スコップ第二十七回 ランカー作品ですまぬぅ。
本日の紹介作品は、ランカー作ですだよ。
『死神を食べた少女』
ラノベっぽい題名で敬遠してたんだが、読んでみたら秀逸な戦記ものだったので、参考作品としてお勧め。本格戦記は敷居が高いという人に特にお勧め。中世舞台の戦争モノです。
惜しむらくは、主人公のシェラがちょっと・・・わたし的にはツボじゃなかった。まぁ、これについては個人的な趣味ってのがあるから、人それぞれなんだけども。でも、主人公を置いといても、他の登場人物が非常に生き生きと書かれていて、戦争の雰囲気も重すぎず軽すぎずで負担がかからなくていいし、文章技量がしっかりしていて読みやすい。
なにより、説得力ある文体は読んでる途中でツッコミ入れずに済む!(笑
(あれってものすごい興醒めなんだよな、『んなワケあるか、(笑 』とか思いつつ世界に入り込めるわけがないだろ。)
主人公の人物像が好みに合わなくても読んでみて欲しい作品。なるほど出版されるわけだわな、という感じの作品でした。なろうの主流読者層がこれ読んでるってのが信じられんのよ。少々硬い文体と思うのに。(笑
ほんと、なろうの読者って解からんわー。(笑
さてさて、そういうわけで(どういうわけだ)、今回のテーマは「主人公」でいきませう。(笑
主人公って、なんのかんの言っても自分に似たタイプか、憧れてる理想像に近いタイプになると思うんだ。それを外したところを狙って書いてもエタの元。好きな人物のタイプってのがそれぞれにあるはずでさ。書きやすいタイプってのもあると思うよ。うん。
今でも更新待ってる作品で、『暗黒大陸』あるんだが、これは主人公が気に入ってお気に入りにしてる。ああいうハングリーなタイプ、大好きなんだよね。(笑
ハングリーにも二種類あって、解かりやすく言えば、漫画『BLEACH』の剣八とグリムジョー。剣八さんは、本文でどう表現されていようと種類的には『武士的ハングリー』で、グリムジョーが『ケモノ的ハングリー』と思われ。
で、暗黒大陸の主人公も、ケモノ的ハングリーなタイプで大いに好みでありました。(笑
武士的ハングリーってので超有名なのは、子連れ狼の拝一刀ですな。冥府魔道に生きる者。ほら、剣八がモロ当てはまるだろ。たけし監督のアウトロー系作品を貫いてるのも、この系統ですかね。
ノイトラになると、ちょっと中間だなと思う。そのせいで、あんだけ深い設定があるのにイマイチ魅力に還元されなかったなー、と。キャラのイメージがブレると損なんだよね、ハングリー系って。
研ぎ澄まされた刃の輝きってのは、余計なもんがないのがいい。とんがってる方が煌めく。武士系なら武士系、ケモノ系ならケモノ系で突っ切ってるほうがいいって事で。
ハングリータイプ1つとっても、混ぜちゃいけない2タイプってことで、他のタイプとの組み合わせの難しさってヤツなわけですな。なんていうか、混ぜることで深みを増す反面、二つの液体を混ぜるような濁りも出来てしまう。
そこら辺のバランスが難しい。キャラ造りの難しさというか。ま、作って書いてるうちは、まだ本当に生きたキャラなんぞ作れていないんだろうけどね。勝手に動き出して初めて生き生きとして見えてくる。
悪党が主人公っての、少数ながら需要を聞く。
けど、そういう性格の人が好みでもなけりゃ、書けないと思うね。映画になった『闇金うしじま君』なんか、あの主人公はわたしには書けないタイプだ。
人情家の逆をいくタイプで、冷血非道な振る舞いもやってのける、そういう描写を魅力的に書ける自信はないな。そりゃ、そういう振る舞い自体は書けるよ? けど、それでも魅力的ってんじゃなきゃ、そのキャラはただの嫌な野郎だ。ハングリー系でも悪党系でも、魅力的に書けないのなら、いっそ書かないほうがリスクがない。
いや、もともとそういう役回りってんでもないなら、そんなキャラにしたらキャラが可哀そうだ。
長いこと物書きから遠ざかっていて、どうにも書き方を忘れているなって思ってたんだが、最近ようやく、なにが違和感なのかが解かってきて。(笑
ぜんぜん人物が魅力的に動いてないってことだった。生きて動き出すってのはその前段階ね。
ようやく、今書いてる作品の主人公が納得のいく魅力を発揮し始めてくれたけど。もうじき書くことになる悪党系のキャラを魅力的に書いてやるためにも、もっと作品に愛着もってかないとね。(笑
読者の為になんて書いてない。
作品の中に生きているキャラの為に書いてる。
生まれた以上は可愛い我が子だからね。
愛情が増してくると、殺せなくなるのがネックだけどねー。(笑
(だから、キャラが自ら死に場所決めてカッコよく死んでいくのを泣きながら描写すんだよ。)
エタってしまった作品はどうなんだって聞くか?
