23 果たすべきこと
「ちょっと出かけてくるから、鍵かけて待っててくれ」
白神はそう言いながら、降ろしていた大剣と刀を背負い直す。
ここは先ほど見つけた宿。
まだまだ辺りは明るいのだが、外にいる巡回の兵士の数が異常に多かったため、念のためにと日が暮れる前に移動を中止したのだ。
座っていた椅子から立ち上がるユキ。
「私も行くっ」
「今回はだめだ。ちょっと裏道の方にも行くし、なにしろ外に兵士の数が多い。お前を連れていくには危険すぎる」
「でもーーー」
「安心しろって、すぐに帰ってくるから。それとも、一人で留守番するのが怖いのか?」
ユキを置いていくため、軽く煽る白神。
それはちょっとした挑発。案の定、負けず嫌いな少女は簡単に引っかかる。
「怖くない! 一人でも大丈夫だもん!」
「そうか、それなら少し待っていてくれ。帰ってきたら俺だとわかるように扉を小さく5回叩く。だから、知らない人がきても絶対に扉は開けるなよ」
そう言って扉を開ける白神。
「・・・っ」
「心配しなくても大丈夫だって。危ないこともしないし、この辺りでしか動かないから。そこに鞄も置いとくから、喉が渇いたとか腹が減ったとかあったら自由に触ってくれていい。お前の首飾りとかも入ってるからな」
ついていきたい、そんな思いが伝わってくるような表情でこちらを見つめるユキに苦笑いしながら言う白神。
兵士の数が多いから早めに宿をとったのに、少女を外に連れ出したら意味がないのだ。そして情報を集めるためほとんど犯罪者と変わらないような連中と会うのに、ユキを連れていくのは危険すぎる。襲われる可能性もあるし、最悪摘発しにきた兵士たちと一戦交えることになる可能性すらあった。
それらのことを考えると、ユキは宿に残していくしかないだろう。
少女の寂しげな視線から逃れるように部屋から出て、扉を閉める白神。
(さて、ユキには悪いが手早く調べるか。まずはこの街の状況、それから帝国・連邦の兵力と駐屯地の位置、そして最後にあの情報、か)
一人思考をまとめながら外へと向かう。
今の内に調べておけば、今夜も会うあの情報屋から得る予定の情報、その裏付けをとる時間を省ける。今回、護衛を引き受けた報酬以外の理由、そのためにも時間は有効活用するべきだろう。
白神には、他にも果たさなければならない約束があるのだから。




