領地の危機
確定申告の書類をしながら更新をしてます。
申請手続きの為に医療費の目録を作ったり、必要書類を纏めたりと大変ですが、少しでも還付を得られるように、手落ちがないように頑張って書きます! 皆さんも忘れずに届け出、しましょう!
この日も普段通りに行くはずだった・・・・。
この日は違っていた。 それはギルドに入った途端に状況が一変していた。
雑然とした室内にあちらこちらでギルド職員に詰め寄っている冒険者達がいる。
「どうした?今日は。」
「なにやら緊急事態であることは分かりますが・・・。」
うち等2人で入り口で立ち尽くしていると、冒険者の応対をしていたアンナが気が付いて、駈け寄ってきた。 うちらの前に止まると、手を引っ張られた。
「シンさん!良かった!すぐにギルマスの元へ!」
「えっ?なに?」
「良いから早く!急いでください!」
「ちょっ、まっ・・・。」
「主様?!お待ちを!」
アンナに引っ張られるままに俺は2階のギルマスの部屋に連れていかれた。
ヤニスも置いて行かれまいと、追いかけてきた。 俺は連行されていく。
「ギルマス!シン様が来ました!ギルマス?!」
「聞こえているよ!入ってくれ!」
「失礼します!」
アンナに引っ張られるまま、入室した。
追いていかれないようにヤニスもついてくる。
「すまんな。 今回は細かい事に構っていられなくなってな。 済まないが、今回はかなりヤバい。」
「空気でなんとなくは予想していましたが、どのような事でしょうか?」
「うむ。 それではな・・・。」
ギルマスからの説明には、街の外れにある森の奥から多くの魔物の群れを確認したらしく、偵察を行った所、群れと指揮官個体が数体確認確認された。 それによりスタンピードの宣言がされ、冒険者の招集が行なわれる事態になった。 その中で公表していないとはいえ、Aランクであるシンの参加は外せなかったのだ。 そこで職員に見つけたらすぐに連れてくるようにと申し送っていたとの事だった。
「そうだったんですね・・・。 こちらの森では何もなかったと、思いますが・・・。」
「そちら側ではない。 だが、少し距離のある場所にある。 お前たちの反対側の場所だ。 ただ、少し距離が在るからまだ余裕はあるが、それも距離の問題であって、人手と物資は寧ろ遅れが出ている。 お前さんの里からも人員と物資を供出してほしい・・・。 頼めるか?」
「・・・。 分かりました。 まずは皆に相談をしないと・・・。」
「ああ、構わないよ。 だが、君とヤニスだけでも参加してほしい。 出来れば、防衛人員の供出も頼みたいが、強制は出来ない・・・。 前向きに検討してくれると助かるよ・・・。」
「それは・・・なんとも言えません・・・。」
「前向きに頼む・・・。」
「シン様、ヤニス様。 どうか協力をお願いします。」
そのまま、退室してギルドを出る。
ヤニスと共に街を歩いていると、彼女が話しかけてきた。
「主様・・・。 この依頼はいかがいたしましょうか?」
「うん・・・。 そうだね・・・。 俺は不可避だ。 俺は参加が強制だ。」
「では、私もですね。 すでにCランクになっています。 それに主様の従者で、相棒です。」
「・・・ありがとう。 だが、皆は・・・部外者に近い・・・無理はさせられない・・・。」
「それなら皆さんに聞いてみてはどうでしょうか?」
「・・・そうか・・・そうだよな・・・。 わかった。 聞いてみよう。」
「はい!里の皆も自分の意見は言ってくれます。 行きましょう!」
「ああ!行こう!」
2人で再び里に帰ると、自警団のリーダーになっているロビさんが監視所に続く階段を降りてきた。
俺らは渡り船と声を掛けた。
「あれ?シン殿。 どうかされましたか?本日はギルドの依頼を受けに行かれたはずでは?」
「ロビさん、ちょっと込み入った事になりました。 つきましては相談をさせて貰いたいんですが、よろしいですか?」
「ほう・・・?お伺いいたします。 シン殿の家でよろしいですか?」
「はい。 お願いします。」
ロビさんと共に自身の家となっている屋敷に戻った。
屋敷に入ると、待機している女性達がすぐにお茶を用意してくれて、ロビさんと共にテーブルに着いた。
互いに落ち着いた所でロビさんが口火を切った。
「では、お話しいただけますかな?」
「まずはですが・・・。」
俺はロビさんにギルドであったことを話した。
ロビさんも遮らずに腕組みをしながら聞いていた。 それで一通りの説明が終わると、瞑目して考え事をし始めた。
「ロビさん?」
「・・・シン殿・・・。 お話しいただきありがとうございます。 話は分かりました。 まずは防衛の人手については、大丈夫です。 寧ろ選抜をしないと、大変な事になりますのでそちらは対応します。 勿論、それ以外の人手も出せますので心配なく。 ですが、時間を数日頂けますか?」
「ああ、それは勿論。 でも、いいのか?」
「それは構わないですよ。 獣人はどこにでもいますので。 分かりませんし、面識のある長老は戦えませんから里にいて頂きますし、妊婦や幼い子供は当然ですが、必要最低限の防衛兵力は残しますので。」
「すまない・・・。」
「いえいえ、それでは選抜に行きたいと思います。 準備が出来次第、ご報告します。」
「ああ、よろしくお願いします。」
「では。」
ロビさんは屋敷を出て行く。
出動する人手を選抜をするようで鼻の利く者は、早々にロビさんに売り込みに行く様で数名の男女が追いかけて行った。