あれは、別にエタってない。自分の中には作品の全体がある。いつか書くけど、後回しってだけだ。ただ、読者をないがしろに、読んでもらいたいという思いが希薄なだけなんだ。(笑
まぁ、独りでもお気に入り登録されてると、申し訳ないと思っちゃったりはするけど。
本来、自分の頭の中で映像にまでなってるストーリーだよ? もう完結してるんだ。書いて残すかどうしようかってだけの話なんだよ。これ以上はない面白さって作品だ、無理して形にしなくても満足出来てるよ。(笑
たった一人の、客席に座ってる人がさ、気になるじゃん。待っててくれるなら特に。
その人のために、早く書いてあげなきゃな、と思うんだよ。どうせなら、自分の感じた通りの感動をそのまま伝えたいと思うから、だから小説が上手に書きたいと思うんだ。
けど、今書いてる作品だって待っててくれるその作品に負けないくらい面白いから、待つあいだ、こっちも読んでほしいなって思ってる。ぜんぶ面白いからぜんぶ読んでって思ってるよ。どれか、何かは進めてる。
自分の作品、面白くないと思ったらそりゃ作者としておしまいだよ。(笑
面白いはずなのに、表現しきれてないだけだよ。技量が追いついてないんだ。ヘタクソなんだ。文章が不味いだけなんだよ。展開の見せ方が悪い。構成が間違ってんだ。だって、頭の中じゃあんなに面白かったじゃないか。(笑
楽しんで書いてるよ。お相伴ってわけじゃないけど、一緒に楽しんでくれたら嬉しい。
楽しめないって人は、それは残念、さよおなら。(笑
追記。
あなたはコンサート会場へ向かっているよ。発表会があるんだ。
その道すがら、大勢の人とすれ違うだろう?
その連中をいちいち気にかけるべきだと思うか?
気にするべきは、聞く態勢を整えて聞く為に待ってる、客席に座ってる人たちだけだろう?
プロを目指すというのは、商品を売らなきゃならない。
店の前を通り過ぎていこうとする人をなんとか呼び込まなきゃならない。
商品を作る気構えと、発表作を作る気構えは、まるで別のものだよ。
前者であれば、ポイントの伸びなど気にしなくていい。
減ることだけ気にして、去った人を考えるべきだ。
彼は吟味した上で去ったのだから、素通りした大量の顔無しより大事だ。
いつも感想をくれる熱烈なファンが沈黙した時こそ落ち込むべきだ。
前に人物か物語かって話をしたけど、こんなもんは両輪で、どっちに先に力を注ぐかって話だったんだよね。書いてて気づいたけど。
人物をより生かしてやるために物語を錬る。先に物語という枠をこしらえるか、人を整形してしまうか、の違いかも知れない。条件を与えて、それをどう受け止めてくか、その人間を書きたいというか。
うーん。とっちらかったまま終わる。(笑