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過去編

俺には10歳年の離れた弟がいた。

名前は颯汰そうた。両親が風の様に自由に動き回り、たくさんの経験を出来るようにと名付けたのだ。

そんな名前とは裏腹に、颯汰は生まれつき心臓が弱く激しい運動が出来なかった。医師からも長生きは出来ないだろうと言われていた。



それなのに.....



それなのに、俺は颯汰を殺してしまった。




俺が15歳の12月24日にそれは起こった。

その日も両親は仕事で朝から居らず、颯汰と2人きりだった。

一昨日返ってきた模擬テストが思った以上に悪く、焦っていた俺は朝からずっとイライラしていた。

(どうして...どうしてこんなに悪いんだ?今までずっと合格圏内に入っていたのに...しかも、勉強してない奴らの方が良いって...)

明日のクリスマスで盛り上がる周囲とはよそに俺の心は焦りと苛立ちとで荒んでいた。

「お兄ちゃん」

「なんだ」

「お兄ちゃん、あのね、ぼく、サンタさんに仮面ランダーのベルトもらった!お兄ちゃんっ、これで一緒に遊ぼ!」


その時俺の中に沈めていたはずの感情が溢れ出てきて...


「お前は呑気で良いよな」

「のんき?」

「良いから向こう行ってろ」

「ええーっ、お兄ちゃんっあそぼ.....」


「向こう行ってろよっっ。お前のせいで今までどこにも行けなかったし、勉強も出来ねーじゃねーかよっ。お前のせいで...お前のせいでっ...」



「お前なんかどっか行っちまえっっっっ!」



言ってからはっ、とした。颯汰の顔にはもう何もかも信じられないような、5歳の子供には思えないような目を見開き、血色のいい頬を黒くした表情をしていた。


俺は何てことを言ってしまったのだろう。確かに受験勉強もある中颯汰の面倒を見るのは大変だったし、正直うざいとも思っていた。でも、それを颯汰のせいにした俺はなんて卑劣な奴なんだろう。俺こそ消えて無くなればいいじゃないか――――――――


気が付いたら俺は颯汰が生まれたばかりの時に家族でよく来ていた河原の土手の上に座っていた。あの頃は家族皆が本当に幸せだった。俺もようやく年下の兄弟が出来てうれしかった。両親も俺たち兄弟を微笑ましく、嬉しそうに見ていた。それが今じゃ、俺の塾代や颯汰の医療費などを払うために必死に働く両親の疲れた顔しか見ていない。そう、颯汰には俺しかいないんだ。俺しか遊び相手がいない。俺しか...


俺しか家族と呼べるような存在が居ないんだ。




颯汰には何と言えば良いのだろうか、と考えながら重い足取りで家まで帰ると―――――


「きゃあーーーーーっっ、火事よっっ。あの家から火が――――」


指された方を見て夢なら覚めろと本気で思った。



俺の家が燃えていた。











前の話から随分時間が経ってしまってすいません!!これからも少しずつですですが書いていきますのでよろしくお願いします!

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