colabo問題を取り巻く状況
昨年末より動きがありました、都内のNPO法人に対する住民監査請求の途中経過が発表され、大手マスメディアからも報道がありましたので、ここまでの経緯を振り返り、今後の展開を予想してみたいと思います。
発端は、都内のNPO法人「colabo」さんの会計処理に不正があるのではないかという疑問を、都内在住の方が指摘したところからというのが大方の見方でしょうが、実はもっと前から遺恨があります。
それは平成28年11月から始まった「温泉むすめ」という企画について、colabo代表の仁藤さんが「女性蔑視」として批判と持論を展開したことに始まります。
「温泉むすめ」を好ましく思っていた都内在住の方はこの時、仁藤さんによる持論の展開が「難癖」と感じたようで激しい怒りに打ち震えたらしく、以後は仁藤さんの動向を注視していたようですね。
それが今年の11月にcolaboさんが運用するバスカフェのタイヤ交換について疑問を投げ掛け、そこから事業全体の会計や運営が杜撰なのではないかとの思いに至ったようです。この時にcolaboさんが公開した「車両関連」の支出証拠のレシートに「衣料品店での購入レシート」が含まれていたのも疑惑を加速させる材料でした。私はこの時、元民主党議員の荒井聡さんが公開した政治活動収支報告書(事務所費)に「キャミソールの購入レシート」があった事例を思い出しました。
不正会計の疑惑をかなり手厳しい感じで都内在住の方がSNS上で表明したところ、colaboさんからは「誹謗中傷で訴えてやる!」と返され、互いに引っ込みがつかなくなったのが事の発端です。
つまり「温泉むすめ」に対する批判を仁藤さんが行っていなければ、ここまで問題が大きくなる要素はなかったでしょう。藪を突いたら蛇が出たのは住民監査請求の方で、仁藤さん側からすれば江戸の仇を長崎で討つぐらいの感じ方です。
さてそれでは住民監査請求の途中経過ですが、これの東京都側からの正式発表がありました。その発表を受けてcolaboさん側弁護団は勝利宣言を行ったのですが、まだ戦いの火蓋が切って落とされただけで、この時点での勝利宣言は後々の戦況に悪影響を及ぼすと思います。
そもそも住民監査請求が通った時点で、かなりの異例です。軽く調べたところ、ここ数年間は提起された住民監査請求は全件で却下されております。そのような簡単に通らないはずの住民監査請求が認められて、実際に「東京都」に監査局が調査に入った結果が発表されたのが今回の結果発表です。私が途中経過としているのはこの点です。
この後、指摘を受けた項目について2月28日までに、東京都はcolaboさんに対して疑義を晴らす帳簿の提出を命じるでしょう。その提出された帳簿を監査局が再度調査します。そこで不備や疑問点があれば、今度は監査局が直接にcolaboさんに調査を行うかもしれませんし、東京都の杜撰な公金支出が明らかになれば国から会計検査院が出て来るかもしれません。
東京都が公開している資料が表題以外は黒塗りの「海苔弁当」と言われる代物でしたので、全く判断できないのが問題なのですが、この東京都の対応についても都内在住の方は提訴しているようです。都知事が提訴されるのは一大事なのですが、どの大手マスコミも報道していません。何なら都議が都庁の記者クラブに確認したところマスコミ各社はcolabo問題を「知らなかった」そうで、ジャーナリストとしての無能を曝け出してしまったと私は思います。マスコミ各社は汚名返上を目指して、この問題について精力的に取材し、正確な情報を我々国民に知らせてくれるでしょう。
この後の展開ですが、都内在住の方はcolabo問題に対しては監査局に委ね、更に疑わしい巨悪への対決姿勢を表明しています。私はこの事件に関しては静観していますが、戦いの行く末については慎重に見守りたいと思います。
colaboさんの活動内容については誰かがやらなければならない問題ですし、とても立派な行為だと思っています。だからこそ、不正会計を疑われるような行為は慎むべきですし、保護した少女たちを政治活動に引っ張り出すのは越権行為とも感じます。別のNPO法人さんは帳簿を公開していますし、むしろ赤字ギリギリで精力的な活動を行っています。そうした団体には公的補助がなく、公的補助を受けている団体が情報公開に後ろ向きなのは問題でしょう。
これは国や地方自治体などの行政側の姿勢も問題です。特定の政党や議員による口利きだけで補助金の支給先を決めて丸投げしている現状が問題の根幹にあります。椅子取りゲームと揶揄されている現状は、支援を必要としている方々にとっても不利益を生じています。
国は現状をしっかりと把握し、法改正してでも適正な予算の支出や人員の増強を行う必要に迫られています。まずは既存のNPO法人が許認可権を持ち、新規参入を阻む体制の見直しが必要でしょう。無責任な団体が混入しないよう、行政側の監視の目を強化する必要もあります。
そして国民主権の我が国ですから、主権者である我々国民も優しい眼差しを向けて、適正な事業を継続できるように力添えして行くのも大切な支援の一つです。