100円分の後悔
トイレを連呼して品はありませんが、読んでもらえると嬉しいです。
目の前に100円玉が落ちている。
電車の乗り換えに失敗してできた、10分の空き時間に入った駅のトイレの個室。
人目はない。
この100円玉を拾い、あと何十円か出せばジュースを買うことができるだろう。コンビニのスイーツやパンでもいい。
小腹が空いているからパンにしようか。
さぁ拾おう。
洋式トイレだから和式トイレの床よりはマシだろう。
手も洗えばいい。
拾わなかったら月末に後悔する。
拾っても寝る前に自分の器の小ささに後悔するだろうが。
同じ後悔をするのなら、拾って100円分得をして後悔する方がいい。
さっさと拾ってトイレから出てホームに向かわないと、駆け込み乗車をするはめになるかもしれない。
だからちっぽけなプライドよ、引っ込んでてくれ。
プライドじゃ何も買えないが、100円玉は買えるのだ。
さぁ拾おう、よし拾おう。
少し屈んで手を伸ばせば届くのだ。
自分が拾わなくても次に入った人が見つけて拾うだろうから、落とし主の元に戻りはしない。落とし主は落としたことにも気づかない可能性も高い。
だから自分が得をしてもいいだろう?
誰でもする事なのだから、100円玉を拾って自分の物にしたことを誰かに話しても、尊敬はされないが軽蔑されることもない。
躊躇う事なんてない。
何食わぬ顔で拾えばいい。
早く拾わないと電車が来てしまう。
あ、電車。
もう10分考える時間ができたようだ。
読んで下さり、ありがとうございました。