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サンライト  作者: 鬼京雅
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終幕~サンライト~

 竜史が生み出した空の太陽により、人類は昼夜逆転の生活から旧世紀と同じく太陽の出現と共に目覚め、月の輝きと共に眠る。

 世界から徴収していた光税は撤廃され、民衆は光を恐れる事がなくなり太陽の出現を喜んだ。虚無はメイサが爆発させる前にすでにキメラなどの虚無ラボラトリーを解体し、自分が造ったキメラの資料の全てを始末しどこかへ消えた。

 太陽に新たな希望を得た人々は明るく生まれ変わるように活発に動き始め、閉ざされた世情が変わり各地に英雄豪傑が現れ始めた。そして、日本を光税で支配していた月下グループも大きく変化した。社長の死亡とヒカルの行方不明により、メイサが月下の副社長になり蘭子が社長に就任した。経営者の視点はメイサが持ち、市民の目線は蘭子が持つ。それが新しい月下グループの経営術であった。

 そして竜史は――。

「ヒカルは旅に出たな。自分の目で光税に苦しんでいた人々への贖罪と、自分の狭い見識を広くする為に。餞別に水虫の薬あげたよ」

「そうね。貴方はどうするの?」

「俺? 俺は暫くここにいるよ。いる理由もあるしな」

 父親の陽史朗が死んだ崖の前に墓が出来、そこから朝日をメイサと眺めている。

 少し風が流れており二人の髪を揺らす。

「暖かいと、気持ちまで澄み渡ってくるわ。今まで百年も暗闇にいたなんて信じられない……」

「そうだな。一つの事で大きく変わる。それは人も物も同じだな」

「毎日があんな暗闇だったから人間は希望を見出せず、そこに月下はキメラと光税を持ち出したのね。でも太陽があればそんな虚言は通用しない」

 生命を育むまばゆい太陽を見上げる。

 渇いていた大地は潤い、荒れ狂う海は安定し、空気は春風をここちよく運んでくれている。

 こんな気持ちいい空間に、とても現実的な言葉が浴びせられた。

「合計で百万ね」

「は?」

「百万よ。今は月下の給与が出てない以上払ってね。本来なら貴方との関係は決勝戦が終わるまでなんだから」

「ちょ! まっ! 勘弁してくれ。俺達仲間じゃん! ほらほら!」

 当たり前のように竜史はメイサの尻を揉んだ。

 鋭利な冷たい視線を送るメイサは言う。

「セクハラ量も上乗せね」

 唖然とする竜史は何とかそれは簡便だと懇願する。

 あーだこーだと夫婦喧嘩のような言い合いがあり、メイサの目が手にいく。

 手袋を外している竜史の手を久しぶりに触れてみた。

 その暖かいメイサの肌の温もりに竜史は覚悟を決める。

「手、触れられるようになったじゃない」

「唇も……な」

 キスをする二人の時間を止めるように風は止み、空の太陽はまばゆく輝いた。



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