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ダリア、お出掛けします。2

「コロネ殿、まさかダリア様のスリーサイズをご存知ないのですか? 知らぬ存ぜぬでは済みませんよ?」


「ご存知ないな」


「忠義を尽くす者としての当然の義務ではありませんか。ダリア様のお身体の状態を常に把握し、何か異変があれば即座に対応するのが我々の役目。スリーサイズはそれを見極める為の手段の1つです」


なるほど。そういう理由があるのか。そう言われればスリーサイズも侮れないな。


イサメの意見に少し感心していると、掃き出し窓がガラリと開かれ心地よい風が入ってきた。そして、赤いツインテールをなびかせ、ナイトがベランダから姿を現す。


「じゃあ選手交替ね、イサメ」


「ナイト殿、ベランダは入口ではないのですが……」


「細かい事は気にしないの」


「常識を気にして下さい。それで選手交替とはどういう事ですか?」


「私もダリア様のスリーサイズを知らないんだけど、でもそれじゃあダリア様に仕えるには不十分だって事でしょ? なら、実際に私1人で実証すればいいわけよね!」


「勝手な解釈をしないで下さい。だいいちナイト殿の家事全般の能力はわたくしより乏しいではないですか」


「そうだけど……それはイサメが優秀過ぎるからであって、私だって並みにはできるわよ」


「それでは困るのですよ。それに、ダリア様への忠義もわたくしの方が勝っています。貴女がわたくしより優れている点と言えば、胸だけです」


「待って待って。なんで胸を引き合いに出したの? 私が絡むと胸の話題になる率高くない?」


そんな言い合いをする2人を見て、俺は思う。


……話に入りづらい。


俺、用事あんだけど。出掛けたいんだけど。流れるように言い合いが続くもんだから全然混ざれない。


そもそも対話能力が0に等しい俺は、どのタイミングで会話に乗っていいのかも分からない。人と話すにしても勇気を出さなければならない。


どこだ? どこで入ればいいんだ? てか自室でアウェイってどういう事だよ。


「止めないか2人共」


そう鶴の一声を上げたのはコロネだ。


「そういうのは別所でやれ、みっともない。ダリア様が苦笑されているぞ? それと、ダリア様の用事も聞かずに蚊帳の外に置くのは褒められる事ではないな」


コロネの発言にイサメとナイトは顔を見合わせたかと思うと、一気に顔面蒼白なり俺の眼前でひざまづき頭を垂れる。


「……も、申し訳ありませんダリア様。度重なる醜態はわたくしの恥じるところ。いかなる処罰をも受ける覚悟にございます」


とイサメが掠れた声で反省を示し、


「……ダリア様」


そうナイトが口を開いたところで、俺は待ったをかけた。


「す、ストップ! 何度も言ってるけどさ、そういうの全然大丈夫だから」


「で、ですがダリア様……無礼は無礼です。何度も許しを得ているようでは、合わせる顔がありません……」


と言って、ナイトはどうやら腑に落ちないご様子。


なんだよこいつら。俺が神様にでも見えてんのか? ちょっと眼科行ってこいよ。いやマジで。


分かったよ。なんか罰を与えればいいんだろ? 膝カックンとかすればいいんだろ? しっぺでも可か? 個人的にはコサックダンスを所望したい。


あ、やっぱ縄跳びがいい。特に意味はないがナイトにメッチャ跳んでもらいたい。加えて言うが、特に意味はない。


頭をゆっくり回しながら思考し、処罰を吟味する。


「そ、そうねぇ……じゃあ、今日留守番ね」


まあ俺にそんな罰を下す勇気はなかった。


「お言葉ですかダリア様、それに従う事はできません」


「え」


イサメに即答された。なんでじゃ。いいじゃん留守番くらい。


「外出すると仰っていましたが、外出先で万が一の事が起きた場合に対処ができません」


「いや、別に、転んだとしても死ぬわけじゃないんだし。それにコロネも付いて来てくれるんだし」


「なりません、絶対に。わたくしもご一緒します」


「は……はい」


イサメの鋭い眼光に怯み、無意識に肯定の言葉が出てしまった。


蛇に睨まれた蛙の気持ちが分かった。確かにこれは動けないわ。

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