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39.恐竜の駆除って無理っぽい


「なんであんなもんが出るんだか……」

 町長、頭を抱えておりますな。無理も無いです。

「とにかくおとなしくしてくれてるんだから、今は様子見の一手ですって」

「賛成だ」「賛成」「賛成です」

 松本三佐さん、蝦夷大生物化学科の宮本先生、医学部の西里先生も頷きます。

「あんなデカブツ、撃ち取れるライフルがねえよ。触らぬ神に祟りなしだな」

 会長の長門さんもそう言いますし、事務局の田原さんも事務局補佐の清水さんも頷きます。


 ここは町立図書館です。役場の敷地内にあります。

 そこのテーブルにありったけの本積み上げられて対策検討会議です。

 町のちっちゃい図書館ですから、専門書などあるわけがなく子供向けの恐竜図鑑や百科事典ぐらいしか今はありませんが、とりあえず無いよりマシです。


 デスクの横では僕のパソコンがワンセグのアンテナ立ててテレビの中継映してます。

 はい、一夜明けて警察が牧場を包囲してます。

 包囲したからどうなるってものでもありませんが、とりあえず自衛隊の災害派遣チームが到着するまでです。水門は一応閉じました。

 政府としては再び災害派遣を決め、自衛隊を出動させてくれるそうです。

 最寄りの駐屯地の松本三佐さんは隊の指揮を任されているわけですから、ある程度作戦は立てておかなければなりません。町、牧場関係者とのすり合わせですね。

 もちろん農政課の大山課長も来ています。今回一番の被害者でしょう。


 全員でガヤガヤ、図書館にあるまじき騒がしさで司書さんの視線が厳しいですが、そんなこと気にしてる状況でもありません。


「トリケラトプス、和名は三角竜。全長9メートル、推定体重5~8トン。白亜紀後期で今から六千五百万年ぐらい前に北米に住んでた恐竜。一番肝心なとこは、草食だってことです」

「シンが、とっさに『撃つな』って言ったのは、あれが草食だって知ってたからなんだな」

 会長が図鑑を見て言います。いい大人が集まって頭よせて恐竜図鑑を読みふけるのがなんともおかしな光景です。

「そうです。まあトリケラトプスと言えば別に恐竜に詳しくない人でも名前ぐらいは聞いたことがあるでしょうし、草食だってのもよく知られていますから」

 全員うんうんと頷きます。会長は知りませんでしたか。


「撃ってたら大暴れして大変なことになってたな」

「いやあれを撃たれたらかなわんよ。絶対生かして研究しないと」

 宮本先生もそう言います。西里先生は医学部ですから、今回口を出しては来ませんが。

「相変わらず中島君の判断は適切だ」

「いやあ、あの場でアレを撃つとか誰も思いませんて。どう考えたって怒らせるだけです」

 自衛隊だってアレは見たらとりあえず逃げるでしょう松本さん……。


 ノートパソコンのテレビ画面、今牧場外からの望遠カメラでの中継映像出ていますけど、トリケラトプス、牛と一緒にくうくうと牧場の真ん中で寝ております。

 なんかかわいいです。9メートルありますけど……。立ち上がった高さは2メートル超えてました。


「牛が放牧されたままなんだけど……」

 大山課長さんが大心配です。管理責任者のトップとして当然ですね。

 牛と一緒に昼寝して、牛と一緒に草を食べ、牛と一緒に水飲み場で水を飲むトリケラトプス、シュールです。おっかなくて近寄れませんから、牛を追い立てて牛舎に戻すことができませんで、そのため牛たちがまだ牧場に放牧されたままなんですけど、妙になじんでます。アレを怖がったりせず一緒に草食ってる牛たちにも驚きですけど。


