8 神獅子vsアクア&アース&シルフvs鳳凰 ④ 暴食と強欲
鳥ノ宮。
過去に虫ノ宮を滅ぼした。
それはどう言うことか……
“暴食”
一心不乱に食していた。
そのせいで、暴食を手に入れてしまった。
暴食の権能とは……
“食えば食う程強くなる。しかし、格下は意味が無い”と言うものだ。
格上を喰らう、ジャイアントキリングアンドイートだ。
その圧倒的強さは他を圧倒した。
上位の存在、虫神、常世神を殺した。
そのお陰で、神の名を冠するまでになった。
これが、鳳凰の物語
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三人称
〜〜
シルフ視点
〜〜〜
“ズシャッ”
鈍い音が響く。
シルフは返り血をを浴びたが、風で吹き飛ばす。
何の痛痒も無さそうに、“ペッ”と唾を吐く。
「なーにが銀獅子よ!」
そう言いながら死体を蹴り、急いで金獅子の下へ向かう。
「お前は……兄上が相手をしていただろう?何処にやった?」
歯軋りしながら聞いて来る。
本当に味方としていた様だ。
嬉しそうな様子は全くない。
「殺したわ」
その一言で全て終わると思っていた。
「はああぁああ!」
方向を急転換し、別方向へ向かう。
正確にはアクアが来た方向だが。
まさか?
そう思っていた瞬間、存在が急激に膨れ上がる。
魔力の解放の仕方が異常だ。
「アース……やばいことになったかもしれないわ……本当に不本意だけど、緊急タッグを組むわよ」
「へえ。アクアと言いお前と言い、なんか今日お前ら俺と組みたがるな!」
状況を察する事が出来ていないアースに苛立ちを覚える。
溜め息を吐きながら言葉を返す。
「金獅子が神獅子になった可能性があるっていったら?」
「__!?」
流石の鈍感脳筋ドアホ野郎も察した様で、額に汗を垂れ流す。
神獅子。
神龍と双肩を担う存在。
現状のアリティニーとは流石に大きく違うが、それでも、今の自分達とは大きく離されているそんざい。
“余計にまずい状況になってしまった”
そう考えてもおかしくはない。
「しゃあねえな……行くぜ!」
そう呟いた瞬間、アースの存在感が増す。
「あと先のことなんて考えてられっかよ!地龍種族特性を使うぞおおお!」
アースがそう叫ぶと配下の地龍が“おおおおおお!”と、雄叫びをあげ、呼応する。
『地龍種族特性、一体化』
そう叫ぶと同時に、アースの下に、数多の地龍達が集まって来る。
それはまるで、地震であり、厄災だった。
「フルパワー!地古王龍の怒り!」
1文字の間違いもなく、世界が、いや、全てが揺れた。
そこにいるもの、何もかもが。
遂に向こうから迫って来る神獅子と全解放状態のアースが、追突した。
しかし……
「グッハッ……」
そこで膝をつくのは、アースだった。
「嘘でしょ……もう……無理……助けて……龍宮様……」
〜
シルフ視点
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アクア視点
〜〜〜
「神聖な大波」
「烈火の怒り」
膨大な量の水と、“煌々”と燃える烈火は衝突する。
一歩引かない戦い。
引けない戦い。
しかし、現状に残っている魔力が切れそうになり、焦り始める。
まずい、水乱打を後何発打てる?
神の権能を借りるには魔力量の3/5必要になる。
強さが足りない。
奇しくも、龍宮様を見る時と同じ考えを持つことに“ハッ”とする。
しかし、勝たなければならない戦い、負けたら終わりの戦いだ。
絶対に……勝つ!
「水乱打!」
「百の翡翠に炎纏」
百ではないじゃない!
千はあるはね……
それは嘘ついちゃいけないでしょ?
しかも、クリムの得意技の炎纏まで使って来るなんて、絶対に勝てない気がする。
いや、勝つ!
負けたら色々とおしまい!
「風の神々の怒りに加えて……炎神の烈火」
“轟”
それは正しく、“世界の終わり”を示す物。
それ以外の何者でもない。
摂氏1000℃を超える熱量に加え、それを煽る様な風、それを天空から眼下を見下ろす様にして嗤う鳳凰。
アクアは全てを諦めます。
勝てるわけがない。
でも……
「助けて、龍宮様……」
《龍ノ宮が熊ノ宮と併合されました。宮の数が一つ減り、戦力図の変化が確認された為、龍ノ宮の主である、アリティニーに大罪の力を与えます。龍ノ宮の主アリティニーから大罪の権能、“強欲”によって、配下に力が配られました。》
それは正しく、福音だった。
〜
アクア視点
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三人称
〜〜〜
「力が?湧き出て来る……」
アクアは呟く。
これなら……
「海神の権能」
“鈍”
水が出て来るだけなのに、鈍い音が響き渡る。
しゅ〜
水は消え、炎は消える。
それをただ繰り返す。
たったそれだけの事が、さっきまで出来ていなかった事ができる様になり、その顔には喜色が浮かぶ。
「これなら勝てる!いや、勝たなければ!」
一方変わってシルフとアースは……
「ふう、力が漲ってくる!滾って来たあぁ!」
「ふう……そうね……」
自らの主人の規格外さを理解したアクアとアース。
しかし、それ以上に頭に来る事が2人のすぐそばにあった。
「兄上、兄上、兄上、兄上、兄上、兄上、兄上、兄上、兄上、兄上、兄上、兄上、兄上、兄上、兄上、兄上、兄上、兄上、兄上、兄上、兄上、兄上、兄上、兄上、兄上、兄上、兄上!」
神獅子のそいつは狂った様に叫び出す。
「銀獅子はもう死んだんだぜ?」
そう言うと銀獅子は急に振り返る。
「銀獅子と、呼ぶなあぁ……兄上にはクレファーと言う名がある!」
「ああ、さいですかっ!」
急激に拳に力と魔力を込める。
「地龍の右腕からの、剛腕」
「神速の右腕」
“どごおおおおおん”
轟音が鳴り響く。
耳を劈き、鼓膜を突き破られた様な感覚に陥る。
その圧倒的な力は一般的な秤ではもうわからない程。
「級長戸辺命の権能」
今まで使って来たものとは格が違う。
何もかもが違う。
圧倒的な力が手に入ったことに歓喜する。
そこでは、神獅子も鳳凰も極めて冷静な思考状態だった。
このままで勝てるのか?
自分に問いかける。
しかし、自分から帰って来る答えの結果は“否”だ。
鳳凰の場合は死んだら元も子もない、そして神獅子の場合は生きていないと復讐できない。
これらの理由から両者は撤退することを選び、全軍が退却した。
そして今、アリティニーが帰宅したのだった。
かくして、時代に大きな変革をもたらした、龍熊の戦いは幕を下ろしたのだった。
はい。これにて一章は終わりです。
閑話いっぱい挟みます。
クリムとスキアの戦闘シーンを挟みたい運命だった……
無理矢理閑話にしてすんません!
空白の30年のアリティニーとヒロインの絡みも描きます!
予定では……
4話位?
変更されてたらごめんちゃい!