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第5話 初めての武器選び

 ギルドに戻ってくると、俺とリムはまっすぐ受付へ向かう。

 受付嬢は俺たちの姿を見て、ほっとしたような顔をした。


「おかえりなさい。無事でよかった……あら?」


 俺が腰袋から角を取り出すと、彼女の表情が固まった。

 1本、2本、3本……7本。

 机の上にじゃらじゃらと並べると、受付嬢の目が見開かれる。


「戻りました。ツァドリゼ平原でのゴブリン討伐のクエストの報告です」


「僕の分も頼むよ」


 そう言うと、リムがゴブリンの角を2本追加した。


「……えっ、角が9本? お二人で?」


「そうだよ。僕が二匹で、クロノが七匹」


「えぇ!?」


 今度は完全に絶句している。

 周りの冒険者たちも、何事かとこちらを見ている。


「あ、ああ、すみません……そ、それでは……。えぇっと、討伐後に追加で受注できる仕組みがありますので、九匹分のクエスト達成扱いにさせていただきます!」


 へぇ、そんな制度があるのか。

 受付嬢は慌てたように書類を取り出し、カリカリと記録を始めた。


「──ではランクポイントのご説明を。クロノさんは、昨日のゴブリン一匹で1ポイント、本日の七匹で7ポイント、合計8ポイントです。リムさんは、昨日で1ポイント、今日のゴブリンで2ポイント、それから、スライムの討伐で5ポイント。合計8ポイントになります。お二人とも合計8ですので、”中級昇格クエスト”を受注可能になります」


