番外・書き方講座その3「矛盾をプチプチ」
SF祭りファイナルに向けて執筆中。
苦しくて、ちょこっと逃避がてらにこっちを更新入れておこうかな~なんて。てへ。
えー。まず、わたしが作品スコップで「切る」基準にしているものをね。
それは「矛盾」だ。それも、「設定の矛盾」。多少のことならガタガタ言わないんだが、どーにも基本的な事柄だとか物語の根幹を為す設定だとかに大きな矛盾があると、駄目なんだ。
小さな矛盾が積み重なって、じーわじーわと来て、切ってしまう場合と。
この矛盾はあかんやろー?て、決定的矛盾が無視されてて、切ってしまう場合と。
アーミーものを扱う作品では、終末世界観というのがあり。一度人類文明が滅びて、瓦礫の世界が舞台で戦闘やってるとかの作品だとかね。あれでものすごく気になるのは、「核」の扱いだ。
現在、使用済み燃料だけで地球が何十回と破滅する量が保管されているわけだが、で、その管理はもちろん電子制御で文明あったればこそなんだが。
無視かい?(笑
まぁ、そこは細かい点だからいいよ。だけど、激しい戦闘が長く続いている、半年以上続けるだけでも相応の補給が必要になるわけで、文明滅びて街さえ回復できず、人々が生きるか死ぬかって状況で、安定供給出来てると考えるのが「矛盾」なんだよ。
そんな状況下で、先が見えない不安でどんより暗い顔してんじゃなくて、陽気にジョークとか飛ばして、女の尻見て鼻の下のばしてるのが「矛盾」なんだよ。(笑
わたしは、メカの性能だの素材がどうのの説明なんか聞きたくない。それが無理なく供給できるのか、供給には燃料と資材と人的資源と、人的資源を支える社会が必要だが、その関連はどうなってるかの説明が聞きたいんだ。
アーマードスーツだのロボット兵器だの、戦闘機だの。ものが大きくなればなるほど、バックボーンも相応の規模が必要になるのは、当たり前に誰もが考える話だ。終末世界を舞台にして、それらはどこから調達するつもりだ?(笑
も一つ、空気もな。
同じ地球人同士がそんな状況下でも戦うなんて、ちょっと説明が欲しいな。敵が問答無用のクリーチャーだの宇宙人の侵略だのとすれば、文明終わってんのに戦闘終了しない理由にはなるが。そうなると、今度は空気の問題が出る。「雰囲気」ね。
文明崩壊してるってことは、もう普通に考えて絶望的な状況って意味だろ。どんよりと暗い空気が流れる作品ってのが、リアリティじゃないの。ラノベの書き方が似合う題材とは思わないね。
無理やりラノベにすると、あちこちで破たんして「矛盾」だらけになる。
絶望的な状況で、女の尻見て鼻の下のばす主人公。なに?その緊張感のカケラもない主人公。(笑
阿呆として書くならまぁ、アリかなとは思うけどね。
と、いうわけで、SF書くのに必要なのは、整合性だと思うわけだ。
舞台設定、先にあげた核なんかの事柄のミスよりも気になるのが、人物関係や性格における矛盾。
ハーレムの、誰も選ばないという残酷さを、鈍感と誤魔化す書き方だとかね。善良な主人公は、そもそもハーレムなんぞ作らんだろ?というかね。プロの書く話なら、そもそもハーレム主人公は善良とは書かなくて優柔不断と書くよね。小心で優柔不断、根は真面目だから悪には立ち向かう。そういう感じに書かれることが多いと思うが。優しい性格って事にしようとしても、それは単なる優柔不断だから誤魔化しきれないよ。
優柔不断とは逆の果敢なタイプなら真面目を削って斜に構えた皮肉屋だったり、そも女の敵として書いてると思う。
善良かつ心優しく果敢なハーレム主人公が成り立つためには、和気あいあいとした女性陣の関係性が必須になる。主人公は女たちの共通財産、みたいなね。女たちに首輪嵌められた情けない男と取られない書き方ってのは、矛盾のない設定である「小心者主人公」やら「プレイボーイ主人公」と同程度に、魅力的に書くのが困難になるよ。どうしたって、ヒロインたちも打算的に見えるだろうし。普通の小心者主人公ならヒロインに同情できるが、和気あいあいの場合は両者どっちも嫌われるという危険性が高い。
商業でよく見るのは、メインが決まってて他の娘は片思いってパターンだよな。で、これで他のに手を出したら作品は台無しになる、と。(笑
これはもう、普通の恋愛物の延長だし。恋のライバル出現、のイベントが多数あって最終回まで決定掛けないけど概ねメインは動かない、てカタチでしょ。王道だよね。
それを欲張って、「誠実」「男らしい」「どの女も大事にする」とかやるから矛盾する。
ずーっと、徹頭徹尾、主人公はメインに惚れてるよ、て描写を匂わせとけばOKなのに。
魅力的に書こうとして、矛盾した要素をくっつけて不都合を削れば、それが「矛盾した主人公設定」となって、なんとも嘘くさい薄っぺらい人間を作ってしまうんだ。
そんな主人公を据えた作品が面白いと思える読者の感覚が理解不能だ。(笑
ストーリーと切り離そうと思ってみたって、主人公設定一つ満足に組めない作者のストーリーが、ご都合でないなんてほとんど期待できない。予想通りに、主人公同様、うすっぺらい。
世界観そのものが破たんしてて何が起きるか解からないという状態が、面白いと勘違いしてるだけだろう? その面白さはギャグ漫画に通じる面白さなんだろう? 読者に対してそう聞きたいよ。
『作者がオケといってるんだから、そういうものと理解しとけばいい』そういう感性で読んでる。妥協というか、思考放棄というか、ね。あーだこーだ考えるのはしんどいし、もやもやするし、楽しくもないからな。気持ちは解かるよ、うん。(苦笑
けど、そういう読み方に慣れると、自分の作品の矛盾が見えなくなるぜー?(笑
テンプレという材料を寄せ集めると、一見、細かい矛盾は見えずらい。けど、大元の、世界観規模の矛盾は作者の技量がモロに出る。テンプレだけを100%で作品作るなんて無理で、自前の素材をどこかに必ず入れなきゃいけないからな。
その自前の素材がテンプレ群の中で矛盾を生み出してチグハグに浮いているって作品が多いんだよ。矛盾を潰しながらストーリーを組み立てていけば、テンプレなんざ、ほとんどそのままでは使えないはずなんだけど、面倒だからかそのまま押し通すもんだから。(笑
面倒くさいんだろうなー、と思ってるよ。1から10まで自前の素材を用意するのは。
テンプレ素材を削ったり変形させたり、パーツとして整形するだけのことなのにねぇ。二次創作と同じ感覚で書いてるのかな。元々あるストーリーの別視点からの物語、て感じだよね。だから似たような作品ばかりなのかとかも思う。
矛盾がないか、設定同士がきちんと関連して一本に繋がってるか、いちいち点検してまわるのは確かに面倒なんだけどもね。それが小説書くってことだと思うんだ。
その作者が発している、純粋な創作の喜びだけしか感じられない。楽しそう、て空気は読んでても気分いいから別にいいけどね。(笑
小説に限らず、作品ってのは労力かけた分だけ価値が出ると思うんだよね。史料とか当たってから書いた作品は、やっぱ調べただけの土台の上に成り立つから凄い迫力があるしね。
手間を惜しんだらダメだな、て。自戒を込めて。(苦笑