1/2
プロローグ
2005年 7月4日
『・・・お前、此処で何してる』
ふと、そんな声が耳に入った。
時間はもう夜、夏に入った季節の夜は冷え込む。
よく開けたこの町外れの公園でずっと地面を見つめていた。声は私の正面から。
けど私はその言葉に顔を上げない、きっと私の事では無い。
そのままじっと階段の上で蹲る。
『だからお前だよ、そこのワンピースを着た少女』
なんと服装は一緒だったらしい、こんな所に私以外の女性が居たのか。
そんな事を考えながらぼーっと石段を見つめる
すると足音が近づいてきた。
『何度も呼んでいるだろう、聞こえないのか?』
足音が止まった、声は真上。そこでやっと感づいた。
私? もしかして私を呼んでいるのだろうか?
少しだけ目線を上げる。
見えたのは真っ黒な脚だった。
少しずつ顔を上げていく。
黒い脚、腰、胸、そして顔。
まるで全身に漆黒を纏ったような容姿、引き締まった体がそのまま映し出され顔には紅く光る双眼
暗闇に紅いルビーを2つ置いたように暗く深い。
極めつけは頭部に付いた”一本角”
「亜人・・・・」
私は呟く様に口にした。