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滅ぶ前にゃー叫ばなやめれんッ!!!  作者: シ流つっけ
レグナトール家〈前編〉
27/42

合間(真っ白け)/ → / Reborn(真っ赤か)


 くるり、くるり、と回ります。




 白いお部屋で、また、くるり。




 二束のましろな髪が、尾の永いともえを舞って




 そのまんなかで、ワタシは、くるり、くるり………。




 あの〝虫さん〟はワタシのことを〝アイちゃん〟と呼びました。




 ワタシは、いない子なのですが




 ワタシが、いないとみんなが困るものだから




 こうして誰もいない場所で




 くるり、と回り続けて〝ゆめ〟を見ています。




 ゆめの中には、ちゃんとみんながいて




 みんな笑ったり、怒ったり、悲しんだり、誰かを好きになったり、嫌いになったり




 ワタシはそんなみんなが、こころいっぱいに愛おしくて………。




 でも、そろそろ目をさまさないと。




 たのしいゆめは、もうおしまいです。




 けれどその前に、まいごの子たちを探さなきゃいけません。




 ゆめの子たちが〝まいご〟になるなんて



 

 はじめてのことで、ワタシは困ってしまいます。




 とっても久しぶりに、体をつくってみたけれど




 〝虫さん〟が持ってちゃって、なかなか返してくれません。




 さっきも、返してくれるのかと思ったのに




 〝あの子〟が呼ぶもんだから



 〝まだだァア!!!〟



 って突然大きなこえをだすんです。



 ワタシ、びっくりしちゃいました。



 ほんとに、いじわるな虫さんです。




 ♲

 ♲♲♲

 ♲♲♲♲♲

 ♲♲♲♲♲♲♲♲




「何をやっている!?イマミア・アルティシムスッ!!」




 スーが吠えた。


 ミアはそんな事知っていた。

 ツバキが躱せる事も知っていたから、ミアは思いっきりロケットハンマーを振るった。


 ただし、ツバキもいつ崩れるかも分からないモノと一緒には動けない。だからその〝白い体〟は、翠の渦とともに木々を薙ぎ倒して吹っ飛んでいってしまった。



「アレが何かは、キサマもっている筈だ!!」


 スーが噛みついてくる。



「ウルサイなー……。どっちにしたって壊せばいいんでしょ?」

「壊せばいいんじゃないッ!!完全に消滅させる必…」



「だったら、無くなる前に殴らせてよッ!私こいつのこと、大っ嫌いだったからさッ!!」


 ブースターが爆ぜて、ミアが〝白い体〟を追う。



「バカな……」


 スーは眉間を狭めた。ミアの意図が分からない。あの〝白い体〟を消すのに彼女が邪魔になっている。


〝このまま両方消すか……?しかしそれでは………〟


 スーは空間を揺らめかせ転移するが、既にミアの追撃は始まっていた。




「好き勝手やりやがってっ!この世界何だと思ってやがんだっ!?テメぇのくだらねぇ三門芝居の舞台なんかじゃねぇぞ!!」




 翡翠の一閃。亀裂の奔った体が軽々しく浮き上がる。




「テメぇには絵空事だったかもしれねぇが、私たちはここで生きてんだッ!!生きてんだったら死ぬのも当然だろッ!?それを部外者がギャーギャー喚きやがって………」




 地面に叩きつけられ肉が割れる。すぐに崩れていった。既にボロボロだったのだ。




「何がしてぇんだテメぇ!その体で賢くやってりゃ、こんな世界でも良い思いができただろうがッ!?」




 土ごと、抉り掬われまた宙へ。




「何で笑ってやがった!?何で戦った!?何で付いてきた!?何で怒った!?何で励ました!?何で泣いていた!?」




 殴られ音速越え。残る肉が灼ける。




「何でだよッ!?ワケ分かんねぇーんだよ………どうして!?何?何なの?テメぇには関係ねぇだろッ!?……ねぇ!?


 何で………私を助けたの?」




 碧い石畳の跡に、白い骸骨を叩きつけた。





「なぁ!?答えろよぉ!  〝彼岸丸〟ッッッ!!!」





 ミアはもう一度〝スロンガトロン〟を振り上げる。



「っ!?」


 打ち付けた鉄槌が、骨の脚に軌道を逸らされた。

 態勢が崩れるミアを、骨の腕が支え、そのまま涙に赤らむ幼顔を自分へ寄せる。


「ひゃ!?」


 ミアの顔から紙一重前。そこで再び開いた紅玉は、ミアの姿をその中に映し込んだ。









「関係無くねェ……オマエが、オレが〝ここ〟にいる理由の全てだ」






 



「………へ……?」











「オマエが美しかった………オレは、オマエに惹かれて〝ここ〟に来た」







 白い頭蓋骨の中に赤い紅玉。そこから、紅い筋が口を軋ませ、彼岸丸の声。


 何か言っているが、その内容が頭に入ってこない。むしろ、頭よりも先に体が、わなわなと落ち着かない反応をしている。


 ミアが顔が、赤らむどころか真っ赤に染まった。


「へぇ?……へッ!?へぇえ!?」





 彼岸丸の肉が、勢いよく再生していたところだったが………。

 顔に昇る熱にたまらず振り落とした、ミアの鉄槌に、また爆ぜ飛んでしまった。





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