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戦輪の戦士  作者: KY
18/41

新天地④

体調が優れない・・・。

辛い・・・。


彼らがいなくなり、一週間。

警戒はまだしているが、多くの事が平常通りになった。

それでも引きこもっている間に農業が多く発展した。 特に畑作で生産されていた野菜や穀物は、前以上に生産できるようになった。 それはより自給自足の体勢が整ったことが良い傾向である。


「あいつらの性で自給自足が出来るようになるとは・・・。 なんの因果かね?」


「そちらは・・・分かりませんが、皆が幸せなのでしたら宜しいのでは?」


「・・・。 そう考えるようにしよう・・・。」


俺は気持ちを切り替え、領主様の街へ向かった。

街ではいつもの露天商の呼び込みと受付嬢や解体場の職員との会話をしたのちに領主様の御屋敷に向かう事に。


「領主様の方であいつらの情報があればいいけどな・・・。」


「そうですね。 ですが、情報を頂いた方が良いとは愚考します。 それにご機嫌も取りませんと・・。」


「ご機嫌取りはともかく、情報は欲しい・・・。 行こう。」


「はい。 お供します。」


俺はヤニスと共に領主様の屋敷前に着く。

門番の騎士に声掛けをすると、待っていたらしく、すぐに通された。

玄関口ではすでにメイドさんが待っており、そのまま領主様の執務室に通される。


「シン?!大丈夫であったか?!」


「はい。 彼らに見つかることなく、無事です。 里の者も大丈夫です。」


「そうか・・・。 それは何よりだ。 本当に良かった・・・。」


「領主様、彼らが我らの里を欲したのは、お金や奴隷以外に何があったのでしょうか?知っている事がありましたらお教え願えませんか?」


「勿論だ。 説明するとな・・・」


子爵様の領地経営の恩恵に嫉妬を感じた男爵が、その上でさらなる石鹸等の特産品が出来た事でさらなる差が生まれた。 それでなけなしの資金を出して、里の捜索を頼んだとの事。 しかし、その捜索隊が里を見つけることが出来なかった・・・。 その為に捜索隊には無給で領地を追い出したらしい。


「あいつら・・・追い込まれていんな・・・ホント・・・。」


「主様・・・。 御助けになりますか?」


「いや?流石にね・・・。 あそこまでの仕打ちを受けたのに受け入れるのは無理だ。」


「そうですか。 良かったです。」


「?・・・どうして?」


「主様が裏切られた方の肩を持たれる様な本当のお人よしならどうしようかと・・・。 私も裏切られた側なので・・・。」


「そう・・・だったね・・・。」


彼女も仲間に裏切られ、奴隷として売られた・・・。

それは彼女の中でもいまだ大きい傷になっている。 俺と里の皆と付き合う事で幾分かは軽減したが、その暗い過去は彼女の奥底に渦巻いているのは、変わりようのない事実だから。

彼女も裏切った相手を信用する事は難しい事を伝えていた。


「君らの仲は知らないわけでは無いが・・・助けようとは思わない方が良いと、私は思うよ。 君にとっては・・・いや、我らにとっては彼らは疫病神にしかならない・・・。 理由は分かるね?」


「はい。 領主様・・いえ、子爵様。」


「よろしい。 これからもヤニス君と共に私を支えて欲しい。 いいね?」


「勿論です。 お任せを。」


俺らは領主様に上納する石鹸等をお渡しして、辞した。

門までの間にメイドさん達にえらく感謝された。 その理由は案内役のメイドさんが教えてくれた。

どうやら勤労の特別報酬にシャンプー等を当てたらしく、最初は疑っていたメイドさんもサラサラになっていく同僚を見て、職務に邁進した。 その結果、全員が石鹸やシャンプーとリンスのどれかか、コンプした人もいるらしく、それを納品している俺は神のような存在になっているらしい。


「シン様には本当に感謝をしております。 メイドの中には、綺麗になった事で商家に嫁に行く者まで出ております。 彼女も感謝をしておりましたよ。 なんでも潰れそうな所を助けられたそうで義父殿も感謝していると言っていたそうです。」