「なんで牛、あんなでかいのが一緒にいても平気なんですかね?」

「ほら牛は牧場の中、大型トラクターとかいつも走り回ってるから、慣れてるんだろ」

 なるほど、言われてみればそうですね。

「でもあの恐竜なんで牧場に入って来たんだろうな……」

 大山課長が不思議顔です。

「トリケラトプスの習性ですが、肉食恐竜から身を守るために集団生活していた、大きな群れを作る習性があったはずなんです。たぶん牛の群れ見て、それに加わるつもりで牧場に入ってきたんだと思います」

「なるほど、牛がいる分にはおとなしくしていてくれると」

「はい、アフリカのサバンナでも見られるんですが、シマウマや水牛、インパラとかが種が違うのに同じ場所で大きな群れを作ります。そうすることでライオンとかに自分が食われる確率を下げるんですね。トリケラトプスにしてみれば一緒に群れを作る相手は誰でもいい。自分より弱そうだとなおいい。安心できるんだと思います」

「しばらくは牛と一緒に放牧しておけば問題ないか……。しかし中島くんは何でも知ってるねえ」

「テレビの動物ドキュメンタリー毎週見てますから」

 役に立たないと思ってた知識もいつか役に立つこともあるんですなあ。


 ……この時点でまだみんな気付いているのかいないのかわかりませんが、あんなデカブツが牛の群れに隠れなきゃいけないってことは、アレを狩るさらにデカブツがいるってことなんですよ……。フラグになるので言いませんが。


「でも放っておくわけにもいかないしなあ。牧草そろそろ刈らないと冬の間のサイレージが確保できないよ」

 サイレージってのは簡単に一言で言うと保存用の干し草みたいなもんですね。冬の間や、牛舎の中にいる間の牛たちのエサになります。


「あんなデカブツに居座られちゃ、エサの牧草が足りなくなるしなあ……」

 そっちの心配ですか。

「……まあそれは町内の牧畜農家さんの協力を仰ぐってことになりますか」

「当面はそれでいいんだが、万一暴れ出したりした時の対策は考えておかないとな。ライフルで撃ったって死なないだろあんなの」

「自衛隊の装備でもなあ。まあ小銃は無理、12.7ミリ重機関銃でどうか。戦車砲ならさすがに一発で片が付くが、牧場に戦車を出動させて発砲ってのはいくらなんでも」

 猟協会と自衛隊が考えておかないといけないところはそこですね。


「えーとですね、狩猟では通常体重100キログラムにつき銃弾のエネルギーは100kgf・mのパワーが必要だと言われてます。単純計算するとトリケラトプスは体重8トンとして8,000kgf・mのパワー。78,400ジュールのエネルギーが必要ですね……。松本さん、その重機関銃ってエネルギーいくつですか?」

「口径50BMG、12.7×99ミリNATOだな。だいたい14,000ジュールだね。最低でも六発はぶち込まないとダメってことか?」

「うーん、狩猟では、弾をいっぱい撃ち込むってのは、強力な奴を一発撃ち込むかわりにはならないんですよ」

「そうだな」

 会長も同意してくれます。会長の使うライフルは300マグナム。馬稲町猟協会で一番強力なライフルですが、強力だからってどこに当たっても獲れるというわけではないのは会長も経験上わかってます。それでも、クマを撃つにはやっぱり300マグナムが有利なのは間違いないんですが。


