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戦輪の戦士  作者: KY
39/41

新たな新天地・・・様々な思惑

今回は星雲の絆のメンバーの3人に注目しました。

少しお茶を濁す意味もあります・・・。

アイデアを少し考える為ですが・・・。

俺たちは新たな新天地を踏みしめる・・・。

俺自身が新たな決意で踏みしめたのだから、他の皆はさらに感慨深いものがある・・・。

彼らは虐げられた人生だったのだから・・・。


「ここから新たな刻が刻まれる!」


「「「「「おおおおおっっっっ!!!!!!!」」」」」


里の人々は口々に決意の声を上げた。

新たな新天地は、仮想敵国との国境だが、彼らには悲壮感はなかった。

むしろ、新しい場所での生活に希望を見出しているようだった。

彼らは多くの住人と共に移動を開始した・・・。


だが、その新領地に旨味を求める者にとってもそれはチャンスであった。

その勢力が徐々に動き出す・・・。


<商業ギルド本部>


ここにその旨味を求めた代表でもある商業を取り仕切る組織・商業ギルドが早々に動き始める。

その本部内の会議室では、会議が始まっていた。


「新たにできた新領地には、商業ギルドどころか、商店もないと聞く。 これは我らの躍進できる時と心得るが、いかがか?」


「確かに。 だが、彼の地の領主になったシン殿は、亜人に差別意識のある者は嫌われる。 人選を慎重にせねば・・・。」


「誰が適任か?」


「慣例を通せば、交流がある者がふさわしいと思うが?」


「ほう?すでに知古となった者がおると?」


「ああ。 おる。」


「それは誰か?」


「はい。 当ギルドに所属しておる金プレート商人のスミスと、銅プレート商人のガルーダの両名。 彼に問題なく近づけるのはこの2名です。」


「ほう・・・彼らの躍進の原動力は、彼でしたか・・・。 確かに両名の売る商品は高い購買力を擁しておる・・・。 よし!両名を償還せよ!」


「ははっ!」


こうして商業ギルドから派遣される商人は、2人に決まった。

商会長からも追認がされ、2人は本部に呼び出されて急遽、シンの領地への出向が言い渡された。


「スミス殿。 やはり我らでしたな。」


「ですな。 確かに我らでなければ、最悪はシン殿の機嫌も損なわれかねん。 まあ、ギルドからしたら妥当な所をついてくれたと、いう事ですな。」


「我らも本格的にツキが巡ってきましたな。」


「そうですな。 そのツキが落ちてしまわぬように共に稼ぎましょう!」


「はい!」


商業ギルドから辺境へ向かう彼らは、意気揚々と向かう姿が信じられぬ者が多かった・・・。

商いの多い人口密集地からの出向。

明らかにハブられたとしか、見えないからだ。

だが、彼らは笑顔だった。 当然、それをあざ笑う者もいる。

数年後には彼らが悔しがるのは言うまでもなかったが、今はそれは端に置く・・・。


そして、ここにももう一つ。

その恩恵にあずかろうとする者達がいる・・・。


<教会>


ここにもその旨味を得ようとしている。

だが、彼らには負い目があった・・・。

シンを裏切った者の一人に関係者がいたからだ。


「まったく我が教会の権威を押し上げる絶好の機会というに・・・まったく余計な事をしてくれたものだよ・・・本当に。」


「ええ、ですが、かの国は亜人が多くいる事になるので、やはりこちらもハーフや獣人などの亜人の者を選抜したいと思います。」


「そうだな。 亜人の聖職者は普人の国では、神官以上になる事は出来ませんからな。 良い仕事先になるでしょうな!」


そう言うとゲラゲラと笑う教会幹部たち。

彼らの中では、この方針で決まっていたが、これに密かに潜り込もうとする者がいた。

元星雲の絆のメンバーで、回復担当のセラだった。

彼女は、シンのいた星雲の絆にいた際にシンの内助により、多くの恩恵を受けていた。 が、それを忘れて当然のように振舞った・・・。 その結果が中央修道会の修道院に治療師兼務のシスターとして、拘束されることになった。 パーティーで活躍していた事で、この程度で済んだが、本来なら尖塔に幽閉もあり得る程の聖職者らしからぬ贅沢を知っていた・・・。 幹部連も同様の事をしていたが、表向きではしていない為に表面化しなかった。


「うううっ、どうにかしてシンの領地に行く人選に入らないと・・・でも、亜人の領地になるからハーフや亜人の聖職者・シスターしか行けないし、世話人も・・・。 どうすれば・・・。」


彼女自身の立場では、その人選に入る事がほぼ無理だった。 しかし、彼女は諦めなかった。

そんな彼女が思いついた方法は、人選に入った人物を隠し、その人物に成り代わる事だったが、その方法は看破のスキルを持つ者に見破られ、処罰を受ける羽目に。


「バレないと思ったのに~。」


「貴方は何を考えているんですか?これからという大事な新規布教地でもある場所に向かうのに、人選が慎重になるのは当たり前です。 貴方には追加の罰があります。 覚悟なさい。」


