同じ手柄を追うモノ・・・
コロナのワクチンもファイザーだけではなく、複数の会社のワクチンが承認された事で、接種が進んでいくとは思いますが、これが良い方向になる事を願います・・・。 本当に。
ただ、体は疲れています。 どこかで本当に休みたいです。
防衛戦に立つ領主軍の一隊。
貴族家の一つの嫡子に生まれてから自分の好きなように出来た。 それも親と長兄の治世のお陰であることを忘れて、父たちの顔を立てるために俺は来させられた。 しかも死ぬかもしれない戦場にだ。 そうなると、俺は自棄になった。 そこに窮地に応援に来た子爵家の旗を掲げた男に従っていた女二人に目が行ってしまった。
良い女だ・・・。 亜人だが、スタイルも良いな・・・。 今晩の夜伽に差し出させよう・・・。
聞けば、元は冒険者風情のエセ貴族と聞いた。
なれば、構わないだろうと発言したら、我以外の全員から睨まれた。
子爵殿からは、
「窮地に助太刀に来てくれた者に何たる非礼!この事は、生きて帰ったら報告をさせて貰う!」
「なっ?!何もそこまで・・・!」
「まだいうか!貴殿には、彼らと同じ敵を撃破し、彼らより手柄を上げて見せよ!それで不問にするかを考えてやる!」
「そんな!」
周りにいた貴族の歴々に助力を頼む視線を送ったが、帰ってきたのは異口同音の非難の声だった。
当然、子爵殿の意見は通り、俺は彼らと同じ戦場で手柄を立てなければならなくなった。
自身の陣に帰参にし、副官である頬に傷のある壮年の男に声を掛けた。
「おい!我らはこの間来た軍勢と競争する事になった!あいつ等より手柄を上げるんだ!方策を考え、献策して来い!」
「マジですかい?若?それは無理ですぜ?あちらは2万はいる。 こっちは俺の傭兵団の150人と若の悪ガキ集団の40人。 若の方は武技だって怪しいのがいるのに・・・無理ですぜ?」
「それをどうにかするのが、お前の仕事だろう?!」
「なら答えは1つですぜ?」
「なに?!すぐに教えろ!!」
「聞くまでないでさ。 彼らに協力を願うことでさ。 勿論、こちらが下になる事が必要ですけど?」
「なんだと?!それはならん!単独で手柄を立てる術を考えよ!」
「それは無茶ですぜ?危険どころか、全滅しちまう。」
「お前らが全滅は構わん!あいつより手柄を立てねば・・・。」
「若・・・本気で言ってますか?」
「ひっ!」
彼のドスの利いた声が、辺りに響く。
彼は貴族の男の守役ではあるが、それ以前に歴戦の傭兵団の団長でもある。
貴族の男は、その事を忘れていた。 そこで自分本位の意見を出したことで、彼が切れた。
その殺意に当てられた彼は捨て台詞のように方策を考えておけと言って、去っていく。
「どうしたもんかねぇ・・・?」
「潮時ですかい?」
「それならもう無理だな。 もうやらかした。」
「マジですかい・・・。」
彼に声を掛けて来たのは、傭兵団に所属している戦士だった。
今は仕えているが、彼らもあくまで貴族の男に雇われているのではなく、彼らの親に雇われているのですべてのいう事は聞かなくても良いが、彼は出来るだけ彼のいう事をこなしていた。
それが彼を傭兵団の私兵化をしたと、勘違いを起こした。 その結果が、彼の父親である領主様も同様の勘違いの様な物をして、彼に付ける兵・部隊の一つとしてつけられた。 完全な貧乏くじだ。
「やれやれ・・・。 これは・・・久しぶりの盗賊活動かな・・・?」
「それは拙くないですか・・・?」
「ああ、かなりな。」
「でも、どうしやしょう?」
「彼らの軍勢が落ち度を出した所を叩かせてもらうしかないな・・・。」
「それしかないですね・・・。」
ひとまず彼らの行動は決定した。
その機会を図る為に戦場に立つ。 しかし、190人と3万。 どう考えても隙がなかった。
傭兵団の団長は、焦りが出ていた。
進んでいくアニスの召喚兵は、隙を作って見せたと思えば、矢の雨や騎馬兵の蹂躙で叩きのめしたり、重装兵のゴリ押しで潰していった。 傭兵団も僅かな隙を狙って攻撃を加えるが、引き際は召喚兵の用に行かず、出遅れた者は彼らの巻き添えを食った。 訓練を受けている団員は、比較的スムーズに退却したが、悪ガキで編成された若の私兵は被害が多かった。
「くそう!退くなら退くと言えよ!バズとミックが死んだだろうが!」
「周りを見ずに盗賊の真似事していたんだろ?ならば、仕方がないさ。」
「手前ぇは若の私兵だろうが!俺らも守れよ!」
「俺らは若の親父さんとの契約で、若を守る事は決まっているが、お前らは違う。 自身の身は自分で守れよ。」
「くそう!」
悪ガキ連中は、悪態をつきながら去った。
彼らの去った後には、かつて共に悪い事をしていたと思われる男たちが、物言わぬ冷たい体になって横になっていた。 彼らの横に積み重ねられたのが、俺ら傭兵団の団員だ。 被害が少ないとはいえ、4人が死んだ。 悪ガキどもは15人だからその差は大きいが・・・。
とはいえ、まだ初戦だ。 次がある。
「これでは無理だ・・・。 夜襲をして、手柄を上げるか・・・?」
「ですが、それは・・・危険です。 本陣がどこにあるか分からないのに・・・。」
「今から調べるのは・・・遅いな・・・。」
傭兵同士で話し合って、潰した案を聞いていた男がいた。
先ほど団長に悪態をついた男だった。
