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ダリア、夏期講習に出ます。7

 ☆



「まさかお前が一番で捕まえてくるとは……想定していなかったな」


「運じゃないですかね? それに、俺の召喚したこの猫が得意だったんですよ」


ジョウジ先生の皮肉を聞きながら、俺の足下で毛繕いをしているマックロネコに視線を落とす。


その長い尻尾の先には、耳が尻尾で巻き付かれて宙ぶらりんになっているスピードラビットの姿が。


うん。キリングバブーンが居なくなったあと、マックロネコが10秒くらいで捕まえて来てくれた。


因みに俺の記録は、小さい頃の話だが、朝から始めて夕方まで、これを3日間続けてやっと捕まえました。



「あれ……先客がいる」


背後の巨木の間から佐原クマモトが出て来た。右手には気絶したスピードラビットがぶら下がっている。


「おお! 来たか佐原。残念だが2位だな」


「そうみたいですね。それとジョウジ先生、課題のスピードラビットです」


「ああ、ご苦労。で、倒せたか?」


「いえ。グリンベア一体だけです。キリングバブーンを倒したかったんですけど」


「大した自信だな。課題は終わりだから戻っていいぞ」


「はい、分かりました。では失礼します」


佐原クマモトがジョウジ先生にお辞儀をし、俺の所に来た。マックロネコに顔を向けながら話し出す


「黒江ダリア……だっけ? あんた、魔法を使えないって聞いたけどよ、召喚士だったんだな」


やべー。なんだこいつ。普通に話し掛けてくんなよ。ビビるじゃん。


普通に接されても耐性ないんだって。


「ま、まあな。俺も最近召喚出来たばっかなんだ」


てか昨日だけど。


「そうか。……ああそうだ、俺は佐原クマモトだ。残りの半年、良い学校生活にしようぜ」


なんだこいつ。コミュ力高いだろ。


魔法を使えないと大変だよな、って心にも無い事を言ってくるのが大体だろうが、口に出さないあたり、出来ている。



佐原クマモトはこれから用事があるそうで、先に退場した。


それと同タイミングで、キリングバブーンが現れた。肩に担いでる生徒は、キリングバブーンに負けた脱落者だろうな


てか渡辺カルレじゃん。


ふはは、ザマァ味噌漬け。天罰が落ちたんだよバーカ。



……待てよ俺。他人の不幸を笑うようではあいつらと一緒じゃないか。それは嫌だな。


強い人になりたい。



 ☆



最初の方は結構ドキドキとワクワクで臨んだ戦闘実技講習だったが……始まってみたら、なんか普通だったな。


キリングバブーンはどっか行っちゃったし、スピードラビットはマックロネコが簡単に捕まえたし。


取りあえずマックロネコが凄いってのは分かった。



で、第三戦闘場を出て校内へと続く渡り廊下。俺の目先には生徒の人溜まりが出来ていた。


その人溜まりを掻き分けて出て来たのは、金色の髪に、この場には似つかわしくないメイド服を着た女性。そう、メイドさんである。


メイドさんいつからそんなに有名人になったんだよ。まあ、美人だしな。


「お疲れ様です、ダリア様」


俺の目の前で丁寧なお辞儀を見せるメイドさん。


「悪いな。待たせちゃって」


俺の謝罪にメイドさんはバッと驚いた顔を上げた。かと思うと、直ぐ様膝をついて頭を下げる。


「ダリア様に非はございません! わたくしの力量不足にございます。申し訳ありません」


「あ……うん。そ、そう」


あの……メイドさんに非は無いんだけど。逆に俺が頭を垂れたい気分だ。


「じ、じゃあ帰るか。講習も終わったし。それに今日、近くのスーパーで半額セールなんだ」


「なっ!? ダリア様のお手を煩わせるまでもありません! その程度、わたくしが行って参ります」


「俺、今日食べたいのあるんだけどさ……分かる?」


「ダリア様の好物はカレーライスと理解しております」


「それ小さい時だな」


「……オムライスでございますか?」


「それ、今朝のご飯だな」


「……お、お寿司?」


「昼に食べたな」


「……で、では……」


なんかメイドさんの目に涙が溜まってんだけど……。


ち、ちょっと待って! えっ? これ俺は悪いの? 悪い感じ? 泣かせられた事は多々あるけど、泣かした事ないのに!?


嫌な汗が顔中に流れ、キョドり出す俺。


ち、ちょっと待って。どうすんのこれ? どう対応すんの?


「見栄を張るのはよせ、メイドさん」


そう助け船を出してくれたのはマックロネコ。軽く跳躍し、メイドさんの肩にトンと乗る。


「我等が主人は成長されているのだ。俺らの想像が及ばないくらいにな」


味の好みが変わったのをそんな壮大にしなくても良くね? 味の好みが変わっただけだよ?

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