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ダリア、召喚します。4

「えーっと……」


なんだしコレ……こんなに召喚した覚え無いんだけど。主人に反抗してこない所を見ると、一応召喚魔法は成功してはいるんだろうな。


一先ず安心だな。


「あー……」


なんて切り出そうか。てか6体も召喚出来たのか。スゲーな、俺。


まあ別に、6体という数字は凄い訳ではない。さっきも言ったように、名の知れた召喚士なら数百は呼べる。


それでも疑問は残る。俺のつくろうとした黒い鎧のキャラがいない。全くイメージを持っていなかった代行者が召喚されてしまった。


考えていると、不意に声が飛んできた。


「申し訳ありません。配慮が足らず……」


先程と同じ男性の声だ。


パチン、と指を鳴らす音が聞こえたと思ったら、一変。月明かりで微かに照らされていた辺りが、真昼の様な明るさを取り戻した。


マジかよ。どんな魔法だよ、コレ。


「と、取り敢えず頭上げて……下さい」


何故か敬語になる俺。


首が壊れるんじゃないかという速さで代行者達が頭を上げる。皆が驚きの表情を浮かべ、汗を流している。


「我等に敬語などお止め下さい!」


1人が声を荒げる。


金髪の髪を肩で切り揃えた美女だ。カチューシャを頭に着け、黒のワンピースの上からドレスみたいなエプロンを組み合わせた格好は、メイドのようだ。全身が見えないが、多分メイドだ。


「我々は貴方様の支配を受ける身! その方に敬語を使われては我々の立場がありません!」


「おい」


「堂々と振るまわれて下さい! 我々への認識など、羽虫で結構でございます!」


「おい! ダリア様の前だぞ。弁えろ」


野太い声で金髪メイドを制止したのは、その隣でちょこんと座る黒猫だった。黒と赤のオッドアイは俺のとそっくりだ。可愛い。


「も、申し訳ございません……」


消沈するような声で、深々と頭を下げる金髪メイド。


「今の失言……如何様なる処罰も受けます。ですから、今一度、愚かなわたくしめに機会のほどを……」


処罰とか物騒だな。てか腰低過ぎるだろ。こっちも縮こまってしまう。


「あ……うん。大丈夫。気にしてない」


「ありがとうございます。寛大なるお心のお期待に応える様、努力して参ります」


ただでさい低い頭が、更に低くなった。


「それで、ダリア様。その顔の傷は……?」


と、先程の男性。


この男性の容姿が凄い。整った顔立ち、褐色の肌、桃色の前髪は斜めで切り揃えられ、紅い瞳は宝石の様に輝き、大・中・小と左手側の額に生えた紅い角。


そして、六枚の翼。右から生える三枚の翼は天使の翼を彷彿とさせ、神々しい。反対に生える三枚は、悪魔を連想させる禍々しい気を放っている。


なんか堕天使みたいな風貌だ。


「転んで側溝にはまったの」


嘘である。なんだよその状況。誤魔化すにしても他になんかなかったのか、俺。


「っ!? 直ぐに手当てを!!」


と勢い良く立ち上がったのはメイドさん。


「だ、大丈夫だって! 治り早いし」


「し、しかし……!」



なんか申し訳なかったから手当てを金髪メイドにしてもらった。直ぐに傷が癒えた。



「す、凄いな」


「ダリア様のお役に立てるのなら、これ以上の喜びはありません」


嬉しそうに言って、金髪メイドが膝をつく。


「ダリア様、これからのご予定は?」と堕天使。


「いや……無いな。帰るだけ」


「では付き従います」


堕天使が立ち上がると、他の者も腰を上げてお辞儀をする。


……い、いや。さっきから俺への対応が怖いな。逆にビビるわ。これが普通なんだろうか? 学校に召喚魔法を使う生徒は少ないから良く分からない。


「大丈夫だよ。魔物も出ないし。夜は遅いけど」


「しかしそれでは、何かあった時にダリア様を守れません。せめて私だけでも」


「待ちなさいルシファー」


堕天使の隣から凛とした声が上がる。


その声の主に顔を向けると、白が凄かった。


そう幼稚な表現をしたくなるくらいに、白かった。等身大の女性型デッサン人形を白一色で塗り潰した見た目に、継ぎ目の無いな滑らかな体躯。そしてのっぺらぼう。


そうそう。俺はこういうシンプルでつくりやすい奴を召喚したかったんだよ。俺がつくりたかったのは黒い鎧の奴だが。


「なんだ? 白井さん」


「気持ちは分かるけど、堕天使が街に出たら騒ぎになるのではなくて?」


「……ああ、確かにな。俺が付いて行きたかったが……仕方無い。別の奴にダリア様を任せよう」


「ではわたくしが」と一歩前に出る金髪メイド。


「わたくしがダリア様の懐刀を務めましょう。それに、わたくし以外にダリア様のお世話を出来る能力を持つ方はいらっしゃいませんしね」


「ねえメイドさん。然り気無く喧嘩売って来てないかしら?」

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