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戦輪の戦士  作者: KY
15/41

新天地②

新しい年が明けて数日経ちました。

しかし、コロナの件で職場内は依然として混沌しております。

外出がままならない状態で、職員のストレスや不満も増しています。 外出をして収まるとも思いませんがね。

最初の隠れ里の発見からすでに数か月がたった。

最初から見ても里は、大きくなった。 正確には未開発の場所が減った。

洞窟は5つ。 そのうち一つが鉱脈がり、そこはドワーフ族が採掘と精錬をしている。 他は貯蔵庫や物置の様な形でいる。 正確には残り4つはまだ探索が終わっていない。 まだ、探索中だ。

他に最初に発見したしだれ柳の様な場所を開墾したら、奥にさらに農地転用できそうな土地を発見した。 山の一部が浸食等で山肌が崩落し、風雨に晒された事で土になって広い土地を作る事になったようだ。 そこも獣人を中心とした人々の手で耕作地に生まれ変わり、小麦や粟や稗のような食用植物が植えられていった。 自分が初めて植えた食用果実の木も僅かだが、実りを得た。 当然だが、子供達の腹に消えてしまったが。


「ここも実りが出来て何よりだ。」


「すいません・・・。 初めての果実をうちの者が・・・・。」


「「「すいません・・・・。」」」」


感想を述べている自分の後ろで、犬狼族の父親に引きずられてきたと思われる子供三人が、たんこぶの出来た頭でやってきた。

初めての実りは俺が食べたいと思っていたとはいえず、苦笑いをして許した。

しかし、近くにいたヤニスが近づき、声を掛けた。


「主様。 残念な気持ちは理解しました。 今夜、その気持ちを御慰め致します。 それで機嫌をお直しください。」


すぐに彼女を見てしまう自分。 少し朱に染まった彼女に見られ、単純な自分にさらに苦笑いになった。

 彼女の微笑み返してくれるが、その笑顔がとても嬉しかった。 当然だが、その夜は彼女とテントの中で仲良くした。 彼女も俺を抱きしめてくれ、久しぶりに良い慰めになった。


翌朝、日が昇ると目が覚めた。

横には生まれたままの姿のヤニスが寝ていた。 その安心した彼女にどこか安心している顔はここに安心していられる場所をひとまず出来たことが、自分の中で達成感の様な物を感じた。


「これからもこの世界を守っていこう。」


安心した寝顔を見せた彼女の頭を撫でてから起き上がる。

外の空気を吸うために窓を開ける。 入り込んでくる光と風が体を凪ぐ。


「主様?」


「ヤニス?ああ、すまんな。 起こしてしまったね。」


「いえ、構いません。 今日はどうなさいますか?」


「そうだね。 ひとまず皆から預かっている物をギルドに出しに行かないとね。」


「畏まりました。 準備をしてまいります。」


彼女は掛けていた布を纏って着替えを取りに行った。

小一時間ほどで準備が出来たので、彼女を伴って街に向かう。 街はいつもと変わらない呼び込みの声がする。 そんな道をギルドに向かって歩いていく。


「よお!シンの旦那!今日は良い肉が入ったんだ!串焼き買っていかないか?!」


「うちのスープもどうだ?!鍋ごと販売も良いぜ!」


「うちも樽で買わないか?葡萄酒の良い所のワインが樽で買えるぜ?」


「ありがとう。 帰りに寄らせてもらうよ!ワインは樽で買うから用意をしておいて!」


「あいよ!待ってるぜ!」


「こっちも買ってくれよ?!」


「うちも忘れないでくれよ?!」


「心配しないでも寄るから!そん時はよろしく!」


「「「あいよぉ!」」」


出店の店主たちと購入予約の打診を方々から受けながら、ギルドに向かう。

隠れ里で食料が足りない時に確保先は、彼ら露天商たち。 彼らから買えるだけ買い捲った。 それも毎日だから市場通りの屋台や小店舗から大量購入していくダークエルフの奴隷を連れた冒険者。 これほどの目立つ存在はいない。 彼らからしても余る事が多い彼らは数か月の間、売れ残りを出すことなく、追加販売しても購入していくシン達は、これ以上ない上客になった。 この街で商売する者で、シン達を知らない者はいない程に。


