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ダリア、ちょっと学校に行ってきます。3

 ☆


太陽が天辺まで昇った昼一番。夏真っ盛りからのこの日差しには殺意を感じる。


俺の斜め後ろのイサメが、なんでそんなに涼しい顔を続けていられるのかが不思議でしょうがない。半袖でもメイド服とか暑いだろ。


場所は学校の広大な敷地内の一角に配置された、街中を模した第二戦闘場。しかし街と言っても、建物群は崩れ、道も整備されていなく、荒れに荒れまくったゴーストタウンの様な戦闘場となっている。


今は夏休みの為に、学校には生徒も教師も普段より少ない。しかも広い敷地を有してるのだ。例え授業で頻繁に使うこの場所でも、人目にはつかないだろう。


……そして、俺らの目の先には、イジメっこ4人組。みんなニヤニヤしてる。気持ち悪いな。



「良く来たじゃん! お前の事だから来ないと思ってたよ」


とさか頭の男子生徒が馬鹿にしたような声を上げる。


「まだ食事を済ませていないのに、わざわざ来ていただいたダリア様への第一声がそれですか? 立場を弁えなさい」


「あん? ……てか、おねーさん誰?」


「おや、見たままの通りなのですが。目が衰えているのではありませんか? 若いのに大変でございますね。それとも、メイドをご存知ない?」


君のその煽っていくスタイル、メッチャ良いと思う。続けたまえ。


「おねーさんさぁ、そいつが異端児って知らないの? 不幸になるよ? そんなクズに従うより、俺に奉仕してよ」


「クズ……?」とイサメの表情が崩れる。


「お前、メイド雇うほど金あんのかよ?」


とさか頭の隣りで腕を組む筋肉質な男がカハハと笑う。


「だって黒江ダリアが雇ってんだぜ? あいつに払わせれば良くね?」


「……無駄話はもういいでしょう。ダリア様はあなた方に出せるお金は無いと仰っています。では、あなた方が取る行動は一つでしょう?」


前に出たイサメに、とさか頭が目を細めて笑いを浮かべる。


「あれ、もしかして身体で払ってくれんの?」


「ええ。文字通り腰が動かなくなりますが、宜しいですね?」


相手の返答を待たずして、イサメの総身がぶれた。


次の瞬間、



とさか頭が吹き飛んだ。



10m程飛んだところで地面を転がり、建物にぶつかって停止した。


とさか頭はピクリとも動かなくなり、その一瞬の攻撃に呆気に取られていたら、


「ぐぁ……!」

「は、はなせ……!」


イサメは既に、筋肉質の男とホリの深いゲシマユの男の首を鷲掴みにしていた。指が肉に食い込んでいる。


そして、そのまま地面に叩き付けた。


2人が動かなくなったのを確認したイサメは、


「さて……」


三歩後退して抑揚の無い声を、最後に残った渡辺カルレに向ける。


「確か貴方は……ああ、情けない声で逃げ出した方ではありませんか」


「て、てめぇ! いきなり何しやがる!?」


「申し訳ございません。ダリア様の食事がまだでしたので、早急に対処をしたまでです」


「こ、こんな事してただで済むと思ってんのか!?」


「動揺していますね。それは負け台詞です。貴方にどうこう出来る力はありません」


イサメは呆れたように一瞥すると、まばたきの間に渡辺カルレの背後に回った。



「さようなら」


「ち、チクショー!」



突然鈍い音が響いた。


それは、イサメから出た音だった。渡辺カルレが放った右拳が、イサメのみぞおちに入ったのだ。


渡辺カルレから笑みが溢れる。が、急に表情を一変させ、右拳を左手で抑えてその場にしゃがみ込み、嗚咽を漏らす。


「て、てめぇ……! 鉄板仕込むなんて卑怯じゃねぇか!」


「は? 自分の脆弱さをわたくしのせいにしないで頂けませんか?」


イサメが軽蔑の眼差しで言葉を返し、そのまま渡辺カルレの頭を踏みつけた。


「代表してダリア様に謝罪をして下さい」


「ふ、ふざけるな! 誰があんな根暗な野郎に……!!」


渡辺カルレの苦渋で歪んだ顔が地面にめり込む。


「いだいいだいいだい!! 止めろ! 止めてくれ!」


「ダリア様に謝罪をして下さい」


「分かった! 謝るから! ダリア! 俺が悪かった! もうお前関わらないから! もう二度と嫌がらせはしないから! 頼む、許して下さい!」


「と、五月蝿く喚いていますが……ダリア様、どうされますか?」


「え? あ、そうだなぁ……」


急に振らないでよ。ビックリするじゃん。

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