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流れ寄る男一人

この度初めて投稿させていただきます。

まだ投稿の仕方がよくわかっていないのでお見苦しい点もあるかと思いますがご容赦ください。


 うめき声を上げながら目を覚ますと砂浜にいた。幾度となく波が俺の足に覆いかぶさっては消えていくのを感じる。

 俺は何とか立ち上がりふらつきながら歩く。しかし、濡れた服は重く体にまとわりついて俺の身動きを封じてくる。あと少し、あと少しと木まで歩くが、次の瞬間には気を失っていた。



・・・・・



 波の音が遠くに聞こえる。目をあけると壁も天井も白い部屋にいて、窓から差し込んでいる光が部屋をより一層白くしていた。

 体力がないうえに疲れ切っていて動くのが億劫だ。俺はベッドの中で体を丸くする。

 ガチャ キー

 ドアの向こう側に気配を感じたと同時にドアが開かれた。そこには何といえばいいのかわからないが、一言で言えば猫がいた。いや、正確に言えば猫のような人間?人間のような猫?自分でもよくわからない。


 「目が覚めたのにゃ。もう大丈夫なのにゃ。」


 よくわからない状況で疲れているうえ、不可解な存在が不可解なしゃべり方をしてくる。俺は考えるのをやめた。


 「ウミシマ王国、海事組合のレナなのにゃ。ここで灯台守助手をしてるのにゃ。」

 「・・・。」

 「とりあえず、名前を教えてほしいのにゃ。」


 レナは申し訳なさそうにボケっとしたままの俺に促す。


 「あ、えー自分は波戸場太平です。で、自分はどうしてここに?」

 「海岸に打ち上げられているのを子供たちが見つけたからここに連れてきたのにゃ。一応聞いておくけど、太平にゃんはこの国の人間じゃないのにゃ?」

 「え?ああ。日本人。日本っていう国の人間だよ。」

 「二ホン?聞いたことのない国なのにゃ・・・。」


 考えながらだと、どうしても返答がぎこちなくなってしまう。結局考えるのをやめていたにも関わらず、すぐに考えさせられることになったのだ。冷静になればなるほど、情報が入ってくるほど考えることをせざる負えない。ウミシマ王国だなんて知らないし、レナの獣耳は完全に頭から生えていて作り物ではないし、俺が知っている世界の常識とは違うのだ。


 「そ、そんなに心配しなくてもいいのにゃ。太平にゃんのことは海事組合が責任をもって保証するのにゃ。」


 俺の考えている様子を勘違いしたレナは、ワタワタしながら俺に伝えてくる。心なしかそのしぐさが少しかわいらしく感じる。


 「一応海事組合で海難届を出すから、日本に行く船があれば便乗できるのにゃ。」

 「(そんな船見つからないだろうな。)」

 「とりあえず、便乗できる船が見つかるまでゆっくり休んでてにゃ。」


 俺の中ではこの世界は異世界ではないかという仮説が成立していた。なぜ仮説なのかというと、ほぼほぼ異世界と確信しているが、それを認めたくないがために仮説ということで自分の中で止めているのだ。まあ、こうなったらなるようになれだ。あとは流れに身を任せるだけにしよう。

 そんなことを考えていると、レナはいきなりドアのほうを振り返った。




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