「思っていたより多くの人手が確保できそうですね?」
「なんだろう・・・。 なんで獣人とかって、好戦的なの?ダークエルフの人やドワーフさんも?それとも暴れたい頃なの?」
「・・・。 それはわかりません。 ですが、主様に恩を返す機会を逃すまいと思っているのでは?」
「そんな事気にしないで良いのに・・・。 石鹸とかの生産とか、里の維持管理もして貰っているのに申し訳ない位なのに・・・・。」
「主様。 それは彼らの生活に必要な事です。 それも貴方様の技術と場所がなければ、出来ない事です
ので恩に感じると思いますよ?」
「「そうですよ!貴方様がいなければと思ったら・・・恐ろしいです・・・。」」
「そっ、そうですか・・・。 まあ、今後もよろしく・・・。」
「「はい!こちらこそ!」」
館の保守をしてくれている女性達の必死の訴えに少し引きながらも、彼らの不幸な境遇から救い出せたことを喜ぶことにした。
その日は武器の整備や手入れに終始して、これからくる戦いに備えた。
さらに2日後の早朝にロビさんから準備が出来たと、報告が来た。
「シン殿。 準備が整いました。 行かれますか?」
「ロビさん。 分かりました。 参りましょうか?」
「はい。 こちらへ。」
「・・・。 なに?これ?」
そこにいるのは獣人を中心とした自警団の隊員達・・・のはずだが。
そこにいたのは隊員は勿論の事、非戦闘員と思われる人もいた。 その他にも明らかに兵器と思われるモノを積んだ台車も10台はあるし、装備も皮装備がメインだが、要所は金属鎧になっている上に槍や剣の他に弓も強化されているらしく、金属の部品が付いている弓を持つ人もいた。 衛生兵の役目と思われるポーチやリュックサックを担いでいる人も20人はいるし、成人前の少年・少女兵も多く参戦する様で、防具を身に着けていた。
「シン殿。 主力兵は100名です。 怪我の対応や設営をする者も40名程、選抜しました。 これで我らは迎えますぞ!」
「ああ、ありがとう・・・。」
「はい!参りましょうぞ!では、シン殿?一言お願いします!」
「えっ?言うの?」
「はい!お願いします!」
「では・・・一言・・・。」
凄い注目されているんだけど・・・。 だれも助けてくれないし・・・仕方がない。 腹を決めるか。
「今回は自分の都合で君らを動員する事をまずは謝りたい・・・。 そして、君らのこれまでの訓練の成果が発揮される時が来たとも伝えよう・・・。 君らは迫害を受けていた・・・が、君らはもう迫害されていた君らはもういない。 これからは君らは自活したのだ! 共に進もう!そして、栄光を手に入れようではないか!」
その後は彼らのやる気が凄かった。
しかし、空回りしている様なものではなく、明らかに今までの成果を発揮しようとしている方のやる気でだった。
こうして、彼らと共に里を幾つかに別れてから道を目指した。
兵器と思われる台車は、ドワーフの人達が引いてきた。 斥候の出来る人たちは先行し、一行の安全を確保していった。
数時間ほどで領主様の街に着いた。
街の門には、衛兵の集団が待ち構えていた。
「止まれ!誰だ?!」
「シンです!応援に来ました!お目通りを!」
「?! 失礼しました!領主様がお待ちです!お通り下さい!」
「彼らも入って良いでしょうか?!」
「勿論です!どうぞ!」
「ありがとうございます! 大丈夫そうだね。」
「はい。 何よりです。」
シン達自警団は、衛兵の守る街門を抜けて街の広場へ向かう。
広場ではすでに多くの冒険者や兵士、騎士が物資の確認をしている。 その先頭で指示を出しているのが領主様とギルマスだった。
2人はシンを見つけると、手を上げて声を掛けた。
「シン!こっちだ!」
「良かった!間に合ったようですね・・・。 あの人数・・・有難いです。」
「領主様!ギルマス!今はどんな状況ですか?!」
「それはこれから軍議をしますので、そこで・・・。 ですが、大勢を引き連れて来てくれたんですね?感謝いたします。」
「いえ、私も彼らに申し訳ない位です・・・。 ひとまず戦える人は100名程。 後は後方で働く人ですが来てくれました。 それ以上は流石に無理は言えませんでした。」
「そんなことはないぞ!シン!あれだけの人手は本当にありがたい!彼らに大いに感謝したい!駆けつけてくれてありがとう!」
「こちらこそ。 共に頑張りましょう!」
「「勿論だ!!」」
領主様を筆頭にした対策会議が広場で建てられた天幕内で行われた。
状況はすでに差し迫っていて、すでに敵の先発が街の近郊に来ており、冒険者や兵士の中には、戦闘が始まっており、すでに負傷者が出ているという。
その上で偵察の結果、主力もすでに街から数日以内の位置に来ており、陣地の設営がすでに始まっているとの事で、こちら側も先発隊がすでに陣を張った。
これから主力と領主様も前線に移動する事が決定していた。
「我は街を守る剣であり、盾だ!そして、貴殿らに強力な味方が来ている!シン殿だ!我らの為に共に剣を振るってくれる事となった!さあ、共にいこう!!!栄光の道を!!」
「「「「「おおおおおおおっっっっ!!!!!!!!」」」」」」
「進めぇぇぇぇ!!!!」
領主様の号令で、冒険者や兵士、騎士達が最前線に向けて歩を進める・・・。
一大決戦に向けて・・・。
次回から少しずつ戦闘回を書いていきます。
これからも応援をよろしくお願いします!