表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/55

スコップ第二十九回 【キャラ造形あれこれ。】

今回紹介の作品。

最近遠ざかってた日間ランキングを、某掲示板の紹介読んで漁りに行った作品。


『ドラグーン』わい氏(n9264bj)


これ、主人公の造形がすごくいい! 主人公だけでお勧め決定した作品ですよ。(笑

ちょっと、いわゆる「うっすらバカ?」(笑

悟空タイプって難しいんだけど、いい感じに苛つくバカ素直さで。馬鹿な子ほど可愛い、という。

こういう魅力のある主人公が書けるってのが、おそらくはこの作者さんの強みになってくでしょう。

だいたいが主人公が魅力的な作品っての自体が、ほとんどないもの。

文章力、構成力、説得力、すべてを脇に置いてもいいくらいに、主人公が魅力あるって作品ね。

なろうだと珍しいね、才能ある人だと思う。「人物像がすべてを相殺する」ということをよく編集者が言う訳だが、それの実物だ。

紹介した中では、鴉野兄貴氏の作品、「すぱ☆ろぼ!」の主人公も同タイプ。他の一切の不備を黙らせる魅力ある主人公。


魅力ってのは、強さでもなければ、優しさでもない、賢さでもない、作ろうと思って作ることが難しいモノの一つで。書き手の才能に左右される第一のものだ。

強さの表現、賢さの表現、そういうものはある程度セオリーというか、マニュアルが存在するけど、魅力を表現するマニュアルってのはないからね。


ただ、この作品の主人公の魅力は、「どんな要素が入ってきてもビクともしない程じゃない」から、注意が必要かなと思う。今はちょうどバランスがいい。ストーリーも、他の人物像も、この主人公の・・というより、この作品の魅力を打ち消す要素がないからいい。

惜しいなと思うのは、ちゃんと、「この舞台はゲームが元である」と描写が入れられてあるのに、その設定説明を入れるタイミングを逸している場面が多々あること。

ちょっと、ウザくなることを恐れて、作者さんが足踏みしてる印象を受けた。それを書くことで、「ゲーム設定が悪いんやー」という、物語の根幹原因、悪い意味のご都合展開への説得力がつくんだけど。

元がゲームだから、主人公の努力が水泡に還されてしまう、というストレスね。次元が高いとこにあるストレスだから、解決が難しいことにも説得力があるし、無茶な展開で主人公が不利におかれるのも納得できる。なのに、文章でそれを説明しきれてないから、モヤッとする。


ちょっと気になってるのは、「あまりにも嫌な奴が出てきて、相殺する」という悪手。これが来たら、切ろうかなと思う。読者の中には、そういう嫌な野郎が大好きな人がいて、そういうヤツがコテンパンに叩きのめされるのを期待して読む人が居るんだが、そういう望みはごく少数だから、そういう要望は多くの人が持ってるなんて勘違いしないようにね。(笑

大悪党なんてのは、出なきゃ出ないで、誰も気にしない、その程度のファクターだ。


多く、商業でもそんな大悪党ってのは中盤以降、主人公の魅力がしっかり固まって、揺るがなくなってからしか登場しないもんだし。早くに出しても作品を殺されてしまうよ。(笑

そのくらい、本来は「誰もが嫌うような嫌な奴」というのは、出すのが怖いギャンブル要素だということだ。

出せば必ず読者の注意を引く。けれど、よほど巧く処理しないと誰にも満足してもらえない、厄介なキャラだ。扱いの難しい危険素材ということだ。(笑

主人公に大した魅力もないうちにぶつければ、間違いなく主人公は評価で殺されてしまう。無責任な読者に唆されて、せっかくの魅力ある主人公を殺してしまう危険性を危惧する。ズバリで言うと、対比で出てくるアレイストがあれ以上嫌な奴になったら、わたしは切る、という意味だね。(笑


主人公の魅力ってのは、大部分が周囲との人間関係によって成り立つから、周囲の人間が三流なら煽りを受けて主人公も底の知れた人間にしかならない、という法則を覚えておいてほしい。

主人公を魅力的に光らせたいなら、周囲も魅力的に書かねば、そも反射する光が乏しいというか。


覚えておくべきは、「マジョリティは沈黙し、マイノリティは声がデカい。」ということだ。


昔、近所にコーヒーショップが開店した。

その主人は良い人で、客の意見を取り入れて店をよくしようと努力してた。

けれど、わたしから言わせりゃ、その方法論は間違いだよ。

ほどなくその店は潰れてしまった。客足がどんどん遠のいてしまったからね。

原因は解かってるんだ、一部の常連が、「コーヒーは炭焼きに限るよ、」と言ったせいなんだ。

炭焼きコーヒーは、確かに通向けではある。

けれど、多くの一般的な客層にはまるで受けない商品だ。

今じゃ置いてる店のほうが少ないくらいで、だから常連さんは置いてほしいと思ったんだろう。

コーヒーの味が解かる人ほど、炭焼きを推す傾向もある。

その店はレギュラーコーヒーを炭焼き風の、少し上等のものに変えた。

それは一部の常連には受けたけど、大多数の、物言わぬライト層には受けなかった。

常連だけで商売にはならず、客足が遠のいたせいでその店は潰れた。


わたし? わたしも炭焼きコーヒーは苦手だったから、その店には行かなくなったよ。

雰囲気も良かったし、何度、炭焼きなんぞ流行らないから止めろ、と言おうと思ったか知れない。

潰れたと知った時には、無責任な常連客を憎く感じたものだった。


悪手を教える時には「コーヒー好きなら炭焼きだ、」で済んでしまうんだ、けれど、それを覆すには色んなことを説明しなきゃいけない、現状のライト層には受けないこと、ライト層ってのはコーヒー通ほどコーヒー好きではないこと、客の大多数はライト層であること、商売である以上、ライト層のほうが通より優先されねばならないこと・・・。


