第2話
「…そっか。」
リーシャが俯いてそう言った。
すると続けて、
「ねぇ、ロレン。ほんとに勇者になるの?」
「あぁ。そうだ。」
ロレンスは毅然とした態度で返事をした。
「私、あなたと話したいことがあるの。ちょっと二人で話したい。」
リーシャは、少し驚いた顔をしていた。
「わかった。じゃあ、星が綺麗に見えるあの丘の上のところで話すか。」
彼らは村外れの丘の上で隣合って座った。
「こうしてると昔の頃を思い出すね。」
リーシャは星が降る暗い空に手を伸ばしてそう言った。
「うん。」
ロレンスは頷いた。
「ロレンはいつもビビりで弱虫で、虫が出たらすぐに私の後ろに隠れてたのに、いつの間にか君の方が立派になっちゃった。」
リーシャは笑いながらどこか寂しい顔をしながらそう言った。
そして、二人の間にしばらく沈黙が続いた。
「………」
「ねぇ、ロレン?勇者になって何がしたいの。」
リーシャは遠い目をして聞いた。
「…追いつきたい人がいるから。」
ロレンスは幼なじみの目をみて心を込めて言った。
「ふーん、そ。」
リーシャはロレンスの気持ちに気づくことなく素っ気ない返事をした。
以降、ロレンスは受験に向け勉強と剣術に励む忙しい日々を過ごし、リーシャとは話すことはなかった。
そうして、ロレンスは日々の努力が実り、リーシャと同じ剣術魔法学校に、入学することが許可された。
剣術魔法学校は16~19才までの人が通ういわば高校のような存在であり、全寮制で貴族が中心で入学をする。
然し、この学校は実力主義のため、試験での結果でしか判断されない。徹底された実力主義を守っているからこそ、300年以上、王国を保ち続けることが可能であった。
ちなみに、貴族の入学が中心なのは庶民より教育が優れているためである。
ロレンスは両親やお世話になった村人に挨拶を済ませた。そしてリーシャとともに剣術魔法学校へと向かった。道中、リーシャとロレンスは何気ない会話をして過ごした。
とにかく勇者にならねば。
ロレンスはそれだけを考え、1年生を終えた。
2年の春、事態は変わる。
―それは剣術魔法学校で勇者になれるか選別の儀式の時だった。 儀式では2年になったものが一人一人、剣の前に立つ。そして、台座から剣を抜くかどうか、校長に問われることになる。
もし、伝説の剣が抜けたら勇者になれる。
その剣の名は
―破王の剣
魔王を封印した勇者以降その剣を抜いたものは1人もいない。
そのため性能は不明だ。
しかし、その剣は力なき者は触ることすらできず、触れたとしても抜こうとして、魔力と生気を吸われ無理死亡するため、触れられるものもいたが、決して抜こうとはしなかった。
そうして、ロレンスの番になり、校長は問うた。
「あなたはこの剣を抜きますか。」
ロレンスは迷うことなく答える。
「はい、抜きます。」
前に100人以上が抜かない選択肢をした中、その代で初の挑戦者となった。
みなが驚きの歓声をあげるなか、ロレンスが剣の柄を両手で掴むと鎮まりかえる。
総勢400人がロレンスを静かに見守る。
「ぐっ」
ロレンスは身体中に力を入れ「破王の剣」を抜こうする。
そして伝説の剣の噂は本当であり、ロレンスはここで抜く選択をしたことを後悔する。
自分の少ない魔力は一瞬で吸われ、生気がなくなりどんどん倦怠感が強くなっていく。
しかし、確実に剣は抜かれていく。
―ついに、剣は台座から離れた。




