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god another make earth  勇者編  作者: wanikame
6/12

過去

その晩、一人で、先代様が待つ、大和湖の西の畔に向かう。

畔に着くと、空中に一人の人間が浮いていた。

「今日は、月が綺麗だね」

「昔あった時は、気づきませんでしたが、貴方は、人間じゃないんですね」

「うん、違うよ。僕は、神さ」

「はは、神ですか。おかしいとは、思っていたんですよ。あんなに、強かったあなたが死ぬ分けがない。」



それは、まだ俺が勇者ではなかった頃、俺の住んでいたのは、辺境の村だった。そこは、名産品の大豆製品を売り、生計を立てていた。そして、俺は・・・豆腐屋の息子だった。

「会場に運ぶの手伝っておくれ」

「わかったよ」

今日は、豆腐祭が開催されるのである。

豆腐祭とは、豆腐屋が集まり、みんなに豆腐を食べてもらい、投票で一番を決める大会である。

そして、会場まで、豆腐を運ぶ。

「こっちはもういいから、開始まで時間あるから、露店でも見ておいで」

「ありがとう、開始5分前には、戻るよ」


そして、露店を見て周る。

「おーい、そこの少年、豆腐救いしていくかい」

「豆腐すくいなんて、あるのか」

きっと、金魚すくいの豆腐バージョンだろ。

「じゃあ、1回」

お金を払い、ポイを貰おうと手を差し出す。

「ほれ」

渡されたのは、ポイではなかった。箸と桶だった。

「箸ですくうのか」

でも、これどうやったら、終わりなんだ?時間制限とかか。

そんな事を考えていると屋台のおっちゃんは、豆腐を水槽からすくい横にあった、ミニコンベアーに乗せた。

「さぁ、今にも火に飛び込もうとしている、豆腐を救ってくれ」

「なんでやねん」

「何してる、速くしないと豆腐を救えないぞ」

意味の分からない、状況に嘆いていると、もう豆腐は、ミニコンベアーの半分近くまで進んでいた。

「ちくしょう」

悔しいが、金は払ってしまったので、やるしかない。

「この豆腐柔らけー、そしてもろい」

「自家製の超柔らか豆腐だ!」

もはや、嫌がらせとしか思えねー。

なんとか、豆腐の四分の一ほど、を救う事に成功する。

「やったー、この調子でいけば」

何か、すごい達成感があった。

そうして、達成感に浸っていると。・・・・豆腐は、火の中にその身を投げた。

「しまった!豆腐!!!!!!!!」

「おい、あの少年、膝をついて、何か叫んでるぞ」

「何があったのかしら」

「きっと、大切な何かを失ったんだよ」

「そっとしておいてあげましょう」

「は!」

俺は、何をしているんだ。

恥ずかしくなったので、救った分の豆腐を袋に入れ貰い、そそくさと、その場を離れる。


休憩がてら、椅子に座り、さっきの豆腐を食べる。

「美味しい」

それは、救いの味がした。


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