「ふえええ~。」


地面にペタンと座ったまま、悔しがる彼女に淡々と事実を伝える男。

その後、彼女はやはり地方の修道院に飛ばされてしまう。 シンの領地と反対方向に。

そちら行きの馬車に乗せられる際は、ごねたらしいが、屈強な女性騎士達に縛られたうえに放り込まれるという、一味違う乗り込み方をされ、任地へと飛ばされていった。


<戦闘奴隷用宿舎>


思惑を持っている者はここにもいた。

アランだ。

今までの所業から戦闘奴隷に落ち、戦闘の最前線に幾度も行かされたが、その都度、生き残った。

当然、シンの要塞の場所は最前線だから彼らにも話が来た。


「おい!新領地となった要塞に俺らも行かされるらしいぞ!」


「はあっ?マジか?!あんな所に行ったら、帰ってくるなんて出来ないぞ?お前行くのか?」


「無理に決まるだろ!あそこはシンとかいう元冒険者の野郎が、従軍の褒美として切り取った領地らしいんだが、最前線であることは代わりねぇ・・・。 多分、身代わりにされたんだろうよ。」


「可哀そうにな・・・。 まあ、戦闘奴隷の俺が言っても何にもならんがな。」


「そうだな!俺らに來ることはねぇ!今は酒を楽しもう!」


「おう!」


奴隷の一人が聞きつけて来た会話を聞いていたアランは、彼らに近づく。

そして、かつてのハンサムな顔ではない醜くなった顔で彼らに声を掛けた。


「おい、その話は本当か?」


「あん?ひっ!手前は・・・醜面のアラン!なんで手前が・・・。」


「質問に答えろ!どうなんだ?!えええっ?!」


「ひっ!得物を構えんな!話は本当だ!だが、任地は要塞の敵側の門前に設けられた付城らしい!そんなところに居たら、助からねぇぞ!なにせ、門の前に在るから門を開けて貰わないと、入れないらしいしな!そんなとこに行きたいのか?!」


「貴様には関係ない!分かった。 ありがとう。」


「ああ。」


アランは情報を聞き出すと、すぐに統括官の元へ行き、そこへの赴任を打診した。

面倒な事が嫌いな統括官は、かつて赴任先の領主とかつての仲間であることを調べもせずに彼をそこへ送る人数に加えてしまう。


「しめしめ・・・。 これでシンの野郎に仕返しが出来る・・・。 俺をこんな立場に追いやった事を後悔と保証をせしめてやる・・・。 ふふふっ・・・あっははははっ!!!」


突然笑いだすアランに偶然、近くを通った奴隷たちは気味悪そうにしていたが、この時のアランは知らないでいた。 どうやって連れて行かれるかを・・・。


「こんなのあるかよ・・・。」


「何をしている!早く乗れ!」


付城に向かう戦闘奴隷は200人。

当然だが、男のみ。 危険地域に女の奴隷は行かない。 というより女の戦闘奴隷は、本当に数が少ないのが、現実だ。 全体の2割もいない。

宿舎も別で、関わる事はない。 

そうなると、運ばれるのは荒いものになる。

目の前にいるのは、窓のない木箱を大きくしたような馬車。

それに乗せられていくようだ。 当然だが、休憩は少ない事は言うまでもないし、夜寝る時も外に出る事もない。 アランはここに来て、選択を後悔した。

だが、決定は覆らない。 いつものように背中を鞭で叩かれ、乗せられる。

緩衝材のない馬車は、揺れが激しい。 奴隷馬車の御者は、構わず進む為に中は堪ったモノではない。

段差が来るたびに全方位で揺れる。 怪我もする。

そんな移動をし続ける事、10日。 件の要塞首都側に着く。

アランはここから歩かされると思っていたが、そのまま要塞内を通り、そのまま通過して付城内の馬車待機場に乗りつける。


「おい!出てこい!ゴミども!」


「ここは要塞内か?」


「そんな訳ないだろう!奴隷が要塞内に入れるわけないだろうが!」


「マジか・・・。」


アラン達を待っていたのは、隻眼の男。

明らかに自分らを使い捨てとしか思っていない男である為に確信が持てた。

奴隷たちは先乗りしている軍の懲罰隊30人と共同して、ここを守る事が厳命された。 

付城も倉庫の様な物に懲罰隊と奴隷たちの乗ってきた馬車を鎖で繋いで、防衛柵代わりにしただけだったのだ。 見張り台も倉庫の様な物の上にあばら家の様な囲いを乗せただけのモノ。 入り口も元々は屋根があったが、そこが穴が開いたことでそこを流用した見張り台だった。

付城とは名ばかりの代物なのだ。

一応、彼らの居住スペースはあるが、付城の両脇に半円型に造られてあった。

しかし、それも防衛設備の一つになっていた。 どうやら彼らの居住区画も同様に。


「この選択に誤りがあったか・・・?」


「お前さんも騙された口か?」


「いや、俺は・・・。」


「まあ、良いさ。 ここは地獄の3丁目。 門の向こう側に行く事はもうねエ・・・。」


「じゃあ、食料は?」


「基本は自給自足。 警戒の合間に狩りや採集をするんだ。 後は門の通用門から出される食料が渡される。 だが、それも戦闘が始まれば、途絶える。 そうなれば、我らはここにある食料や物資のみが継戦の要になる・・・。と、いう事だ。」