「あいかわらず人気ですね?主様。」


「それはどうだろうね?まあ、食料がなかった里では俺が調達する物が唯一だった時もあったからね。 あの時はなりふり構っていられなかったからね。 目立つよね・・・。」


「ですが、彼らにしたら主様はこれ以上ないお客です。 どんな形でも人気な主は、奴隷の私でも誇らしいです。」


「俺はヤニスを奴隷として見ていないけどね。 大事な相棒だよ。」


「・・・ありがとうございます。 ギルドに着きましたね?参りましょう。」


「おう。」


俺らはいつもの納品するためにギルドに入っていく。

ギルド内はいつもと変わらない雑然とした空気が満ちていた。 俺は受付の列に並んで順番を待つ事に。

しかし、アンナがこちらを見つけると、受付の入り口を通ってこちらにやってきた。


「シンさん!よかった!ギルマスが呼んでいます!こちらへ。」


「ギルマスが?なんでだ?」


「分かりませんが、指示に従った方がよろしいのでは?」


「そうだな。 行こう。」


「こちらへ。」


アンナに案内されるまま、ギルマスの居る部屋に向かう。

部屋前に着くと、アンナがノックしてすぐに入室を許可される。


「失礼します。」「失礼します。」


「やあ、よく来たね。 思っていたより早く来てくれて助かったよ。」


「火急の用にも感じますが、何か異変ですか?」


「いや、そちらではない。 君の隠れ里に対して、少し猶予すべき事案が出来たから領主様の元に行ってきて欲しい。 正確に言えば、領主様からの正式な依頼だよ。」


そこまで言うと、一つの封蝋をした手紙を渡してきた。

俺は確認すると、依然に門で見た領主様の紋章がそこに押してあった。 それを見た後でギルマスに声を掛けた。


「開封しても?」


「勿論。」


ギルマスからの言葉もあり、封蝋を切って中身を確認する。

やはり領主様に税収を高めた『石鹸』を始めとした物が、商会を通して行われている事は分かっていた。 その上でその生産拠点が『隠れ里』にあることまで掴んでいる貴族が、それを我が物にしようとしている事を掴んだ領主様が、相談したいとの申し出だった。


「手紙の内容はご存じで?」


「いや、知らない。 が、予想は付く。 私が言えることは急いだ方が良いよ。 それだけだ。」


「分かりました。 これから向かいます。 納品は後日で良いですか?」


「ああ、それでいい。 君のお陰でこちらも良い思いをしているからね。 それくらいは待つよ。」


「すいません。 では。 ヤニス、行くよ。」


「はい。 主様。」


俺はヤニスを連れ、ギルドを後にする。

アンナに見送られ、領主様の館へ急いだ。 

館では門番の兵士さんがいたが、名前を名乗るとすぐに門を開けてくれた。 人用の小さい方だけど。

館前まで行くと、今度はメイドさんが待っていた。


「シンです。 領主様に呼び出しを受け、参りました。」


「はい。 ありがとうございます。 お待ちしておりました。 どうぞ。」


「失礼します。」


彼女に促されるまま、二人で彼女の後に付いて行く。

ヤニスが少し躊躇ったが、メイドさんが「二人共で」と言われたので、そのまま入っていく。

領主様の応接室の様な部屋に通され、待機するように言われる。 うちらが入ると、メイドさんはお茶を入れてくれてから壁の花になった。


「主様。 今回の呼び出しはどういう事でしょうか?」


「予想だけど、隠れ里で生産されている者は商会を通しているけど、最後は領主様の税収になる。 その収入は調べればわかる。 その原因はどこにあるかは簡単だ。 隠れ里がどこにあるかわからなくても存在が分かれば、妨害は出来る・・・と、いうとこかな?と、思っている。」


「そんな・・・酷い・・・。」


「残念だけど、ここの領主様の様な善政する人だけではないんだよ。」


「過分な誉め言葉と取っておくよ。 まずは来てくれてありがとう。」


「お邪魔しております。 領主様。」


領主様が入室すると、立ち上がり頭を下げた。 ヤニスも従う。

領主様も相向かいの席に座る。


「早いうちに来てくれて感謝してるよ。 事態が事態だからね。 対策を講じておきたいんだ。」


「領主様。 その事態とは?話は手紙である程度は知りましたが。」


「ああ、説明するとな・・・。」


領主様の隣に領地を統治している領主がおり、その方とは森を超えた川を境界にして、分けている。

その領主が隠れ里の事を知ってしまい、その領有を主張しようとしているらしい。 代表者が貴族でないために森の割譲と里の譲渡を交渉しようとしているらしいとの事。 その為、これまでも貢献を含めて叙勲をして領有を主張させることで、守る事を提案された。 勿論、領主様の真下になる事で。


「して、どうだろうか?無論、税金は今までと同じで商会を介して貰って構わないし、形式上で良い。 勿論、こちらの危機には協力してもらうが、そちらの方の事も対応すると約束する。」


「・・・。 爵位はどのあたりを頂けるんですか?」


「相手は男爵家だ。 我は子爵位を頂いているから名誉伯爵までなら与えられる。 なので、その爵位を与える。 そして、隠れ里周辺の土地をこれまでの功績として渡す。 そうすれば、ちょっかいは出されない・・・いや、出してきても対応が出来る。 どうかな?」


