小悪魔との出会い
四月、それは出会いの季節である。
思春期の高校生ともなれば、それは尚更感じるものである。これから起こるであろう様々な出来事に期待は込み上げ妄想は膨らむ。
ついに高校生…!入学初日を迎えた俺のテンションは最高潮だった。高校では何をしたいか…考えればキリがないが一つ目の目標といえば勿論彼女を作ること。
中学までは本当に非モテだった俺。その理由は野球部に所属していて坊主だったから(と信じたい)
このように生まれてこのかたモテという存在とは縁遠い存在だった。だがそんな俺も高校生になった。環境の変化は心の変化。勇気を出して変わろうと思った。
その為に勿論坊主は卒業。中学では眼鏡だった俺だが思い切ってコンタクトデビュー。髪型は軽く遊ばせてオシャレに。高校デビューという程ではないが、身なりにはそこそこ気をつけたつもりだ。
高校ではリア充になってやる!そう決意した所で学校に到着した。
校門をくぐった先には大きな看板が。そこにはクラス分けが書かれていたが、見るとその人数に驚く。さすが高校…自分の名前を見つけるだけで手間取った。
クラスを把握して教室へ向かう。さすがに少し緊張してきた。この初日は重要だ。なぜならクラスでの自分の立ち位置がかかっているからである。今日から約一週間…この期間の過ごし方でほぼクラス内のヒエラルキーというものはほぼ決まる。逆にここでしくじってしまうと、今後そのポジションからの脱却は困難になってしまうのだ。
明るくいこうぜ俺…深呼吸を一つして教室へ。黒板の座席表を見ると1番後ろだった。
(ええと、俺の席は…あった)
その時、自分の席の隣にいる女の子と目が合った。身長は低く、目は大きい。まるで小動物のよう。顔はまあ…可愛いな。
「初めまして!私白石って言うの!これからよろしくねっ!」
ニッコリと満面の笑みを浮かべるその女の子に、俺はドキッと………なんてことは、なかった。