第2章 ― 少しのいたずら!
その日の朝は、いつもの小さな儀式から始まった。簡単な朝食、少しのテレビ、そして学校へ向かう道。けれども、胸の奥では奇妙な緊張がざわめいていた。試合前のような高揚感ではなく、もっと繊細で不安定な緊張感だった。僕は昔ながらの方法でそれを解消しようと決めた――少しいたずらをすること。それで未知を笑いに変えられれば、心は落ち着くと思った。
教室は最上階にあった。扉を押し開けると、ざわめきはすぐに収まり、新しい始まりの気まずさが空気を満たした。そこに彼女がいた――男の海に浮かぶ、ただ一人の少女。その存在は日常を切り裂き、静かに僕の注意を奪った。
「完璧な標的だ」と思った。無責任な興奮が胸を走る。
僕は彼女の隣の席に腰を下ろし、あたかも思いつきのように笑いかけて身を寄せた。
「やあ。ひとりで座ってるみたいだから、隣同士だし自己紹介しようと思ってさ。君の名前は?」明るく気軽に声をかけた。
彼女は驚いたように目を瞬かせ、小さな声で「セイファー」と答えた。
その響きは不思議で、心地よかった。耳にすっと馴染んでいく。
僕はさらに近寄ってからかうように、慣れ親しんだ役割に滑り込んだ。
「セイファー、調子はどう?」
彼女はかすかに「痛い……あなた、私を傷つけてる」とつぶやいた。
僕は笑い飛ばした。
「え? 何もしてないだろ、ははは。」
そして押し続けた。ルールを揺さぶり、どこまで曲がるか試すように。
僕はしばらくそれで楽しんだ。クラスのみんなは見ていた――無関心そうな子もいれば、「また彼だ」と言いたげな目を向ける子もいた。誰も止めなかった。先生は忙しく、教室の小さな残酷さは天気のように過ぎていった。
僕は紙玉を丸めて彼女の机に飛ばしたり、反応しない彼女を見て笑ったり、軽い調子でちょっかいを出し続けた。彼女が怒り返さないのが気に入った。むしろ、どこまで行けば彼女が壊れるのか、そんな好奇心が湧いた。愚かで単純なスリル、それは僕が何度も繰り返してきた遊びだった。
休み時間、友達が小声で告げた。セイファーは以前、いじめられてきた――あまりにひどくて、すでに三度も転校しているという。その言葉は胸に重くのしかかったが、その場では形にしなかった。僕は他の皆と同じように笑ってみせた。その笑いは反射的で、本当の心は不安を覚えつつも、黙り込んでいた。
その日の終わり、僕は何気なく彼女の頭を軽く叩いた。冗談のつもりだった。教室は笑い声に包まれた。彼女は反撃しなかった。代わりに、彼女の顔は鈍く、空虚な色に変わった。それは無関心とは違った。繰り返しに鍛えられた硬さのように見えた。あるいは、冗談が彼女の心に刻まれていくのかもしれない。僕は深く考えなかった。友達と一緒にいることが、いつだって僕の逃げ場だったからだ。