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低レアさんのほどほど無双  作者: 亜空間会話(以下略)
一章「罪に沈みしもの」
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005 設置魔法・1

 タイトルは誤りではなく、徐々に分かっていく真実に対応した形になります。


 どうぞ。

 設置魔法を簡単に説明するなら、地雷とか爆弾をイメージしてもらうのが早い。アーツとしては〈地中魚雷〉や〈チクタクボム〉があり、発動まで少しタイムラグがあって当たりにくいが威力はかなり大きい、そんな魔法だ。ソシャゲ版だとクールタイムはかなり長めで、それがネックになって火力は出ないのが普通だった。


 それでも使う猛者はいて、相手の移動制限や回避系アーツのクールタイムに爆発するようにセットする「ボマー」タイプはハマればとんでもない火力を出していたものだ。むしろそれ以前の方が、序盤に入手できるものを無駄遣いしたり、宝箱に入っていても売り払うのが常識だったりした不遇時代だったまである。


 さて、そんな設置魔法を買うにはどこへ行けばいいか、だが……。


 もともと携帯ゲーム機がプラットフォームだった「クロニカ・エムロード」では、お店のシンボルがシリーズを通じてぜんぶ同じである。設置魔法は「きらきら光るビン」をシンボルとする「バトルアイテム」というカテゴリになり、回復薬やら飲む強化アイテム、特技の巻物なんかと同じ場所に売ってある。


 シンボルを掲げている露店を見つけ、そっちに歩いていくと……おかしいな、近付いただけでめちゃくちゃ警戒されてる。緑髪のエルフさんは、かわいらしい顔にめいっぱいの敵意をたぎらせまくっていた。


「あの、すいません」

「か、回復薬ならもうありませんからっ! だいたい在庫切れです!」


「なんかすいません」


 なるほどと言いたいところだが、まずい状態である。


 俺以外のプレイヤー……じゃなくてこっちに来た人々は、いまこの街にいない。フィールドに出て狩りをする前に買い物をした、というのは容易に想像がつく話で、きちんと準備しとかないとえらい目に遭う、としっかりした人がみんなを導くことも考えられる……が、その弊害が出てしまっているわけだ。


「ほ、ほんとにないですよ!」

「ええ……」


 ひどい客ばかりだったとは思えないが、俺が食事をしている間にはひっきりなしに客が訪れたのだろうし、在庫切れの説明すら「もううんざり!」といった空気バリバリだった。いい加減に客足が途切れたと思ったのに、みたいな目である。


 というか、ほとんど全員が狩りに出かけているように思える証拠がこんなところから出てきてしまうのも、じつに困ったところだ。街の人には迷惑かけ通しで、好きなときだけ利用するし街のためには何にもしないぜ、みたいな倫理崩壊した人たちだとは思われたくない。なんとか、関係回復とはいかないまでもていねいに接するくらいはしておきたいところだった。


「設置魔法を、買いたかったんですけど。もうありませんか?」

「高いので売れてません」


 切れ味抜群な視線を浴びつつ「見せてもらいたいんですが」と食い下がると、こっちが威圧されまくっていることに気が付いたのか、やや態度をやわらげつつ「どうぞ」とリストを出してくれた。


 ……あれ、なんだこれマジで高い、一個1500コイン!? しかも魔法の内容は〈レッサー・マイン〉、名前としてはちっこい地雷みたいな感じだが「効果量:20」とかいうアホみたいなダメージの低さである。そりゃ買わな――ちょっと待った、威力の発揮値は記載されている効果量とは違う。モンスターの特技だとINT、アイテムとしては設置者のDEXが計算に加えられていたはずだ。


 ……ああ、低レベルだとステータスが低いから効果量の補正は出にくいし、高レベルだと本体の出せる火力の方が高いから無意味なのか。結論、買うわけない……のだが。できるだけ素早く「装備できる武器カテゴリ」やら現在のステータスを見てみると、できるだけ俺自身が動かずにダメージを出すにはこれしかないらしい。お財布のダメージやその他諸々考えて無理だろという思いの方が強かったのだが、ひとつ買うことにした。


「そういえば。設置魔法を作ってるところって知りませんか?」

「私は仕入れてるだけなので……」


「仕入先を教えていただいたりは……?」

「自分で作りたいんですね、分かりました。仕入先にお手紙を書くので、しばらく使い方の確認をしててください」


 物欲しそうな目線でも邪推されず、しっかり察してもらえるのはさすが商売人だ。そう思いつつ設置魔法の確認をしていると、だいたい知っていることのおさらいだった。作成者ならスイッチやキー動作は必要なく、念じるだけで起動できるらしい、というのは初耳だった。ゲームだったころとは違うようだ。


「……できました、どうぞ。四番マーケットのカティナがここだと言っていた、と言えば通してもらえると思います」

「ありがとうございます」


 追加で会釈してから、俺は魔法工房に向かった。

 買い物で一話終わってるゥ!?


 売れない理由は述べた通り。消費ゼロで撃てる(しかも枠を圧迫しない)アーツ、でも撃った人のステータスが乗るということでまあまあ強いんですが、発動がちょっと遅いのと初期金額からすると高いので売れていません。雑魚敵にはいいけど、ボスモンスターの体力は膨大だからお金も足りませんからね。

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