「急所に届きません。肉が分厚いと心臓や内臓に届く前に止まってしまいます」

「そうそう。シカでもクマでも、カラスを空気銃で撃ってもそうだけど、急所に当たっても逃げられる場合は多い。急所を貫くパワーは絶対必要」

 そうなんですよ。僕も一年ほど散弾銃で鹿やキツネを撃ってきましたが、急所に当たっても逃げられるってことを何度もやりました。ヘマしてるわけです。

 シカは足を一本吹っ飛ばされてもちゃんと逃げます。四つ足ってのはそうです。

 血の跡を追跡して、死んでたってことはありますけど、基本野生動物というのは急所を外したり急所を貫くパワーが足りないと逃げられて獲れません。


「これを見てください」

 動物図鑑をもってきます。ページを開いて、アフリカゾウを見せます。

「アフリカゾウ、体重は6トンから大きいやつで8トン、最大10トンなんてやつもいます」

「……トリケラトプスと同じぐらいの体重か」

「これ、今は保護動物ですけど、昔は狩猟されてました。ライフルで」

「ああ! そうか! 水平二連のライフルで獲ってたなあ!」

 会長も知ってるようですね。

 英国の(ホーランド)(アンド)(ホーランド)社のライフルですね。百年も前から英国貴族はこの375口径のマグナム弾でアフリカの猛獣を仕留めてました。375マグナムというと、357マグナムというリボルバー用の拳銃弾と間違える人もいるかと思いますが、口径はでかいし薬莢は図太いしで全く違うライフル用強装弾です。

「つまりゾウ撃ち用のライフルでトリケラトプスも狩れると」

「はい。可能性はあります」


「そんなライフル日本で手に入るの?」

「375口径ですから9.5ミリですね。日本で許可されるライフルの最大口径は10.5ミリ以下ですからギリギリ買えますか」

「そりゃすごい。いくらするの?」


 図書館のWi-Fiでちゃっちゃと調べます。

「二千万円以上ですね」

「買えるかあああああああああ!!」

 会長と清水さん絶叫。


「あっはっは。これ英国貴族御用達でね、一丁一丁、オーダーメイドの受注生産なんですよ。注文して一年ぐらい待たされて、何度か来社して体に合わせてもらいまして、そうすれば唐草模様が彫刻されたすごい立派な奴作ってもらえます」

「……いやいやいやいや無理だろ。役場の予算でも無理」

 町長がガックリです。

「レミントンとかスターム・ルガーでよかったら同じ弾撃てるライフルが二千ドルぐらいです」

「あるんじゃない。二十万円か。まあそれぐらいなら役場で補助出しても……」


 子供のころおじいちゃんに、「世界一強力なライフルってなに?」って聞いたとき、「ホーランドライフルだよ、ゾウを撃つのに使うんだ」って言ってました。今はもっと強力な奴があるらしいけど。

 ティラノサウルスも倒せるってやつもあるらしいです。577T-REXですか。なんか撃った人が吹っ飛んでる動画がいっぱいあって笑えました。威力だけ強くしても人間に撃てる銃じゃないと話になりませんもんねえ。

 375H&Hマグナムなんてのが百年も前から変わらず使われ続けているのは、威力と人間に扱える撃ちやすさの妥協点がそのあたりってことです。銃がいくら発達したって、それを撃つ人間の方は百年ぐらいでなにも進化しません。今はマズルブレーキとかでかなり反動を軽減している銃もありますから、各社から高威力のマグナム弾はいろいろ発売されていますが、ゾウが保護動物になった今は試しようがなく実績があるとは言えませんし。


「中島君それパワーどれぐらい?」

 松本三佐さんが聞きます。

「4,660フィート・ポンド。6,319ジュールですね」

 ノートパソコンでちゃっちゃと計算します。

「なんだ、じゃ50口径でも仕留められるじゃない」

「そうですね。うん、いけるかもしれませんね。弾の形が違いますが」

「弾の形?」

「はい、これ見てください」


 ネットに載ってるH&H375マグナムの写真、パソコンで見てもらいます。

「先が丸いでしょう」

「ホントだ」

「ラウンドノーズっていうんです。先が丸いフルメタルジャケットですね。先がとがってるスピッツァー型の普通の弾だと分厚い皮膚を通り抜けるときに角度が変わって曲がって進みます。柔らかい組織の方に弾が逃げちゃうこともあります。こういう弾のほうがゴリ押しで進みますので狙った急所に当たるってことになってます。大型猛獣とか、アラスカやカナダのヘラジカやグリズリーとかの大型獣にもこういう弾使うんですよ」

