表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/9

第9話

   

 中野の訃報を伝えてくれた友人は、そう言って電話を切った。

 彼は『無限冷蔵庫』の話を信じているような立場だったが、それは死者へのリスペクトだったのかもしれない。今さら中野の言葉に反対したくなかったのだろう。

 しかし私は「『無限冷蔵庫』は中野の思い込みに過ぎなかったのではないか」と考えてしまう。

 例えば、本当は食べ終わった後で中野自身が同じ食材を買い足して、冷蔵庫の同じ場所に入れておいただけ。でもそんな無駄遣いは認めたくないから、自分で自分の記憶に蓋をする。全ては無意識のうちの行動みたいになって、辻褄合わせとして自然に生まれたのが、『無限冷蔵庫』というカバーストーリーだったのではないだろうか。

 私の頭にはそんな解釈も浮かぶのだが、中野本人が亡くなった今、もはや真相は闇の中だ。

 どちらにせよ……。

 彼が『無限冷蔵庫』と呼んでいた、あの白い物体。それは遺品整理の際、リサイクルショップに売り払われたという。

 今頃、また誰かの手に渡って、便利に使われているのかもしれない。




(「無限冷蔵庫」完)

   

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] オチが好きです
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