙な失踪事件があるらしい。


 これはその失踪した中年男性の姪の記録です。


 私はおじさんがいなくなったのを只、仕事に疲れたのだと思いました。おじさんはいつも仕事で忙しそうにしていましたから。働いていたのは町工場ですね。自動車の部品を作っているらしいです。と言っても、それ以上の詳しいことは知らないんですけど。


 叔父さんはいつも疲れた顔をしていました。残業が多かったみたいです。それに結婚もしていないそうで、姉である私の母には時々ぼやいていたみたいなんです。ああ、結婚すればよかったかな、って。今は帰っても一人、仕事に活力が生まれるわけでもないし、優勝区はコンビニ弁当を食べるだけ。疲れもとれはいないよ、って嘆いていました。


 私から見れば、こう言ったら失礼かもしれませんが、冴えない大人でした。そんなにかっこよくない見た目は小太りの叔父さんですし、眼鏡もかけています。隈も酷くて、喋るのもいつもたどたどしいです。私にとっては、それほど好ましい見た目ではありません。だから私はその叔父さんのことをあまり好きではありませんでした。


 ですが、ある日を境に変わったらしいです。これまで脂肪に溢れていた体は変わって筋肉質になって、肌も白から色黒に変わりました。見た目が十歳以上も若返ったように見えたんです。黒いサングラスをかけていて、いつも笑うようになりました。私の母と年が近いはずなのに、私より少し上のような見た目に変わったのです。

 服装も当然変わっていましたよ。これまではジャージか作業着だったのが、いつのまにかアロハシャツとハーフパンツを着こなすようになっていました。少しかっこいいと思ったのは母にも言っていません。


 叔父さんの人生はいい方向にむかったみたいです。

 彼女も出来たと言っていました。それはそうですよね。見違えるようにかっこよくなったんですから。ニ十歳ほど離れた彼女だそうで、化粧は少し派手でしたがとてもきれいな女性でした。お酒の席で知り合った、と後から母に聞きました。

結婚するの? と私の母が聞いてみたらその気はあったみたいです。仕事もうまく行っているみたいなんでね。

そうなんですよ。叔父さんは見た目が変わってから、工場の売れ行きもよくなったらしいです。どうやら大きな受注案件が入って、それで会社全体が潤ってより大きくする話まで出たらしいです。叔父さんはそんなことをとても嬉しそうに母に言っていました。


またある時は母に少し高そうなお肉をプレゼントしていました。どうやら小金を手に入れたみたいです。叔父さんは昔からパチンコ屋競馬が好きで、たまに賭けに言っていたみたいですが、最近はよく勝っていると言っていました。どうやら付けているサングラスもブランドもの、首のネックレスも有名なブランドで高価なものだった、と私の母は言っていました。お金に余裕があるから、お肉を狩ってくれたみたいです。その日の夜のすき焼きはとても美味しかったです。


 母は、そんなふうに叔父さんが変わったきっかけを聞いたのですが、教えてくれなかったみたいです。

叔父さんは秘密だと言っていました。ですが努力したんだと思います。人生を変える為に。そうじゃないとあんなにも変わりません。本当に別人になったようなんです。


 そんな人生絶好調にいた叔父さんは、オレンジの霧が私を呼んでいる、と最後に私の母に次げたらしいです。それからいなくなりました。職場にも来なくなったと工場長は嘆いていました。警察も探してくれたみたいですけど、分からないって言ったようです。おそらくですけど、お金が出来て彼女もいるから、どこかに旅にでも行っているか、逃避行しているんじゃないか、って言っていました。


 私も少しそう思いましたが、母が急にいなくなるなんて、と心配しているようです。もしも私の叔父の行く先について、知っている人がいれば教えてくれると幸いです。

 そう言えば、オレンジの霧って、この町によく出るらしいですね。私も一度見かけました。すぐに消えましたけど。

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