第3章 ― そして、彼らを友達と呼んでいたなんて…
翌朝、見慣れない落ち着かなさで目を覚ました。昨日の高揚感は消え、胸に説明のつかない重さが残っていた。ゆっくりと身支度を整え、いつもの所作を慌てずにこなすが、自信から距離が生まれているような奇妙な感覚があった。
登校の途中で、僕はセイファーをちらりと見かけた。彼女を見るだけで胸に暖かさと警鐘のような感触が走った。しばらくの間、またからかおうかと考えた――どこまでできるか、その境界を確かめようとしたのだが、ひとつしぶといためらいが手を止めさせた。
教室に着くと彼女はすでに座っていた。彼女が席につくのを見て、シャツの袖が低く引かれ、腕の何かを隠しているのに気づいた。生皮が見え、布の下に切り傷の淡い線が見える。新しい傷だった。
冷たい、ねっとりとした恐怖が腸のあたりに沈み込んだ。最初、愚かな正当化の考えが頭をよぎった――僕のせいなはずがない。僕らは「ただの冗談」だった、と自分に言い聞かせた。しかし、そう考えること自体が教室を罪悪の場に変えていた。
日が進むにつれ、からかいはエスカレートしていた。ゆっくりした振付のように進行し、他の連中も加わっていた。最初は反射的に笑っていた、結果に麻痺して。だが、セイファーの顔の表情が僕を止めた。彼女の目は、僕が想像できなかった痛みの空洞のようだった。非難の目のように僕を見つめていた――大きな声ではないが、的確だった。
内側の何かが変わった。笑いは盾でなく鏡になった。胸に拳で押し込まれるような罪悪感がのしかかった。
しばらくして、彼女は震え始め、かすかな、ほとんど透明な声でトイレに行ってもいいかと頼んだ。僕は彼女が去るのを見て、胸が妙に締めつけられて後を追いたい衝動に駆られた。先生に許可を求め、廊下で彼女を見つけると、彼女は冷たい床に丸まっていた。世界を消そうとするかのように、手で顔を覆っていた。
僕がそばに座ると、彼女は顔を上げ、しばしの間、目の中に問いが浮かんだ:なぜここにいるの? 嘲るために来たの? それともこれは違うの?
「どうしてここにいるの?」と彼女がささやいた。
僕は飲み込み、謝罪がむき出しで出てきた。「セイファー…ごめん。全部ごめん。あいつら…やつらは馬鹿だ。」
彼女の反応は鋭く、僕が用意した以上のものだった。「あなたは? あなたもその一人じゃない? 全部始めたのはあなたでしょ。あなたも同じ――ちょっと残酷で、無頓着。どれだけの人を傷つけてきたの? もしかしたら私、ここにいるべきじゃないのかも。」
彼女の言葉は石のようにぶつかり、習慣に巧妙に封印されていた何かを割った。その狭く反響する廊下で、僕は自分自身を恐ろしくも解放されるほど鮮明に見た。僕は仕掛け役だった。残酷さのリズムを押し進め、人々が離れていくのを見ていた張本人だった。
「ごめん」と僕は震える声で言った。「それで直るってわけじゃないけど、変わりたい。君から始めたい。」
彼女は静かな苦味を込めて答えた。「初めてじゃないのよ。」
「でも君とは違うんだ」と僕は言おうとして、真実は異国の旋律のように感じられた――柔らかく、危険だ。「君は僕にわからない感情を抱かせるんだ。」
涙が彼女の頬を伝って落ち始めた。彼女がその壊れた部分を僕に託すその脆さには驚かされた。僕は彼女がさっき落とした小さなポケモンのメダルを差し出した――返すつもりで取っておいたちっぽけなものだ。彼女はそれを見つめ、廊下の静けさの中で世界が一瞬二人だけに狭まった。
僕たちは無言で教室に戻った。僕の歩みは重く、彼女の歩みはためらいがちだった。後に校長が来て表情は厳しく、いじめは終わらせるべきだと告げた。名前が呼ばれ、主犯たちが名指しされた。僕の友人たちは全否定した。校長が僕に出るよう促すと、僕は予想以上に正直に出て行き、それが僕から始まったと認めた。他の連中は沈黙した。
奇妙で苦い覚醒があった:僕が「友達」と呼んでいた連中は、黙ることで本性を示した。「友達」という札は恐怖の前で空っぽになっていた。
チャイムが鳴った後、彼らを再び見かけた。冷笑を浮かべ、セイファーを「密告者」などと嘲りながら彼女の鞄を蹴っていた。怒りと恐怖が熱のように僕を突き動かした。僕は首謀者を壁に押し付け、冷たい怒りで震えながら震わせた。僕の行動で彼らは散り散りになった。初めて、喝采を求めない忠誠心で行動した。