「ああ、あの裏通りにいた商人さんかな?確かにそんな歳ではなかったような・・・。 まあ、幸せなら何よりだね。」


「そうでございますね。 私もあとひと月ほどで産休に入ります。 もし男の子ならシン様の御名前を付けようと思います。 よろしいですか?」


「それは・・・まあ、良いですがそれもどうかと・・・。」


「気にしないで下さい。 それの方が幸せになりそうなので。」


「あはは・・・。」


とても幸せそうな顔をしているメイドさんは、確かにお腹が大きかった。

メイド服も比較的ゆったりした物であったために、悪目立ちをしている様には見えないが、服の上からお腹を摩る姿はやはり母になるという女性の強さを感じた。

妊婦メイドさんに見送られ、屋敷を後にする際も庭師のおじさんと門番の騎士さんにショートボトルのお酒をプレゼントする事も忘れない。 結構、こういう顔を売る行動も時として良い方向になる事があるからだ。


「良かったですね。 新しい命の名前になりそうですよ?」


「ヤニス・・・少し意地悪だろ?」


「そんな事はないですよ?自分の名前が他の方の子供につけて貰える・・・名誉な事です。」


「そんなものかなぁ~。 俺はこんな男なのになぁ。」


「ふふふっ、そんな事はないですよ?信頼しています。 主様。」


「それはありがとう。 光栄に思うよ。」


「そうですよ。 愛しの主様です。」


俺らは今日は里に帰らずにそのまま街の宿に泊まることにした。

最初にお世話なっていた宿ではない泊まる事にして、その夜は彼女の奉仕を受けながら夜が更けていったのであった。


「おはようございます。 主様。」


「ん。 おはよう。 昨日はありがとうね。」


「ふふっ、何度目ですかね?この環境は。」


「そうだね。 かわいいよ。 ヤニス。」


夜が明け、二人で起きた状態でヤニスが声を掛けて起きた。

朝の睦言は今回もとても幸せな時であるが。

いつまでも寝ているわけではないので、起きて準備した。


「まずはギルドですか?」


「そうだね。 少し普通の冒険者生活をしてみようか?」


「分かりました。 頑張りましょう!」


「ああ、頑張ろう!」


こうしてギルドに向かうと、いつものように馴染みの受付嬢のアンナから紹介された討伐依頼を受けることにした。 しかし、運が悪い事に件の3人がギルドにいたのだった。


「シン・・・。」


「「シンさん・・・。」」


「お前ら・・・。 なぜここにいる?」


「そんな事はどうでも良いんだよ・・・。 助けてくれよ・・・。 金がねぇから食えねえんだよ・・。 少しで良いから恵んでくれよ・・・。」


「シンさん・・・お願いします・・・。」


「シン・・・お願い・・・。」


「お前ら・・・あれだけの事をしておいて、良く言えるな・・・。」


「あの時はそうするしかなかったんだよ・・・。 お前だってあの立場ならそうするだろう?」


「俺はしない。 仲間を売ってまで手に入れた物はいらないよ。」


「きれいごとを言うじゃねぇよ。 お前もそうするに決まっている・・・。」


「もうどちらでもいいさ。 それじゃあな。」


「おい!待てよ!助けてくれるんじゃないのかよ?!」


俺が用がないと言わんばかりに立ち去ろうとすると、アランが引き留めた。

俺は助ける気もない為、そのまま立ち去った。

後ろではアランが叫んでいるようだが、ギルド職員に奥へ連れていかれたようで、静かになった。

ギルドを出た頃に黙っていたヤニスが声を掛けてきた。


「あの方々が主様を裏切った方々ですか?」


「そうだよ。 最後に別れた時から見ると、えらく疲れ切った様な顔をしていたね。 苦労してるね。」


「・・・。 主様も苦労していますよ?自分も忘れないで下さい。」


「俺はヤニスがいたからね。 そんなでもないよ。」


「・・・ありがとうございます❤ 私もです。」


「どういたしまして。 あいつらも3人もいたのにあそこまでくたびれた顔をしているんだ?」