「こちらから補給線を作れないのか?」


「以前に同様の物を作ったが、そこを脱走兵がいてな。 それに切れた国軍の司令官が、その輸送するための金属製の紐を断ち切ったんだ。 それでここは半孤立状態になったんだよ。」


「そんな・・・ここから外出は出来ないのか?」


「外出?そんなものはねえよ。 まあ、大戦果を出せば、望みがあるかもしれんが・・・。」


「そんな・・・マジかよ・・・。」


「まあ、気を落とすな。 若いの。 生き残る事を考えようぜ?なっ?」


「ああ。」


アランは最初の目算が大きく外れてしまった・・・。

しかし、自身はここに来てしまった・・・。 だが、生き残る事を考える事に注力する事に変更せざるを得なかった。


「生き残れば・・・どうにか・・・。」


アランの拙い希望は徐々に削られていく。

断続的に来る侵攻軍との小競り合いと、魔物の侵入。 食料採集の際の負傷から来る病など、大いにアラン達を苦しめた。 時折、要塞から来る物資で食いつなぐ日々だった・・・。

だが、苦労はまだ始まったばかりだった。


そして、もう一人の関係者である学園都市の魔法教師として、赴任した攻撃魔法担当のマリアもこの情報に触れた。 だが、前者の二人とは違う対応だった。


「そうなんだ。 シンも偉くなったね。 まあ、あたしが言えた義理ではないけどね・・・。」


「ん?どうかしたのかい?」


「気にしないで。 かつての仲間が新しい領地の統治者になったって、話を聞いたのよ。 学園で。」


「そうか・・・。 君は星雲の絆のメンバーだったよね?そうか・・・。 どうするんだ?君は?」


「私?何もしないわ。 それにこの体よ?あんな所まで行ったら、流れちゃうかも・・・。 そんな事は出来ないわ。 貴方の子よ?必ず無事に産むわ。」


「マリア・・・。 ありがとう。」


「ふふふっ、私もこの子が出来て幸せよ❤だから良いの。 まあ、あえて言うならこの子が歩けるようになったら、観光でもしに行くわ。」


「そうだね。 分かったよ。」


マリアは二人と違い、学園内で教師としても高い実力を発揮していた。

最初はイヤイヤだったが、学生たちが高い攻撃魔法力と威力は教師としても優秀だった。

それに学生のトラブルで、救出する際も彼女はその能力は大いに役立った。 だが、冒険者としても優秀である彼女の力で、露払いを出来た事で学園内での彼女は行き場を得た。

その流れで学園内の教師の一人、法衣貴族の三男の男性と良い仲になり、結婚した。

互いに貴族であるが、継承権のない者同士であるため、無事に学園都市内に所帯を得る事が出来た。

その翌年には、彼女のお腹に二人の新しい命が授かった。

彼女はその命に歓喜して、彼に報告。 彼も歓喜した。

二人の家族は、新しい孫の妊娠に喜色を浮かべてくれた。

だからマリアは、そこまで新領地に魅力を感じなかった。


「貴方の領地はこの子が歩けるようになったら行くね。」


「なに?」


「ううん。 この子と行きたい場所が出来た事に喜んでいるのよ。」


「そうか?まあ、そうだね。 それまでは、この子を育てないとだね?」


「ええ、でもまずはこの子を産まないとねぇ~。」


マリアはすでに母の顔になっていた。

彼女はかつての彼女ではなかった・・・。 今は自身のお腹に宿った命を慈しむ母親となっている。

その数か月後には彼女は母になり、彼女の腕には珠のような男の子が大きな声を上げる。


「・・・私の子・・・ふふっ❤元気な子ですね?貴方。」


「ああ、よかった・・・本当に良かった。」


初乳を貰った赤子は、お腹が一杯になり、再び眠りについた。

その子を囲み、両親達や兄弟や姉妹が新しい一族の誕生を喜んだ。


「マリア!でかしたぞ!」


「貴方、静かにしてください。 びっくりして起こしたらどうなさる気ですか?」


「うっ、すまん・・・。」


「本当にもう・・・。 ですが、マリアはよくやりました。 これで貴方の家も安泰ですね?」


「はい。 母様・・・。」


「まずは貴方は休みなさい。 子供は我らが見ていますから。」


「お願い・・・します。」


マリアは産後の疲れがぶり返した事で、眠りについた。

それを見ている家族や家人は、休めるように静かに退室した。 お付きの家人以外は。

その後もマリアは産休・育休を得て、再び学園に復帰する。

先の二人と違い、マリアは幸せいっぱいで今日も教鞭を取るのであった。 

この度は更新が大いに遅れまして、申し訳ありません。

このメインの他にノクターンにも出しておりますので、少し遅れています。 すいません。

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