「起死回生の策があるならやれよ。 これは良い事を聞いた。」
彼はそれを仲間に伝えるために急いで離れていった。
それから行われる彼らの独断専行で、戦況は大きく動いてしまう事に彼らが気が付くのは・・・もうしばらく後になる。
*****
話を聞いた男から聞いた悪ガキ集団は、大いに憤慨して怒りを示したが、そのうちの一人が提案した事に同意して行動を開始した。
「ここに前線部隊の司令部らしき物があった。 それとここに物資の集積所が・・・。」
「こうして俺らも偵察が出来る事が証明された!明日の夜には前線が動くぞ!」
「「「「「「おおおっ!!!!」」」」」」
こうして彼等悪ガキ集団と傭兵団内の欲にかられた者達、50人が無謀ともいえる戦闘に向かう。
その行動は敵側にも発覚しており、彼らはそれを迎え撃つ用意をしていた。
戦闘は一方的で、はじめは奇襲側が押していたが、傭兵団の団員が壊滅するとどうにもならず、次々に討ち取られるか、捕虜になった。
焦ったのは、友人たちが捕まった男爵子息。
大慌てで会議を招集し、彼らの救出を立案するように迫った。
話を聞いていた貴族軍の面々は、冷めたように言う。
「・・・。 彼らは暴走したのだ。 仕方がない。」
「左様。 こちらと連絡を取り合っての失敗ならともかく、彼らが単独で失敗となると・・・。」
「きっ、貴公らは同志を見捨てるのか?!それで大義が立つのか?!」
「それをいうなら彼らの愚行を止めぬ主はどうじゃ?」
「我が悪いと?!」
「それ以外あるまい。」
話にならないと、貴族の面々は去ろうとする。
引き留めようと縋るが、彼らからは異口同音の答えしか来なかった。
相手は降伏するか、この地の支配権を渡さねば、彼らを処刑すると言ってきている。 彼は悩む。
当初の防衛を完結する為には、彼らを見捨てる必要がある。 しかし、彼らは共に過ごした仲間だから見捨てたくはない。 しかし、自身に助けるだけの智謀も兵もない。
傭兵団も30名近い戦死者を出した事で、100名を切った。 彼には見捨てる選択しか現時点ではないのが現実だ。
遠眼鏡で見るこちらが見える場所には、奇襲に出た自身の友たちが杭に縛られてさめざめとしていた。
彼らにもこの中での救出は絶望的だと分かるらしく、泣くだけだった。
遠眼鏡越しに見える友を面白かしく、暴力を振るう敵兵に怒りを覚えながら、自身の無能さに涙した。
「若、彼らに応援を頼みましょう。 彼らを救うにはそれしかありあせん。」
「しかし・・・。」
「このままだと、お仲間は惨たらしく殺されるか、生かさず殺さずの拷問を受けながら死を待つのみですよ? それでも宜しいんで?」
「良い訳なかろう!友だ!」
「なら行きましょう。 我も行きますので。」
「しかし・・・。」
「若!いい加減にしなさい!こんなことしているうちに彼らが殺さるかも、知れないんですよ?!」
「!!・・・分かった。 行こう。」
彼もとうとう諦めてシン達の元にやってきた。
しかし、助ける通りはない。 ひとまず締め出した。
彼はそれに激高し、手持ちの手勢だけでの救出作戦を実行してしまう。 それも傭兵団の助力もなしのままで。
結果は見るも無残な惨敗。 連れて来た手勢の半分が討ち取られ、残りは自身を含めて捕虜になるという醜態をさらす事に。 ここで守役の団長が、直談判をすることで完全に露呈した。
それから間もなく、敵軍が彼とその生き残りを磔台に晒した。
「お前たちの幹部の一人を捕縛したぞ!殺されたくなかったら、ただちに軍を退け、この地の割譲に応じろ!さもなくば・・・わかるだろう?」
「本当に捕まりましたね。」
「俺らに退けられたくらいで暴走するとは・・・。 どれだけ気位が高いんだか・・・。」
「お願いします!お力を・・・助力をお願いします!このままだと、領主様に顔向けが出来ねぇ。」
団長はそれこそ地面に額を擦りつける勢いで、俺らに懇願していた。
これだけ彼の事を心配している人がいるのに・・・と、思いながらも状況を見ていた。
彼らの場所は小高い丘の上。 その周りを歩兵たちが囲み、磔台を見下ろす高台に弓兵らしい軽装兵が集まっていた。 救出に来た際に捕虜共々、射殺すために構えた陣だった。
「無策というわけではないようです。」
「そうだね。 こちらから行くとすれば、弓隊も潰す必要があるね。」
「そうなるとぉ~。 兵を分ける必要がありますねぇ~。」
「ああ、それもタイミングを合わせないと、こちらが纏めて射殺される。 これは難しいな・・・。」
「あっしらも協力します!どうか!どうか!」
団長はいまだ地面に額を付けている。
彼の子息を心配する気持ちは本気の様で、一生懸命願っていた。
彼を思うと、気の毒ではあるが俺も彼女らを邪な目で見ていた男を助ける事に抵抗があった。 団長の立場であれば、契約上でも彼を連れ帰る必要がある。
「これは・・・大変だな。」
「はい。 そのようです。」
「どうか・・・どうか・・・。」
溜息を吐く俺に、淡々と状況を判断して話すヤニス。
にこにことしているだけのアニスとひたすら土下座している団長さん。
そこに領主様から俺に彼の救出作戦をするようにとの命令書が、衛兵さんの1人から渡された。
救出作戦をすることが決定している・・・。
これから始まる・・・。
更新をさせて頂きました。
これからも応援をお願いします。




