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低レアさんのほどほど無双  作者: 亜空間会話(以下略)
一章「罪に沈みしもの」
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025 安心と安全

 先輩といると安心する、って人が多いといいな。


 どうぞ。

 しっとりした質感の黒髪にほんわか笑顔、海色のサマードレスとかなりおめかしした感じのスズナ先輩に、「ほやー」と書かれたTシャツにショートパンツというラフすぎる服装のカザミ先輩。こっちの世界に合わせて多少それっぽくアレンジされているようには見えるが、ショートボブにこれだけ適当な恰好を合わせるあたり、カザミ先輩はいろいろ雑な人柄らしい。


「知り合いさんスか?」

「うん、私の後輩です。かわいいでしょ」


「最高ですね」


 ……二人だけだったら話しやすかったのだが、なんか知っている声の三人がいた。


「ジクスです、よろしくお願いしますね」

「あっはい、俺ルカンっス」「僕は三石です」「マズトです」


 三バカという印象しかなかったけど、意外に普通の人っぽく見える。


 がしゃっと狼っぽくしたヘアスタイルに、ひと房真っ赤に染めたイケイケの青年がルカンさん。しっかりした眼鏡キャラに見えるのに、くにゃっと妙な笑顔になる三石さん。あと、後ろで髪をくくった糸目のボディスーツの人がマズトさん、らしい。


「ちょうど三対三になるし、ジクスも行こう?」

「ん、どこにですか?」


「そこのレストラン」

「ああ、あそこなら……」


 例の三人が、先輩たちを行きつけの店に誘ったらしい。


「あたしたちも、いろんな場面でレベルの低さを体感することになっちゃってさー。年が近い人たちと組んで、合同でレベル上げに連れてってもらうことになったんだ」


「ステータスが足りてないと、仕事もままならないの。というわけで、この人たちの力を借りることになりました。そうだルカンさん、この子も連れていっていい?」


「えっ俺? いや、ぜんぜん構わねっスよ。むしろ歓迎っス」

「僕も賛成ですよ。レベル、いくつくらいなんです?」


 やっと十です、というと「行きましょう」とちょっと憐れみの入った視線で言われた。狩猟魔法を使えばもうちょっと楽にレベル上げができるかと思っていたが、師匠は「修行をちゃんとしておかないとのちに苦労するからね」とあまりフィールドへの外出をさせてくれない。姪のカティナさんも目の届くところにいるから、過保護ぎみなのだろうか。


「それにしても、髪の毛ふんわりでいい匂いだね。色も変わっちゃったし」


 そうなんですよ、と答えると「あ、後輩ってマジで後輩なんですね」と三石さんがちょっと口調が崩れつつ言う。


「てっきり勤め先の年下ちゃんかと」

「この子、あたしたちとおんなじ学校の後輩。前からずっとかわいがってたし、一緒にいられて嬉しいでしょ、スズナ」


「もちろんだよ。ぎゅー」

「むぅ、先輩苦しいです」


 以前から、からかいの意味でむぎゅっとされることはあったのだが、ぜんぜんためらいなしにやられるとこっちも困る。


「髪の毛の色って、どうやったら変わるんスか? アイテムとか?」

「いえ、私もぜんぜん心当たりがなくて。スキルとかでしょうか」


 カザミ先輩はあんまり考えていなかったようだが、歩きつつ話していると、本当に意味不明な現象が起きているんだなと実感する。


「スキル、もう手に入れたの?」

「狩猟魔法を、師匠に教わって」


「狩猟魔法……ああ、設置魔法ですか」

「へー、後輩ちゃん弟子入りとかしてたんだ」


 レストランのドアをくぐりつつ、ちょっと冷たくなったスズナ先輩の視線を避ける。どう考えてもカザミ先輩の失言だ。


「今日は俺たちのおご――」「お金はあるので」

「かっこつけすぎな、ルカン」「そうだよ」


 誘ったほうがおごる、というのもありがちな習慣ではあるが、ダンジョンで手に入れた素材を売った分のお金は持っている。完全に女扱いだし、先輩たちも澄ました顔でそういうふうにしているが、お金の問題はまた別だろうし。


「ジクスは私の隣」

「はい、わかってます」


 スズナ先輩が一番奥で俺が真ん中、カザミ先輩は通路側。あっちの編成はマズトさんが奥で三石さんが中央、ルカンさんが通路側に出ている。メニューを配ったり店員さんと話したりの役割を持つためか、先輩たちにいいところを見せるためだろう。


「あ、そうだ。俺らのアバターのこと話しときますね」

「そうですね、共有しとかないとですよね」


 一緒に戦う相手の情報を共有するのは当然だ。


「俺のアバターは「紅炎の剣士イルヴニウス」っス。火属性の剣のアーツがメインで、まあまあ動けるんでよろしく」


 Bランク=☆4の、属性さえ合えばどこへ持って行っても使える、アツい性格も大人気の剣仕(ソディア)だった。


「僕は「アラモ・オルディカ」を使ってます。闇魔法のアーツと射撃系のアーツがメインですね」


 こちらはCランク=☆3で、黒い球体がいくつか集まってできたイルカの模型のような姿をした似形(キュリオ)/震闇(イヴニア)だ。どうやらゲームでも使っていたのか、使いどころが難しいアバターの最適解をすでに知っているらしい。


「えっと。「ガラートムージェ」を使っています。今のところ防御系アーツを主に上げてるので、攻撃はあまり。壁役は任せてください」


 こっちも☆3の、水晶がびっしり生えた殻にこもるヤドカリみたいな魂蟲(ゼクト)/剛壁(カスト)だ。アビリティは「ガードの効果二倍」というわりとトンデモな性能で、ステータスが中途半端なあたりを育成できっちり伸ばせば強豪に化ける。


「じゃあ、こっちだね」


 スズナ先輩がにっこりと笑った。

 三バカの名前とアバター出ましたね。やたら設定が出てますが、また人気が出たら設定集でも別個で作ろうかなぁ。いちおう種族は本編だと十二、ソシャゲ版でひとつ追加されたので十三です。

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