僕はセイファーを保健室に連れて行き、彼女の手の傷を洗い包帯を当て、僕が壊す手助けをしたものを落ち着かせようとした。彼女は小さく、かすれた声で尋ねた。「どうしてこんなことをするの?」
「だって、気にかけてるから」――言葉は僕の口の中でぎこちなく重く響いた。「間違いを犯した。守りたいんだ。」
「もう遅い」と彼女はささやいた。「私は疲れ果ててる――完全に、痛ましいほど疲れてる。私の心は空っぽ。あなたは私を空にし、愛されていた記憶を奪い、私を壊した。私は消えたいだけ。」
「あなたはわかってない、マティアス。あなたはこれが昨日のことだとか、あなたがした冗談のことだと思ってるでしょ。でも違うの。私が覚えている限りずっとこうだった。どこへ行っても、人は私を笑う理由を見つけ、私を指差し、罵り、廊下で私のことを陰で囁き、机に私のことを書き、まるで私が人間じゃないかのように押した。私は気にしないふりをして、黙っていれば忘れてくれると思おうとした……でも沈黙は状況を悪化させただけだった。
毎日、家に帰ると自分が小さくなったように感じた。自分の鏡を見ても、自分だと認識できなかった。私はセイファーではなくなっていき、抵抗できない弱い女の子だけが残った。
夜、枕に顔をうずめて泣きながら、もしかしたら明日こそ姿を消せるのではと願うことがどんなものか、知ってる? 朝目覚めても悪夢は終わらず、ただまた始まるだけだと気づくことを。
私は溺れているの、マティアス。言葉に、視線に、刃よりも深く切る笑いに溺れている。いくら泳ごうとしても、水は重く、私を沈める。」
僕は目を伏せ、恥が僕を焼いた。声は生々しく、ほとんど壊れかけていた。
「君の言う通りだ、セイファー。すべて本当だ。僕は君を傷つける人間になってしまった。言い訳はできない。でも、もしかしたら…なぜ僕が始めたかを話せるかもしれない。」
幼い頃、僕はそれが間違いだとは気づかなかった。誰も教えてくれなかった。両親は僕を止めることもなく、僕の言葉や行動が誰かを傷つける可能性を説明することもなかった。彼らは冷酷というわけではなく、ただ……不在だった。父はいつも忙しく、母はいつも疲れていた。彼らはその日僕がどう過ごしたかを尋ねることもなく、僕が怒ったり混乱したりしているのに気づかなかった。彼らは僕を一人にしてしまった、まるでそこにいないかのように。
だから僕は共感とはどういうものか知らずに育った。誰かをからかうと、周りの笑いが目に映った。注目される感覚があった。家では無視されていた僕にとって、初めて人々が僕を見て笑ってくれる瞬間だった。それにしがみついた。家では僕は見えない存在だった。
本当のところ、僕はずっと孤独だった。人でいっぱいの部屋にいても、いわゆる友達がいても、自分は外側にいるように感じていた。他人をからかうことでコントロール感を得て、内側の空虚を騒音と混沌で埋めていた。
でも、僕は自分が何をしているのか理解していなかった。人を一片一片壊しているとは考えなかった。盲目で……利己的だった。そして、目を開けたときには、すでに君を傷つけていた。
「君を壊すつもりはなかった、セイファー。僕はただ…知らなかっただけだ。今は自分がそれを憎んでいる。」
セイファーはゆっくり頭を振り、涙が頬を伝った。声はかすれた。
「分かりたい、マティアス。本当に分かりたい。なぜこうなったのかを。でも今感じるのは、壊れた私の心だけ。どれだけ痛いか、どれだけ苦しんだか…」
彼女の肩が震え、嗚咽が体を揺らした。彼女は顔を手に押し当て、言葉が続かなかった。静けさが二人の間に重く、息苦しく落ちた。
僕は悲しみを癒す答えを持っていなかったし、何をすべきかもわからなかった。衝動的に、僕は彼女に背中に乗るように言い、彼女をおんぶして家に連れて行った。彼女は肩にもたれ、僕に寄り添うその姿は親密で恐ろしいほどだった。家の前に着くと、彼女は僕をきつく抱きしめ、まるで自分を繋ぎ止めようとするかのようだった。
そして、短く、予期しない一瞬、彼女は僕にキスをした。それは脆く、恐ろしく、美しい小さな瞬間だった。僕の頭はその感情の深さを受け止めきれなかった。眠りは来なかった。夜じゅう、その瞬間を何度も再生し、責任の重さと、明日が何をもたらすかへの恐怖を感じながら横になっていた。