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2 影龍“スキアベル”

「影龍軍副軍団長スキアベルで御座います」


 イメージは褐色美人と言ったところか。

 少しだけ妖艶な雰囲気を纏っている。


「お前には前々から聞きたいことがあったのだ」


「何で御座いましょう?」


 俺は何故ここに連れてこられたのか?

 案内者(マーシドー)とは何か?

 影の力の詳細は?

 獣界と人界以外には何の界が広がっているのか?


 俺にはさまざまな疑問を持っている。

 それを解決するために、座学を教えてもらうところから始まる。

 まずは三つ目の“影の力の詳細は?”を知りたいのだ。


「影の力の詳細は?」


「……それは私も詳しく把握していないのです。なにぶん、我々が使えた影気は少ないものですから……」


「そうか……」


 知らない事だらけだ。

 俺が今まで住んでいた世界は人界と呼ばれる世界だった。

 この世界には未知が広がっている。

 新たな世界を知るためにも、どんどん獣ノ宮の群れを統一しないといけない。

 だったら……


「やっぱり生ノ宮の主になるしかないのか……」


 なら、決意しよう。

 宣言しようじゃないか。

 そう、宮の王になろう!


「なあ、クリム、シルフ、アクア、スキア、俺はさ、宮の王になろうと思う」


「「「「!?」」」」


「俺はさ、知りたいことがいっぱいなんだ。刹那を生きるんだったっけ?龍は?そうだったらさ、この知識欲の為に刹那を生きるんだ」


 そう、宣言した。

 決意した。

 他人に宣言して、絶対に違えることのない誓いとなる。


「良いと思います!」


「龍宮様らしいよね」


「応援します!」


「支えますよ!」


 三者三様の感想を漏らす。

 本当に嬉しいことを言ってくれるな。

 今まで鳴りを潜めてきた欲望が溢れんばかりに体を覆っていく感触だ。


「俺は……最強となる男だ!」


「良いですわね!もっと、もっっと、鍛えましょう!」


「おう!」


 この言葉により、訓練が始められるのだった。


 〜


 〜〜


 〜〜〜



 ステータス


 名前 マルス=アリティニー

 LV34

 攻撃力 820(8200)龍化状態

 防御力 830(8300)龍化状態

 素早さ 12000(4600)龍化状態

 魔攻 11600(11600)龍化状態

 魔防 1150(11500)龍化状態


 魔法力 13700/15100


 ギフト 神龍魔法



「それじゃあ行こうか。新天地へ!」


 あれから30年の時が経った。

 いや、正確には時間が過去の神龍“クロノリス”によって1/10になっているから、3年と言ったほうが正しいだろうか?

 兎にも角にも明らかに増えた影龍の軍団(何も言わないでくれ)と、強さを求めるこの探究心だけは負けないぜ……!


「なぁ、クリム、折角だし試合しねーか?」


「いきなり?闘う?」


「おう!その通り!」


 自分の実力を確かめる為にも……ね。


「それじゃあ、行くぞっ!」


「はああーーー!」


 拳と拳が混ざり合う。

 相手も火力が中々に優れている為、決着は着きにくい。

 しかし……


「クリム、本気で行くぜ!影気解放!“深淵(アビソスア)ノ鎧(ルマトゥラ)”」


 全身に黒い鎧が纏わり付く。

 今までの力とは比較にならないほどの力を己に秘めた。

 全力を出すのは久方ぶりだ。


「行くぜぇ!影神龍剣術 一ノ型空虚(そらなき)


赤龍の怒り(クリムゾン)


 マグマをも蒸発させんばかりの威力である、火焔が俺に向かってくる。

 クリム、シルフ、アクア、アースの4人掛かりで丸5日掛けて作り上げた逸品、龍刀“古代ノ漆黒(エイシェントネーロ)”に魔力を送り込む。


龍の爪(ドラゴンクロー)!」


 何も爪を絶対に使わねばならないとは聞いていない。

 爪で出来たこの剣を振るえば発動可能なのだ。


赤龍の逆鱗(クリムゾンラーフ)!」


 逆鱗か!?

 それを使ってくるとはな!

 思考回路が一部ショートする代わりに身体能力増加!


「けったいな!」


 本当に“憂鬱”だ。

 けったいは気怠いが訛った言葉だ。


 それはそうと、ここまで単調な動きしかしない代わりにこちらの全力よりも速い動きで翻弄してくる。

 だが、俺をあまり舐めないでくれるか?


「影気解放!“影ノ拘束(オンブラスキャビトル)”」


 時間稼ぎして相手の影を拘束、影がその場所から動けなくなる。

 これでお前は詰み、チェックメイト!


「クリム、最近勝ててないな!」


「まだ、終わっていませんよ?」


 そういわれ怪訝な顔をする。

 何せ肉弾戦以外をやっても手痛いしっぺ返しをしてしまうだけだ。

 だったら何を……

 そう思った瞬間……


赤龍の咆哮(アーフノヴァ)!」


 そこには禍々しい程の悪の根源が潜んでいて、何かに対する怒り全てを煮詰めたような色がしている。

 でもさ、俺はそんなのに引っかかるほどのバカじゃねえよ!


影ノ大盾(オンブラスシールド)!」


 この世の漆黒を全てに詰めた色している。

 光を全て吸い込む。

 それは、憤怒を吸い込んでいく。


「チェックメイト」


 そう呟いた俺は、既にクリムゾンの首で寸止めしていた。


「龍宮様、やっぱり影気の扱い方が上手くなってません?」


「そうか?」


 年々上達を感じていた。

 まあ、ただひたすらに翊獣(ワイバーン)大鷲(グリフォン)を狩る生活にも飽き飽きだったしなぁ。

 あいつらレベル効率がバカみたいにいいんだよな。


「シルフもアクアも場所によっては俺も苦戦するしな。まぁ、アースは何だ、強いんだけど相性が悪いからな」


 アースは明らかに大群や対軍隊など、標的が絞られているのが良い所だと思うんだよな。

 それに対個人でも、役立たずってほど弱くはないし、上位龍の上位位はなんだかんだあるもんな。


「しっかし、スキアがここにきて位階上昇(ランクアップ)するとはな……」


「あれは驚きましたね」


 龍自体の存在能力上がることもあるが、一生上がらない奴もいるんだよな。

 ただ、ここにきての位階上昇(ランクアップ)だ。

 あれは正直5回レベルが上がった様な上がり方してるしな。


「うーん、神龍はどうなんだろう?」


「はい?」


「あー、いや、神龍は位階上昇(ランクアップ)したらどうなるんだろうか?って思ったんだよ」


「……確かに気になりますが……恐らくするんでしょうね」


 ん?明らかに神龍が一番上の位階なんじゃないか?


「完全に推測なのですが、前の龍宮様である火神龍“ラーソロス”のは以下達も位階上昇(ランクアップ)の力によって、神龍に至っていたといわれておりますから」


「ふむ、そうすると、もう一段階俺にも位階上昇(ランクアップ)があると考えるのが自然か……」


 なら何処が上がるんだ?

 神龍王?それとも“影”の部分が上昇する?今の俺じゃわからないことが多いな。

 まあ、実際に起こってみないと分からない様な話をいつまでしてるわけにはいけないんだよな。


「それは置いておいて、熊ノ宮に攻め込む時の事を考えとこうぜ!」


 もっと建設的な話をしなきゃな!

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