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第5話

   

 冷蔵庫の内部。

 私は一瞬、分解して機械部品を剥き出しにする様子を想像したが、彼の言う『内部』は、その意味ではなかった。

「そりゃもちろん、外側と同じで内側も白だろ?」

 と誰かが答えたのに対して、中野は頷いてから言葉を続ける。

「普通は、そう思うよな。でも、この冷蔵庫の場合は違う。半分くらいは普通の白だけど、残り半分は、赤く塗られてるんだ」

 中野の説明によれば、元々はリサイクルショップで安く購入した冷蔵庫だった。

 内部が部分的に赤く塗られているのは、以前の持ち主の悪戯(いたずら)だろうと思ったが、そこだけ使わなければ良い、と考えたそうだ。

「どうせ男の一人暮らしだ。冷蔵庫が満杯になることはない。半分で十分なら、赤い区画を避けるのも簡単。そう考えたのさ」

 内側が赤と白に塗り分けられた冷蔵庫。私ならば紅白と考えて、めでたいイメージに受け取るのだが、中野は赤を危険色と感じたらしい。赤信号みたいなイメージだろうか。

「ところが1週間くらい前、うっかり赤いところに豆腐を入れちまってさ。ちょっと嫌な感じはあったんだが、豆腐に罪はないから、それでも冷奴(ひややっこ)の予定を変更して、湯豆腐にして食べたんだが……」

 中野の『嫌な感じ』は、火を通せば消える(たぐ)いのものなのか。

 つい心の中でツッコミを入れてしまったが、口には出さずに、彼の話に耳を傾ける。

「……その日の夜、喉が乾いたから麦茶飲もうと思って、冷蔵庫を開けて驚いた。食べたはずの豆腐が、冷蔵庫の中で復活してたんだ!」

   

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