 もう昇格クエスト……

 いやでも、きっと上のランクのクエストの方が報酬が良いはずだし。


「今日の報酬ですが、クロノ様はゴブリン討伐で銀貨7枚、角7本で銅貨7枚になります」


 受付嬢が手際よく金を数え、俺に手渡してくれた。

 昨日の残りと合わせると、銀貨7枚と銅貨8枚か、一日で随分と稼げるようになったぞ。


 ギルドを出ると、リムが俺のボロボロになった剣と盾を見て苦笑した。


「武器を買い直さないとね。僕の知ってる武器屋があるから、一緒に行かないかい?」


 あ、そうだった。

 スライムの酸で溶けてしまった剣と盾を新調しないといけないな。


「ぜひ、お願いします」


 リムに案内されて、大通りから一本入った路地にある店に行くことに。

 看板には『ゴルトラン・アームズ』と彫られている。

 扉を押して中に入った瞬間──


「うわっ!」


 入口の横に、岩の巨人が立っていた。

 身長二メートルは優に超える巨体。

 全身が灰色の石でできていて、目の部分だけが赤く光っている。


「ゴ、ゴーレム!?」

「ああ、護衛用だよ。ゴルトラン系列のお店は警備にゴーレムを使ってるんだ」


 リムが平然と言うが、心臓に悪いぞ……

 でもよく見ると、胸元に「いらっしゃいませ」と書かれた札がついている。かわいい。


「いらっしゃい」


 カウンターの奥から、無愛想な声とともに無精髭の男が出てきた。

 目つきは鋭く、口数は少なそうだ。

 店主は俺たちのギルド証を一瞥すると、ふんと鼻を鳴らした。


「初級か。なら、こっちだ」


 案内されたのは、店の片隅の木箱コーナー。

 そこには木箱がいくつも置かれていて、中には剣が何本も無造作に突っ込まれていた。


「これは……」


 剣についてそんなに詳しくない俺でも分かる。

 こりゃかなりの粗悪品だぞ……。


「一本銅貨5枚だ。好きなの選べ」


 銅貨5枚か。

 アヤネさんの宿屋1泊分と同じと考えたら、安い。

 いやー、安いが、命を預けるには心許ないよなぁ。


「あの、もう少し予算があるんですが」

「ほう……いくらだ」

「銀貨7枚です。できれば剣と盾、両方が欲しいんですが……」


 男の目つきが、少しだけ変わった。


「ほう。じゃあ少しはマトモに案内してやる。こっちだ」


 奥の棚へと案内される。

 そこには、”ちゃんとした”武器が並んでいた。


 剣に短槍、ハンマー、弓──カテゴリー別に整然としている。

 さっきの木箱とは雲泥の差だな。


「剣を探してるんだったな。振ってみろ」


 促されるままに、一本、また一本と素振りしてみる。

 重さ、バランス、握り心地──思った以上に一本一本違う。

 ──ぴたりと手に馴染む感覚があった。

 軽すぎず重すぎず、振った時の風切り音も心地いい。


「それがしっくりくるのかい?」


「そう、ですね。何となくなんですが」


「そんなもんだ。その剣はステアライトで造られているから腐食にも強い」


 そうか、握った感触も大事だけど、当たり前だけど性質も大事だよな。

 でも腐食に強いなら、スライムの酸にも強いってことだし、ちょうどいい。


「剣はこれにします!」

「銀貨4枚」


 四か。ごくり。

 いい値段だが、剣は生命線だ。

 俺は頷いた。


「盾は? 希望はあるか?」

「スライムの酸に溶かされたので、酸に強いやつがいいんですが」

「酸耐性か……こっちだ」


 店主が案内した先には、様々な盾が並んでいた。

 木製、鉄製、革張り、そして──


「これもステアライト製だ。軽くて酸に強い。取り回しもいいぞ」


 手に取ると、確かに見た目より軽い。


「強酸は無理だが、スライム程度なら大丈夫だ。銀貨2枚」


 剣と盾で銀貨6枚か……

 あんなに稼いだのに、宿代も考えると、割と余裕ないな。

 でも、今後は剣や盾を買い替える以外に大きな出費をするつもりもないし。


 そうだ、買う前にステータスを確認しておこう。

 散財強化(スペンダーズゲイン)のおかげで、剣と盾を購入することでステータスが上昇するはずだから、今のステータスと比較したいし。

 『上昇するステータスは、お金の使用用途により変化する』

 って言ってたし、攻撃力と防御力が上昇するのか?


 っと、とりあえず今のステータスはっと。


────────────────────

 >【体 力】 100

 >【魔 力】 0

 >【攻撃力】 5

 >【防御力】 5

 >【俊敏性】 5

 >【精神力】 5

 >【魅 力】 1

 >【 運 】 1

────────────────────


「元に戻ってる!?」


 思わず声に出る。

 昨日は体力200、攻撃も防御も俊敏も15まで上がっていたはずだ。

 それが、今では初期値。

 なんで──


 ──『貯金額に応じて、貴方のステータスは弱体化します』


 ……ああ、そうか!

 貯金か!


 今、俺の手元には銀貨7枚と銅貨8枚がある。

 これが"貯金"扱いになって、ステータスが減少してるのか……!


「……おい、どうした? 顔色が悪いぞ」


 店主が心配そうに覗き込んでくる。


「い、いえ! 大丈夫です! これください! ほら、銀貨6枚です!」


 俺は慌てて銀貨6枚を机に叩きつけた。

 女神様の「使え!使え!!使え!!!」というコールを思い出す。

 はいはい、分かりました。使います、使いますとも。


「お、おう……毎度あり」


 よし、これでどうだ……!?

 俺は再びステータスを確認する。


────────────────────

 >【体 力】 180

 >【魔 力】 0

 >【攻撃力】 68

 >【防御力】 38

 >【俊敏性】 13

 >【精神力】 13

 >【魅 力】 1

 >【 運 】 1

────────────────────


 おおっ! だいぶ戻ったぞ!

 ふぅ、良かった。

 ちょっと下がってるのは、銀貨1枚分の貯金の減少ってことか。


 でもやっぱり、剣と盾に金を入れたから、攻撃と防御だけ伸びたな。

 体力は据え置き、俊敏や精神は変化なし。


 ……魅力や運は、あいかわらずの1。

 これ、何したら上がるんだ、ホント……


いったんここまで。

反応が良さそうなら。

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