酢5、6
今日は私の家、【鈴木家】で餃子パーティーだ。
包むのは楽しかったし、美味しそうに出来た。
みんなで会うなんて、久しぶりだから興奮している。
10人全員が集まれるなんて、もう無いかもしれない。
奇跡に近いから。
食べようとしたとき、酢が無いことに気が付いた。
私の家の酢が、切れてしまっていたのだ。
「ごめんね。酢がないみたい」
「そっか」
昔、この中の三人は、酢が不得意だと言っていた。
だから、無くてもいいやと思っていた。
でも、今は全員が酢を求めていた。
酢好き集団に変わっていた。
私は、酢が好きな方ではないから。
9人の酢好きと、1人の鈴木、ということになる。
「私は、マイビネガー持ってるけど」
「じゃあ、貸してもらえる?」
佐藤さんは、鞄から小さいビンを5、6本一気に出した。
まだ鞄には、無数のビンが見えた。
たぶん、全部が酢だろう。
恐ろしい。
甘いもの好きで、砂糖菓子が大好きだった、名字が佐藤の佐藤さんが、まさか酢好きになっているとは。