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プロローグ

ずっと後悔してた。あれだけ時間があったのに、何も出来なかった自分に...


「幼馴染?そんなわけないじゃん。ほとんど話しもしたことないわよ。たまたま近くに住んでただけ」

そうばっさりと切り捨てたこの女、紫原夏虹。

日本人形の様な綺麗な黒髪に、モデルの様なすらりとしたスタイル、少しツンとした表情で可愛い系というよりは綺麗な方。

30歳を目前にさらに色っぽく女らしさに磨きがかかっている。

道を歩けば誰もが振り向くようなこの美女にはっきりとばっさりと何故今心を打ち砕かれているのか。



俺の名前は毛利るい、27歳。しがない会社員で今は鞄メーカーで働いている。

特に特徴もなく、普通を絵に描いたような人間。

仕事にも、未来にも特に何の期待も持てないままもうすぐ20代を終えようとしている。ちなみに彼女もいない。…泣きそうだ。

今日は、高校時代の同窓会。20代後半にもなると結婚してる奴や出世してるやつもいるだろうし、どうせ自慢話聞かされると思うとあまり気は乗らなかった。

でも、どうしてもあいつに会いたかった。

卒業してすぐに地元をでたから

高校以来、一度も会っていない紫原夏虹に、

最後に言われた一言だけがずっと心に残っている。


「るいって、、、ほんとチキンだね」


今も思いだすだけで胸が痛くなる。


「お疲れ〜」

「おーるいじゃん!久しぶり」

「おーたくやも久しぶり」

高校時代によくつるんでいたたくや、お調子もので誰とでも仲良くなれるこいつのおかげでクラスでも楽しく過ごすことができた。

「るい、今日来たの夏虹ちゃんに会うためだろ」

「えっ、まあそれもあるかな、それだけじゃないけどな!」

「あの頃も可愛いかったけど、夏虹ちゃんすげー美人さんになってそうだよな。まだ来てないけど今日こそは話せるといいな」

「うるせーな、もうガキじゃないんだから話くらいできるわ」

「おーいいますねー。家まで隣だったのにほとんど話しも出来なかったくせに。

あれから実家にも帰ってないんだって?

どんだけだよ」

「忙しいんだよ」

ガラガラ、

「いらっしゃいませ〜」


「お、来たんじゃないか?」

たくやにそう言われ入り口を見ると、あの頃よりもさらに美しくなった夏虹がいた。


そして、冒頭の夏虹の発言に至る。

酔ったたくやが

「夏虹ちゃんって、るいとお隣なんでしょ?学校も一緒だったし、幼馴染ってやつでしょ」

地雷踏みやがってこの馬鹿が。

この後もう浴びるようにお酒を飲み、他の事は何も思い出せなかった。


帰り道、さっきの夏虹の言葉が頭の中でずっとリピートしてる。

「あーなんで、こうなったんだよ。

学生の時、拗らせてなければ今頃違ったのか」

思春期とは男の子を拗らせるものである。

俺は女子と話すのがそんなに得意じゃなかった。

特に夏虹とは顔を合わすだけで照れてしまい、話なんて出来るはずもなかった。

「今ならなー、大人になったし営業で鍛えたコミュ力でもっと上手く出来ると思うんだけどなー、小さい頃は少しは遊んでた気がするんだよな、妹とはちょくちょく遊んでたみたいだし」

酔っ払ってぶつぶつ言いながら歩いていると路地裏から声を掛けられた。

「おやおや、酷い顔してるねえ、何か嫌な事でもあったかい?」

黒いマントを被っていかにも魔女のようなおばあさんが杖を持って路地に座り込んでいた。

酔っていた俺は普段なら絶対に怪しくて無視するところだが

「嫌な事しかないですよー、ウィッ、へへもう人生やり直せませんかねー」

「おや、やり直したら上手くいくのかい?」

「そりゃもう、状況はばっちりなんで後はフラグを立てまくるだけですからね!」

「そうかい、そうかい、そりゃ見てみたいもんだね。それじゃあやり直してみな、どうなるか期待してるよ」

そう言うと杖からものすごい光がでて、

ピカーー!

(うわ!やべ、クラクラする。飲みすぎたか、あ、やばい)

るいは何かに引きずられるように意識が遠のいていった。


「次に会う日を楽しみにしてるよ、ヒッヒッヒッ」

最後にそう聞こえた気がした。

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