裏切った者の末路
少しずつ彼らの状態を変えていきたいと思います。
シンを追い出した3人のメンバーは、新しいメンバーと共に冒険を続けた。
冒険は順調だったが、女性陣はある問題を抱えていた。 シンがいた時は彼に言えば、すぐに用意されていた物が、切れかかっていた。 自分で頼みに行くことが嫌だった彼女らは、節約していたが、それも限界が近づいていた。
「セラ、貴方のある?」
「いえ、私のもないです・・・。 マリアさんも?」
「ええ、シンがいた時は言えば、用意されていたから・・・」
「そうですね・・・。 やはりスミスさんの商会に行かないとですね・・・。」
「はあ、頭を下げるのも嫌だけど、もう他のは使えないわ・・・。」
「私もです。」
彼女の切れそうというのは、シンの開発したシャンプーとリンス、コンディショナーとボディーソープの事だ。 シンがいた時はシンが用意をしてくれたものを受け取り、使っていた。 それも無料で。
その為、頭を下げる事がなかったが、それも限界が近かった。
「やっぱり我慢できない!行きましょう!」
「はい!行きましょう!また渡してくれるはずです!」
二人は拠点として使っているホームを出て、スミス商会へ出向いた。
商会に着くと、いつものように尊大な態度で商会長を呼び出した。 そんな彼女らに嫌な顔を一つせずに応対する彼は、やはり生粋の商人なのだろう。
「これはこれはマリア嬢にセラ嬢。 この度はどの様な用事で?」
「私たちの用事はいつものモノしかないわ。 頼める?」
「畏まりました。 どれほどですか?」
「出来れば、予備も含めて3本ほど欲しいわ。」
「分かりました。 ご用意いたしましょう。」
「よろしく。」
スミスは従業員に伝えると、二人の望むものが届く。
二人は当然のように仕舞おうとしたしたところで声がかかる。
「代金はそれぞれ金貨3枚頂きます。 お支払いをお願いします。」
「はっ?」「へっ?」
「ですから代金を頂けますかと、申し上げています。」
「なんでよ!以前はタダで渡してくれたじゃない!」
「そうですよ!なんで今回はお金、取るんですか?!」
「それは貴方方は、シン様の仲間ではないからですよ。 元々、シン様の開発したもの。 私共は代わりに販売しているだけ。 渡していたのは、シン様のパーティーメンバーだったから。 シン様が脱退したのであれば、貴方様に無料でお渡しする道理はありません。 ですから販売をしております。」
「だからと言っても高すぎるわ!」
「はぁ~、貴方様にお渡ししていた物は、最高級品です。 高いのは当たり前です。 どうしますか?」
二人は苦虫を嚙んだような顔しながらも代金を支払い、商品を受け取った。
しかし、彼女らは長い髪が自慢の一つであったことで多くのシャンプー等も使うし、汗臭いのは嫌な為に一日に3回はシャワーを浴びる。 そうなれば、消費も早かった。
一月もしないうちに前と同じ状態になった。
「ヤバいはね・・・。」
「はい・・・。 どうしましょう・・・。」
彼女らは帰る場所はあったが、実家の男爵家では高級品をすぐ帰るような経済状況ではないし、実際にランクアップ時に貰った報奨金も半分は実家に渡している。 いまさら返せともいえないし、それは口が裂けても言えなかった。
セラも出身の修道院の補修工事にマリア同様のお金を渡しているからそれは出来ない。
多額の仕送りをした彼女は今、修道院では英雄のように扱われている。 お金を返してほしいとは言えないのは、セラも同じだ。
そして、もう一人いた。
アランだ。 彼もシンのお陰でスミス商会からお金を無担保無利息で、お金を借りていたが、今回は返済を迫られたからだ。
「なんで、借りられねぇんだよ!前は貸してくれただろうが!」
「アラン様、あの時はシン様がおられたからです。 踏み倒そうとしてもシン様がいたのでお貸ししましたが、いない今はアラン様本人からどのように、どれくらいの期間で返すかを書面で頂かないと、安心できません。」
「はあっ?!ふざけんな!Aランクパーティーと縁があるだけ良いだろうが!」
「では、差し押さえる際に皆様の装備品も差し押さえてよろしいと、取って良いですか?」
「それこそふざけるな!そうなったら依頼がこなせないだろうが!」
「では、どのような形で借財を返済して頂けるんで?」
「それは・・・依頼の報酬からしかないが・・・。」
「平均の依頼の金額は金貨2枚。 頭打ちしたらどう多く見ても銀貨50枚程度。 そうなれば、返済最低額は銀貨40枚は頂かないと、終わりませんぞ?それでよろしいか?」
「なっ!それではなにも買えないし、エールですら数回に一杯しか飲めないじゃないか!」
「ではどうされるんですか?」
「ちくしょう!」
結局、報酬の8割をスミス商会に支払う事を約束する念書にサインするほかなかった。
こうして、輝かしい栄光の陰で借金まみれの英雄が出来上がった。
とはいえ、シンにおんぶにだっこ状態の彼らは、贅沢を覚えた体はそうそうには治らなかった。 その為に借金は増えた。 その為、前以上に依頼をこなしてその支払いに充てると言った自転車操業が続いた。