「そうなのか」

「はい。クジラを撃つ(もり)も、先端は平らで尖って無いんです。とんがってると、水面で角度が変わりますから」

「よく知ってるね中島君そんなこと……」

 ま、おじいちゃんの受け売りですが。僕が子供のころからそういう話いろいろ聞かされてましたから。


「50口径でこれと同じような形状の弾作ってもらうか」

「鉛玉より銅弾のほうがいいですね。削り出しで」

「銅弾かい?」

「はい、北海道では鉛弾禁止されて全面的に銅弾に切り替えてますが、実際撃ってみると銅弾のほうが強力なんですよ」

 うんうんと会長と清水さんが頷きます。

「鉛玉って柔らかすぎてパワーのある銃で撃つと体内で潰れてバラバラになっちゃいます。結果、余計な所でパワーを使いすぎるんですね。銅弾だと硬くて丈夫なので、開いた状態のまま体内を突き進むから大型獣相手ならそっちのほうが殺傷能力が高いんです」

 マグナムライフル用に開発された銅弾のバーンズ弾頭ってのがあるんですが、それって鉛玉ではマグナム弾のパワーを使いきれないから、より強力な弾を撃ち出すために開発されて銅の弾になったんです。鉛弾禁止になる前からありました。


「鉛に銅を被覆したフルメタルジャケットじゃなくて、全部銅で作った銅弾で、こんなふうにラウンドノーズにして、それならその50口径でいけると思います。銅は鉛より比重が軽いので、弾丸の質量は軽くなりますので高速弾になります。弾道も変わりますし、機関銃だとうまく動くかどうかテストする必要があるかもしれません」

「そうだな……ボルトアクションのライフルなら関係ないが、ブローニングM2だと銃身後退式(ショートリコイル)のフルオートだから弾丸重量が変わるとジャムするかもしれんな」

「対物ライフルでもその弾使ってませんでしたっけ」

「バレットか。自衛隊では装備してないし、アレも銃身後退式だよ」

 そうでしたか。まあそうでしょうねえ。自衛隊は対人用にそんな過剰威力の武器使いませんもんね。どっかの誰かがうるさそうです。

「うーん、あ、いや、50BMGには徹甲弾あるよ。車両や軽装甲車撃つやつ」

「あ、そうか! じゃそれでいいです。それお願いします。すいません色々出しゃばって」

 さすがは自衛隊。それぐらいの装備は既にありましたか。いろいろ知ったかぶりしてなんだか恥ずかしくなりました。

「徹甲弾じゃ貫通……しないか」

 あんなのどこ撃ったって貫通なんかしないよね。十分です。


「で、なに? 要するに重機関銃で撃ちまくればなんとかなるって話?」

 すいません会長、ちょっとマニアックな話になっちゃってましたか。

「相手は野生動物です。医者にかかれるわけでもなく手当てできるわけでもないですから威力が足りなくても撃ちまくれば内臓損傷、出血多量で必ず死にます」

「そりゃそうだな。野生動物は全部そうだ。腹さえ撃てばその場は逃げても死なない動物なんていないしな」

「ただ、アレが暴れて逃げ回って死ぬまでにはかなりの被害が」

「……だよなあ」

 結局そこなんですよね。


「僕らアレの急所わからないんですよね。心臓がどこにあるのかもわからないし、脳がどこにあるのかもわからない」

「脳は頭だろ」

「恐竜って脳が未発達だから小さいんですよ。トリケラトプスでも人間のこぶし大ぐらいしかないはずです。視神経と直結してますから目の後ろ辺りだと思いますが、トリケラトプスの目のすぐ後ろってあの角が生えてるところです。あれを支えるんだから骨が一番ブ厚いはずです。普通のライフルで通りますかね?」