「それがないと、もし彼らが来た場合に守り切れないと?」


「残念だが、そうなる。 まして隠れ里が亜人の里と知られると、さらにまずい事になる。」


「至上主義の方なのですね?」


「その通り。 そうなれば、彼らの運命も決まってしまう。 勿論、君の相棒もだ。」


俺はふと、ヤニスを見る。

そして、思った。 苦労した上でやっとの思いで手に入れた小さな幸せを俺の我儘で手放さざるをえない事態になるのは、大変マズイ。

それに彼らに愛着もあるし、仲間としての絆も感じているのに破壊されてたまるかと、気持ちがふつふつとわいてくる。

答えは一択しかなかった。


「領主様。 貴方様の旗下に入ります。 爵位もお受けします。 よろしくお願いします。」


「そうか!決断してくれるか?!」


「はい。 ですが、よろしいんですか?私は冒険者ですよ?」


「それは構わない。 それに人となりは、これまででよくわかった。 君が亜人の人々を大切にしている事もな。」


「分かりました。 そこまでいって下さるなら何も申しません。 共に頑張って行きましょう。」


「君の決断を後悔しないように努力するよ。」


「お願いします。」 


領主様と握手を交わすと、叙勲を受けた。

自身の配下には、自分で行う必要があるらしく、館の一室で行われた。

儀式後は領主様から魔法紙のような物に爵位を示す物が渡され、貴族を示す短剣も授与された。


「これからは盟友だ。 よろしく頼むぞ?」


「勿論です。 よろしくお願いします。」


「うむ!」


旗下に入る事に挨拶をして、ひとまず領主様の開いて下さる宴に参加させて頂いた。

宴には、領主様ご家族が主催して下さり、隠れ里の長老クラスと御付き数名までは参加させて頂いた。 その為に外で行われ、こちらも自分の食い扶持くらいはと、中型位の魔物肉を3頭分とその他の野菜・果物も持ち込んだ。 領主様は『そこまでしなくとも・・・』と、言っていたが自分らの余計に食べる分だと言い、納得して頂く。

当然、余ったら使用人の方々に丸投げする気マンマンだが。 


「シンよ。 貴殿の里で生産される製品は我が領地に大いに潤いを齎しておる。 だから感謝しておるのだ。 お前たちが来たお陰で市場も、酒場も大いに潤った。 そこから上がってくる税のお陰で滞っている案件にも手が出せるようなったんだ。 ありがとう。」


「領主様。 これからは我らは部下です。 貴殿ではなく、シンとお呼びください。 形式上でも部下は部下ですから・・・。」


「そうであったな!シン!今後も頼むぞ!」


「はい。 ですが、協力もお願いします。」


「無論だ!共に発展して行こう!」


「はっ!」


領主様も大いに酒を飲み、里の人も大いに楽しんだ。

領主様本人もご家族も、使用人に至るまで亜人に変な偏見を持たずに対応してくれた。 里の皆も楽しい宴に参加することが出来た。


「これからもよろしく頼むよ。」


「はい。 畏まりました。」


宴会はつつがなく終わり、領主様家御一同に見送られて長老たちと共に隠れ里に帰還した。

長老も偏見のない領主ご一家の招きに感動し、大いに喜んでいた。


「シン殿!叙勲、おめでとうございます!あの領主様でしたら悪いようにはなさらないはずです。 これからもよろしくお願いします!」


「こちらこそ。 よろしくお願いします。 共に頑張りましょう!」


「勿論です!我らの出来る事は、応援しますし、協力させて頂きます!」


「「「「「そうだ!そうだ!」」」」」


「ありがとうございます。 ひとまず里へ戻りましょう。」


俺は里の人達と戻っていく。

里では、あっという間にシンの叙勲と里と周囲の森の領有が決まった事が伝わった。

里の皆は、諸手を上げて喜んだ。 自分らの居場所が認められたという事実に皆で喜んだ。

それによりシンは領地持ちの貴族になり、里の皆はその住人として、民として領主様の配下になった。

俺は達成感のようなモノを感じていた所にヤニスが声を掛けてきた。


「主様、領有と叙勲が認められ、ここの自治を得ました。 ですが、やはり防衛にも人員を割くべきでございますが、他種族の連携もあり、話し合いを行うべきです。」


「そこにつきまして話したいことがあるんじゃが・・・。」


声を掛けて来たのは数名の長老たちだった。

彼らが言うには、ここに来てから彼らは自警団のようなモノを編成して周囲の警戒と狩りをしていた。 その他にも探索も種族を超えた編成をしていた事を報告された。 だから防衛面も心配ない事を報告されたのだった。


「確かに・・・ダークエルフの人が建てた監視所に獣人やドワーフの人がいたこともあるのは見て知っていたけれど・・・そこまでできるの?」


「多少の不安はありますが、大丈夫ですじゃ!若いもんが、どうにかするじゃろ!ひゃひゃひゃ!」


「長老・・・。」


話しかけてきた長老達は、他人事のようにゲラゲラと笑い飛ばしていた。

そんな老人たちを苦笑いではあるが、みている。

ひとまず戦闘が出来る人たちが集まってくれる事になった。


「シン殿!集まりました!警備の者は来ておりませんが、それ以外は集合しました!」


「本当に集まったね・・・。 こんなに居たんだ・・・。 思っていたより多いな・・・うちの里の人口は。」


そこには100人近い武装した彼らがいた。

最初の時はやせ細ったいた彼らも今では逞しい姿になっている。 彼らの存在が里の安全を保っていた事を改めて感じた俺だった。

作者は少しでも皆様の慰めになれればと、努力はしております。 微力ですが・・・。

応援、よろしくお願いします。

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