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サンライト  作者: 鬼京雅
23/36

はがれる仮面

 月下武道大会準決勝一回戦。

 仮面騎士VS月下ヒカル。

 その試合は異常な実力を持つ謎の仮面騎士と月下グループの一人娘の戦いという事で観客は大いに注目していた。仮面騎士は明らかに月下の所属ではない為、決勝前に月下ヒカルが敗北するという大番狂わせが見れるのか? それとも月下に恨みを持つであろう仮面騎士の正体が判明するのか――? 

 そんな観客の興奮や欲望などまるで気にならない二人は武舞台で剣劇のワルツを繰り広げる。サーベルを振ると見せかけてフェイントをかけた仮面騎士の足蹴りを回避し、ヒカルは左腕を引いてその切っ先に手を添え、

「我が剣は真夜の月光! 覇翔月破!」

 ルナティックを纏う突きが仮面騎士の顔面を貫く。ブフォ! と煌めくイエローの閃光の先にヒカルが現れた。そして直撃を受けた仮面騎士は顔を抑えながら片膝をついている。メインモニターに映される顔に会場に動揺が広がり、蘭子は戦慄する。

「おおっとー! 今まで謎とされていた仮面騎士選手の素顔の半分が明らかになりました……」

 久しぶりにまともに仕事をしたパン子も焦りを隠せず声が上ずる。白夜を肩に担ぐヒカルはフッと笑い、

「仮面の半分しか消滅しなかったか。あの態勢からよく回避したよ、メイサ……」

 仮面騎士の正体はメイサだった。

 半分になる般若の面を抑え、丸見えの左半分の顔でヒカルに対して笑う。

 その余裕に不快を感じ、過去のメイサと今のメイサの変化を問う。

「シャドウの時代とは大違いだな。まるで牙を抜かれた虎だ」

「そうね。確かにあの頃の月下の暗部を請け負っていた時の私より弱くなったかもしれない。けど、それも悪くないと思っている。人を殺すだけが強さじゃないのを竜史から教わった」

 瞬間、目の前にメイサを囲む竜史や蘭子が浮かぶ。

 それはやがて増えていき、月下学園の生徒達に広がっていく。

 暗闇で独り孤立するヒカルはその光景を自身の剣で真っ二つにするように叫んだ。

「人を殺さないで強さが得られるかあぁーっ!」

 僅かに仮面騎士が圧され始める。

 スピードで勝るヒカルの連激にバランスを崩しメイサの直感が金髪の魔女の瞳の揺らめきを感じた。

(――そろそろ来るわね)

 瞬間、ヒカルの両眼が怪しく輝く。般若の仮面の奥を見据えて月の形になる眼球が回転を始めた。

「朧――」

 グニャリ……とメイサの思考も立ち位置も、空間から存在が歪んで行き一点に収束しやがて戻って行く。朧が決まった事で仮面騎士の敗北かと思う会場をその一撃が黙らせる。

「仮面ボンバー!」

 閃光のような突きが繰り出されヒカルの腹部を突き刺す。

「あああっ!」

 半身になって完全な串刺しを避け、蹴りを繰り出すが回避される。おびただしい血が流れる左腹部を抑え、

「まさか耐えた……の?」

「痛みと引き換えにだけどね」

 左腕に深々と刺されているナイフを抜き準備していたハンカチで止血をする。

「用意周到。朧の対策を相当練っていたわね」

「朧は一日にそう何度も使えない。精神的に弱い者なら複数を同時に思考を幻影世界に落とせても、意思の強い者には効く事はない」

「そうだ。お前のような奴に使えるのは一日に三度が限度。それ以上使おうとした瞬間、技は発動せずに私自身が月によって裁かれ死ぬ」

「やはりね。つまり後二回耐えれば貴方は正攻法で戦うしかないという事」

「私が正攻法で戦えないとでも思ってるのか? 貴様は早めに地獄を見せる必要があるな……コード・ビャクヤノヨルニツキハカガヤク」

 頭上の満月からルナティックが注ぎ込まれ、その途方もないオーラはヒカルの能力を三倍まで引き上げる。それを見るメイサは気持ちが圧されそうになりながらも耐える。

(月の加護がある限りヒカルは私より強い。けど、そのおごりが命取りになるのよ。強化コードが切れた時の消耗具合はヘルズドラゴン戦で証明されているわ。このまま朧だけを繰り出されれば私は負ける事は無い)

 二人は早く勝負を決したがるように激烈な技の応酬になる。

 その激突の最中、スッ……と左手で仮面に触れられ仮面は黄色いオーラと共に消滅していき、メイサの左目とヒカルの左目は互いを見つめ合う。

 そして、二回目の朧も同様にメイサは耐えた。狼狽するヒカルはもう自分の剣の実力で勝つ以外に方法は無い。勝利を確信するメイサは右腕のナイフを抜き、ハンカチで止血をした。

「後、一回だな」

「そうだが、仮面が消滅した以上、もう隠せるものはないぞ?」

「強がりを!」

 そして、ヒカルは最後の朧を使い賭けに出た。

「朧――」

 集中力が切れた頭に激痛が走り武舞台に倒れそうになるが耐えた。

 真っ正面から朧を受けたメイサも頭を抑えて精神を乗っ取られまいともがいている。

 今度は左の太ももに刺さるナイフを抜いてよろめくヒカルに投げる。それは顔面に刺さる寸前で受け止められる。素手で受け止められるナイフから血が伝い、ポタポタッと武舞台に血が落ちる。

「もうこれで朧は使えない。これでお前と面と面をゆっくり合わせられるよ」

「――そうかよ」

 ブオオオッ! と覇翔月破を放たれ仮面ボンバーで対応し競り勝った。

 そしてヒカルは武舞台に倒れ、仮面騎士であるメイサが勝利した。




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