「それは私からご説明いたしますよ。」


俺は振り返ると、そこにはこの街でお世話になっているガルーダさんが立っていた。

ちなみにシャンプーや石鹸等もガルーダさんを通して、卸している。

ガルーダさんによると、女性二人は俺が渡していたシャンプーやリンス、石鹸が離せなくなっていた。

当然だが、これらは高い。 自分でも拘ったからだ。 しかし、安価なモノも作ったが、それは買わなかったらしい。 その為、貴族用の高価なものを買い続けたとの事。 アランも俺からの支援金があった時と同じ状態のままで、高価なワインや娼婦を買っていたらしく、使い込んだとの事。 解体も販売も俺が担当していた為に高価買取であったがために回っていたが、今は解体がしていない。 もしくはアランがやっていた為に手数料や買取金額が下がっていたらしく、お互いの購入代金にならなかったらしく、借財を繰り返した。 そのうち商人も借財を断られた事で、後ろ盾の貴族から借財をした。 今はその返済を強制的にされているとの事だった。


「とうとうそこまでか・・・。」


「主様を捨てた罰です。 いい気味です。」


「ヤニス・・・。」


「まあ、罰はどっちでも良いですが、彼らはシン殿がいなくなったのにも関わらず、生活を下げられなかったのは、かなり痛手ですね。 私の店でも貴方の製品を割引販売させようとしたので、お帰り頂きました。」


「それで、ギルドで待ち伏せていたのか・・・。 まあ、でもあそこに居座られるのはキツイなぁ。」


「それは大丈夫ですよ。 そろそろ迎えが来るでしょうから。」


「へっ?迎え?だれが?」


「今に分かります。 ほら。」


「えっ?」


ガルーダさんに言われて外を見る。

そこには何かを怒号を叫びながらアランの奴が迎えの馬車に押し込められていた。 押し込む指示をしているのは、新規加入の斥候の少女。

その後ろをマリアたちも盾役の騎士の男に後ろ手にされて、馬車へと歩かされていた。

馬車もどこかの貴族のものらしく、立派だった。


「あいつらの所在もバレていたってことね・・・。」


「監視役は居たという事ですね・・・。」


「まあ、素直に言う事を聞く連中ではないからね。 仕方がないよ。」


ガルーダ商会の商談室の窓から見下ろす形で、3人を見ていた時にふと斥候の少女がこちらを見て、笑顔を向けて頭を下げた。


「?! これは・・・確実にこちらに気が付いてるな・・・。」


「まだ他に監視が?!」


「そうだろうな。 今回の彼らの暴走も多分、あえて泳がしていたな・・・。 もし、それで依頼達成や俺から金をせしめられたら、万々歳程度でな。 案の定というか、あいつらはどれも失敗したんで、回収に来たんだろうね。」


「・・・。 そう考えると、不憫な方々ですね・・・。」


「彼らは今は籠の鳥・・・。 逃げるにしても、まずは首輪を無くさないことには・・・。」


「今の彼らには無理でしょうね・・・。」


「多分な。」


こんな会話をしているうちにアランの奴は、馬車に押し込められており、マリアたちも入れられる寸前であった。 彼女らの方はあまり抵抗せずにしていたが、3人ともが馬車に押し込め終わると、入り口を閉められると、馬車は早々に街をでる入り口に向け、走り出していく。 随伴らしい騎馬や新規加入組も馬に2人乗りをして去っていく。

去り際にこちらに手を振りながら。


「これは・・・少し気にする必要があるかな?」


「それは・・・どうでしょうか?ですが、向こうはこちらと関わる気はないようにも思えます。」


「だと良いな・・・。」


俺らはガルーダさんの商会で里で必要な物を追加で購入させてもらい、ひとまずは街を散策する事にしてガルーダさんの元を辞した。


そろそろ戦いのシーンを入れようと思います。 

最近、ムシャクシャする事が多いのもあり、少し発散する意味を込めて、頑張ってみたいと思います。


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