新規加入組は、それぞれ貴族院と教会からの回し者だから3人が、借金と高級品を買わずにはいられないことを知っていた。 しかし、まるで知らないように声を掛けた。
「皆さんはなんでそんなにお金が必要なんです?一つの依頼で銀貨50枚以上なんてすごいですよ?」
「そうですな。 私もここまではないです。 流石としか言いようがありませんな。」
「「・・・・。」」
「稼ぎが多い方が良いだろう?それだけだ。」
「成程!」「分かりました!私も励みますぞ!」
もっともらしい嘘と知りながらもあたかも納得したような顔で、二人は返した。
そして、3人に背を向けると、二人はほくそ笑んだ。
もう少し、もう少しだ・・・。
彼らは元から3人をそれぞれの組織の飼い犬にするつもりで策謀していた。
しかし、経済観念のあるシンは邪魔だった。 年寄りはお金で解決したが、シンは違った。 実力もある上にバックにはスミス商会がいた。 その為に取り込めなかった。 そこで追い出すという事をした。 3人が互いにそれぞれの通さねばならないものがあることで、絡めとった。 孤児のシンには効かない手だったからだ。
「「「どうにかしないと・・・。」」」
二人の埋伏の毒が、浸透していこうとしている事すら気が付かない程に混乱がしていた。
彼らは互いの消費金額を賄うために依頼をこなすが、鬱憤を晴らすように使ってしまい、支出がさらに増えるという悪循環となった。
借金の返済が滞ってきた所で悪魔のささやきを新規加入組が、伝えに来た。
アラン達はラウンジで少し悲壮感を漂わせていた。
その様子を少し悪い笑顔で見た後で、あたかも心配しているように二人は声を掛けた。
「あの・・・皆さん、どうなさいましたか?最近、依頼の受ける回数が多いので心配していたのですが」
「いや、気にするな・・・。」
「ですが・・・。」
「心配しなくていいわ。 少し今はお金が必要な事があるから・・・。」
「このままでは、体を壊してしまいます。 相談できることもあるはずです。 話して頂けますか?」
「そうです!私たちは小さいですが、我らをサポートしてくれる人がいます!話をしてくれるなら私達も話をしやすいです!」
「彼女もそういっておりますし、皆様は選ばれし者です。 その皆様がお困りならきっと手を貸してくれます。 お話しいただけますか?」
二人の必死そうな訴えにほだされた3人は、互いを見合わせて話し合う。 その様子をみた二人もアイコンタクトで、もう一押しと声を掛けた。
「アラン様、今回は私のお世話になった方の領地が近くにあります。 そちらに支援をお願いして参りますので、お話しいただけませんか?」
「・・・。 分かった。 話そう・・・。」
「ありがとうございます!」
オーバーな位に口を開いたことを喜ぶ騎士の男に3人は、少し救われた顔になる。
頭を下げた男は、少し自身の後ろにいた斥候の彼女に悪い笑顔を見せた。 彼女も首肯定を少しして悪い笑顔をした。
話はすぐに始まった。
少しずつではあるが、3人は互いが贅沢を言った。
彼らからしたらそれがなければ、余裕な生活であるのに・・・・と、思いながらもお首にも出さずに話を聞くのだった。
話を聞き切った後で話し始めた。
「話は伺いました・・・。 まずは我ら新参者に口を開いて頂き、ありがとうございます。」
「ありがとうございます。 皆さま。」
「二人で協議が必要な物もありますが、ひとまずの借財の返済と当座の資金が欲しいでよろしいですか?」
「ああ。」
「「あと、美容品も!」」
「勿論ですよ。」
「まあ、資金についてはどうにかできると思います。 これから向かえば、明日の昼には話が出来ると思いますが?」
「頼めるか?!」
「勿論です。 皆様のお役に立たせて頂けますか?」
「ああ、勿論!」
「私、貴方を疑っていたわ!ごめんなさい。」
「私も・・・すいません。」
「気にしないで下さい。 シン様の代わりを勤まるように励みます。」
「あの~。 私も行っていい?私も頼める所に打診してきます。」
「すまないな。 頼めるか?」
「勿論です。 ではすぐに発ちます。」
「よろしくな。」
「「はっ!」」
3人と別れて自身の部屋に向かう2人は、廊下で我慢した笑いを大いに発散した。
それほどに今の3人は、簡単に陥落した。
「今のみたぁ?あの情けない顔!」
「確かにな。 あれだけ下手に出ていればと、思ったが思いのほか、困っていたようだな。」
「でもさぁ、どこから借りるとか聞かないの?!大変な事になると思わないのかなぁ?」
「いままでシンとかいうあの男が対応していたんだろう?あれでは苦労しただろうな。」
「実力があっても世間知らずとか、ヤバすぎじゃん?うちらの雇い主たち、雁字搦めにして紐付きにするよね?」
「確実にするさ。 その為に俺らがいるんだから。」
「じゃあ!仕事しますか!」
「ああ。 行こう。」
二人は互いの荷物を背負い、アラン達に暇乞いをして互いの窓口になっている場所に向け、各々が出発していく・・・。 アラン達を雁字搦めにするために。
彼らの声を殺した笑いは、3人の転落の序曲になるとも知らないでいる3人はある意味幸せかもしれないともいえる・・・。
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