「無理だな」

「無理だね」

「あー……なるほどねえ」

 会長も清水さんも三佐さんも首を振ります。

「重機関銃って数うちゃ当たるって弾だから命中精度は大したこと無いし、オープンサイトでそもそも精密射撃するようにも出来てないし。せめてバレットがあったらなあ……」

 切ないですねえ自衛隊。


「ちょっとちょっと君たちさあ、さっきから殺すことばっかり考えてるけど、アレを捕まえる方法も考えてよ!」

 さすがに宮本先生が悲鳴をあげます。あんな素晴らしい研究材料、殺されたらたまったもんじゃありませんよね。


「もう捕まってますよ。牧場にいるじゃないですか。万一の場合、最悪の手段は考えておかなきゃいけないってことです。殺すと決まったわけじゃありませんて」

「頼むよ?」

「いや頼まれても……。あれ捕まえたとしてどこに運ぶんです?」

「そりゃあ……」

 宮本先生困ります。


「ほうら、どうしたらいいか全然わからないじゃないですか」

「ど、動物園のゾウの厩舎とか……」

「動物園が困りますって。狭すぎます。だいたいどうやって運ぶんです?」

「10トントラックで……」

「どうやって捕まえます」

「麻酔銃とか……」

「爬虫類ですよ? なんの薬剤をどれぐらいの量処方するか先生にわかるんですか?」

「いやワニとかのデータをベースに用意してさ」

「誰が撃つんです? どこに撃ち込んだらいいんです?」

「……」

「誰が飼育員してくれますかね」

「……」

「餌の費用は誰が出します? 今は牧草食ってますけど、何食べるんですアイツ?」

「……」

「生かして捕まえたとしてどうやって調査します? 何を調べます? なにか調べたくなるたびにいちいち麻酔銃で眠らせるんですか? おとなしく飼いならせると思ってるんですか? そこまで考えてありますか?」


 先生、グウの音も出ませんね。


「とにかくですね、そういうことが全部決まるまで、アレは牧場にいてもらって、手を出さずに監視です。皆さんはできるだけ何があっても大丈夫なように対策進めてください」

 全員、頷きます。


「なんとか調査できないものか……」

 先生、しつこいです。

「ウンコでも調べたらどうですか?」

「そうか! その手があったな! うん、それからやろう!」

 やるんですか。

 ……まあやるよね。


「アレ殺すの、なにか法律違反にならんの?」

 会長はそこ心配しとかないといけませんよね。

「無いです」

「なんで?」

「鳥獣保護法は鳥と哺乳類だけを対象にしています。恐竜は爬虫類ですので保護対象外です。小学生がカエルを解剖しても罪になりませんよね」

「カエルは両生類だよ」

 いやそれぐらい知ってますよ宮本先生。

「両生類もです。日本で殺したらダメな両生類って天然記念物のオオサンショウウオぐらいですか。とにかくヘビやカエルやザリガニやスズメバチと同じで、アレが天然記念物にでも指定されない限り現行法の対象になりません」

「天然記念物か……。おかしな奴らが騒いでアレを天然記念物に指定でもされたらアウトだな」

 全くその通りですよ会長。


「でも銃で撃つってのは許可になるのかね」

 確かにそこが一番ネックになりますね清水さん。

「前例があります。ドバトは狩猟鳥獣ではありませんのでこれを銃で撃つのは違法です。でも町で害獣駆除指定して駆除を行っています。害獣指定すれば銃猟ができるんです。駆除対象の動物は都道府知事に委託されており、都道府県知事からさらに市町村長に委託されていますから町長が害獣駆除従事者証を発行できます。アライグマも狩猟鳥獣に指定される前から害獣駆除で撃ってましたよね」

 町長さんが頷きます。

「……前例か。省庁は前例のないことは許可は出したがらない。でもそのかわり、前例があると文句を言えなくなる。向こうが利用することはこっちも逆に利用できるってことだな。害獣駆除従事者証、すぐ出すよ」

「お願いします」

 これ担当は農政課の大山課長です。大山課長も頷きます。


「一応『トリケラトプス』にしとくか……」

「いえ、そこは『恐竜』で」

 全員が僕を見ます。

「……まだなんか出るっていうのかい?」


「アレを食うやつが」


 全員、頭を抱えました。


次回「40.トリケン、大人気」

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