日本人は癖のないレギュラーコーヒーが好きだから、などと詭弁を使う。

そうじゃない、コーヒーの味が解かるほど深く通じていない人が大半で、多数決で自分たちが正しいと勘違いしているだけだ。数が多いということは、正否とは何の関係もない。



わたしがなろうを批評する時に、必ず注釈で「プロを目指すのでなければ」と付けるのはそのせいだ。

プロは、ライト層を相手にしなきゃいけない。なろうで人気を得たいと思う人もそう。

この、ライト層というのは、コーヒー好きでいうなら、「味もくそも解からん連中」ということだ。

だが、この層に受けなくては、人気には繋がらない。

この、味もくそも解からん連中をターゲットにするからこそ、何をすれば人気に繋がるかというものは、どこぞの偉い学者とかが懸命に考えてもなかなか答えが出ないんだよなぁ。(笑

法則性というものが見当たらないから。(法則ってのは固定の観念があってこそなんで、意思のないところには偶発性しかないとは思う)

だから彼らは「流動層」と呼ばれ、大多数でありながら、政治家などの票数では無視される傾向にあるんだよ。理屈じゃないから最初から工作する数に入れてないんだろうよ、政治家なんかはさ。(笑


だから、普通、開発者というものは、どんなジャンルでも流動層は無視して製品開発をするんだよ。

最初は「いいモノを作ろう」から入る。最初からウケは狙わない。それはオマケだ、多くは。

まずは品質のいいもので、リピーターから狙う。

そういう品物を欲しいと思っている人を考えて作る。それから、デザインなどで他の層の呼び込みを狙う。最初から流動層を狙うビジネスなど、失敗しか生まない。

大企業が業績不振に陥るのは、多くが固定層では利益が上がらず、流動層を狙わねばならないからだよ。

資本主義は「前回よりも多く売る」を前提にする考えだから。横ばいは許されないからね。

今は固定層のパイが無くなり、流動層の奪い合いになっているから、コイツ等の気分しだいで赤字になる会社と黒字になる会社のシーソーゲームになってるだけ。


マジョリティが沈黙するのは、ようするにさ、語れるだけの論理を持たないからだよ。

「なんで好きなの?」と聞かれたら「んー・・・なんとなく?」てなもんだ。それが流動層。人気があるかどうかでしか価値を測れない。他人任せの価値観。これいいよ、と言われたらいいような気がしてくる人たちだ。

モノを作る人間は、最初は、そういう人たちを相手にしちゃダメだよ。(笑

「楽しんで貰えるモノを作る」その相手を明確にイメージしないと、ぐだぐだになる、と言いたかったわけだ。「誰に」楽しんでもらうか、だ。

なんとなく、なんて価値観の連中を楽しませるのが至難の業だってくらいは解かるだろう?(笑


ぐだぐだになったんでそろそろ終わる。(笑


追記。



わたしは常々、「わたしの作品は誰かの為になんぞ作ってはいない、」と言っている。

それは散々に考えてきて、一周回って辿り着いた結論だ。

言葉の通りに受け取るのは、思慮が浅い。(嘲

人間、思っていることの全てをさらけ出して表現などしない、繕うし、隠すし、騙そうとする。

隠していても、作品ってのは長い文章で思考を垂れ流す行為だから、自然と滲み出る。

そういうところでこそ、相手を判断すべきだと思う。

特にエッセイだの感想文だの手紙だのは、装飾され、誤魔化され、エエ恰好しいの最たるものにすぎない。こんなもので判断する奴はマヌケだ。


「言って貰えるうちが華」という言葉がある。

注意というものは、相手のことを気になっているうちにしかしないものだ。

どうでもいいと思ったら、どんなに酷かろうが何も言いはしない。陰で嗤うだけだ。

言ってもらえるというのは、ある意味では幸せなことなんだけどねぇ・・・。

無視されるよりはいいことだ、というのもあるが、ネットは相乗りが激しくて、リンチになる。

自分の意見を言いたい気持ちは解かるけど、他の人も言ってることを繰り返すことに何の意味があるのかね。それこそが、最大の問題点だと思うよ。

擁護でも批判でも、同じ言葉を何度も何度も繰り返す、色んな人間が何度も。

一つ一つの意見の中身なんかじゃない、何度も繰り返される、それが作者を追い詰める原因だ。

まったく。バカの一つ覚えみたいによー・・・。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