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番外・書き方講座のようなこと。

最近、他人様の作品の感想欄とかを見ていると、細かい部分に注意を促す感想を書く方が多いと感じる。

その反面で、そういう細かい指摘をウザいと感じているような、擁護の感想も多い。

読書のスタンスの違いだろう、ニュアンスで誤魔化されてしまうような読み方をしているのが擁護の人で、一般書を読みなれている人が注文の多い読者さんだ。


例えば「森」の描写をしようとする。

これ、読者からしたら、大して重要なものじゃない。その場所が森の中だという事を伝えるために、ちょっと雰囲気をもって森の描写を丁寧に書くわけだが、例えば森と一口に言っても、色々とあるんだ。

読者も、書き手に回ってみれば解かるんだが、書く側は、わりと気を使って描写するのだ、木だけに。(ごめん、これが言いたかったわけじゃない)


洋の東西で森を構成する木々の種類はまるで違う。

東西でも、気候でガラリと変化するし、ジャングルも森なら杉の密集したようなのでも森だ。

色々と呼び名も違ったりするが、いちいち調べるのは面倒なので、割愛する。けだし、作中に登場させる場合には下調べで、どういう環境なのかは調べたほうがいい。

ヨーロッパ、と一口に言っても、南部のイタリアやら中東に近い国々は、砂漠に近い分、木々の構成が違い、土地によっては石灰分が多いということで、特殊な環境だったりする。

海もそう、例えば日本国一つでも、日本海側と太平洋側では色合いがまるで違う。波が違う。

読者を想定する際に、年齢層もさることながら、「日本人である」という点を忘れている事が多い。

馴染みのない特殊な環境を想定した場合は、描写には気を配らないといけない。ただ、それをどの程度、描写するのかというところは、頭を悩ませる点だ。


中華を舞台とする場合なら、四川あたりの山水画をイメージとして誘導したり、あと、有効なのは竹林の描写。割と中華はメジャーなので、描きやすい。

西洋を舞台とする場合、普通に想定するイメージは恐らくはディズニーだろう。アリスとか、プーさんとか。ディズニーのディティールは凄まじい拘りなので、信頼がおける。

大いに利用させてもらえばいい。

日本ではない海外の風景描写というのは、かように、色々と工夫が必要になる。

ジャングルと言えば、間違いなくアフリカのジャングルを想定してもらえるし、オアシスと言えば、砂漠のアレを浮かべてもらえる。

VRMMOと言えば、無条件でそれぞれの思うオンラインゲームの舞台を描いてもらえるので、楽は楽だろう。ただ、本当にゲームをやり込んでいる層は、逆にどのゲームを思い浮かべればいいのか、情報不足過ぎて読む気が起きないというリスクもあるので、手抜きはほどほどにな。(笑


人の手が入っている里山と、入ってない自然の山とでは、これもまるで様相が違う。

よくコマーシャルで見るだろう、神社などの境内とか敷地の森、鎮守の森、ああいうのが里山のイメージに近い。人の手が入っていれば、普通に歩ける森だが、自然の森というのは、雑木林とか見たことないだろうか、鉈なりなんなり、掻き分けて踏み入らねばならないほど、鬱蒼として軽装で侵入などしたら、あちこち怪我だらけになるような森だ。

現代はこのような里山は、人手不足でほとんど残されていないが、中世の頃となれば世界でも普通にそこいらじゅうの山は里山だったのだ。

薪が生活の中にあった時代ならば、当然、薪を得るために周辺の山々はすべて人が入って里山になっていたということだ。だから、ディズニーを想定して描けば間違いがない。


今まで書いたようなことは、薀蓄だ。トリビアだ。へーへーへーとあの間抜けな音が響くのかも知れないが、それをいちいち書いていたら、ストーリーがまったく進まない。(笑

だが、リアリティやらハッタリを効かせようと思うなら、こういう雑学は沢山仕入れていたほうがいい。

物語の説得力は、こういう細かいところから積み上がっていくからだ。

森の描写など、読み手はそれこそ一瞬で通り過ぎる文章だろう。だが、そこが日本にあるような鬱蒼とした昼なお暗い森なのか、西洋のキャンプ地のような明るい陽射し降り注ぐ緑の森なのか、瞬時に判断してもらえるだけの描写が、「出来るか出来ないか」は作者の技量に必要な部分だ。

描写が出来るということは、裏打ちされた知識があるということだから、お間違いなく。

小説を沢山読むことも大事だろうが、バラエティ番組でも何でも、こういうトリビアは向こうで勝手に映り込んでくれるわけで、情報はアンテナを伸ばして掴んでいく訓練が必要だ。


書き足りねば世界観がぼんやりするし、書きすぎればスピード感が失われる。

どこまで書くか、どこを厚くしてどこを薄くするか、背景描写一つとっても、難しいものだ。主人公が降り立った場所で、主人公が自由に闊歩して山歩きの知識も必要ないというのなら、その山は人の手入れが為されている、あるいは、人が来ないなら人に準ずる生き物が生活圏を持っているか、それなりの設定を考えておいた方がいい。

わたしもゴブリン山を設定したが、あれにはまだ描かれていない秘密が隠されている。布石だ。

けれど、そういった布石に気を取られて、他の部分で疎かになっている設定やらはあると思うので、そういう矛盾点がないかということには、割と戦々恐々してたりするんだ。(笑


もちろん、本筋のストーリーに、この森があまり関係ないのであれば、これらの事柄は逆に無視してしまって構わない。思わせぶりに描写を濃くしてしまうのは、感心しない。伏線のような描き方をするなら、きちんと伏線として利用しようぜ。・・・これまた、どこまで書けば伏線と認識されるのか、ということで、頭の痛い問題は尽きない。(笑

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