第十八回スコップ
うん。わたしは天邪鬼なので、お約束やテンプレなら、時間の無駄だから読まなくてもいいじゃん、て思ってしまって食指が動かないタイプだ。
別にお約束やテンプレをバカにするつもりはない、だが、「この先はどうなるんだ?」という興味でいうと、お約束にもテンプレにも期待するところがないものだから、心のどこかに読む必要無しという判断が出来てしまって、つい、「これ読む時間に一行でも書けるよなぁ、」と思ってしまってクリック出来ない。推測が出来る展開を、わざわざ読むのは時間が勿体ない、という感覚があって困る。
これだから、昔から読書は苦手なんだ。
テンプレートの、ちょっとした要素は違えども、大まかな流れは同じようなストーリーというのは、本当に食指が動かない。同じようなら読む必要ないじゃん、と感じるせいだ。
暇つぶしに、という人の感覚も解からない。
暇つぶしなら、自分の作品を一行なり書きたいものだし、それさえ気が乗らないなら、いっそ頭をまるで使う必要のないMMOのレベル上げ作業でもした方が有意義だと思ってしまう。
なにせ、食指が動かないまま、ウロウロするだけで何も得るものがないんだから、レベル上がるだけゲームの方がマシと考えてしまう。
好みの問題と言ってしまえば即終了する話だが。
ちょっと、久々に小説が読みたいと思って本屋へ行ってきたんだ。
SFか、ハードボイルドで、時間を忘れて読みふけるようなものがいい、と思って探してみたものの、現実は惨いもので、SFのコーナーは存在自体が無くなっており、ハードボイルドも馴染めない社会派政治劇しかなかった。会社とかを舞台にして、ってのは、アレはわたしはハードボイルドとは認めていないんだ・・・。血と硝煙の匂いがない、会社の経営陣や政治の裏が主な舞台なんて好きじゃない。
かといって、時代小説もまた、違うんだよなぁ・・・。社会派よりは好きだけどね。
龍が如くは好きでも、特命係長や島耕作には入れ込めない、まぁ、そんな感じだ。
本屋に並ぶハードボイルドらしき小説はみな、特命であり島課長であり・・・そんなわけで、しょんぼりと、適当に手にとったカミュ『異邦人』なんか買って帰った。
読んだ気がするんだが、さっぱり内容を覚えてなかったからね。
SFのコーナーがファンタジーに駆逐されていたのは、きっとアレだ、「もう一緒くたでいいじゃーん?」みたいな意思表示。
超伝導だのなんだの、SFかいなと思うタイトルも多かった。
うん、一緒でもいいのか。だから日本だけ後退してくんだろ、とか文句は置いておこう。
そんな感じに、今週のお勧めなろう作品。
『 殺すつもりはなかったのです』(Nコード:N4918BA)yagitch氏
秀逸な短編。あまりなろうでは見ないテーマと舞台装置。そんで雰囲気。
行開けがないんで、ページ開いた瞬間は身構えるかもだが、するする読めるから無問題。
現代舞台の刑事もの。推理というほど固まってはいないから推理物とは言えない。
けれど、何とも言えない味のある作風で、他の作品もちょこっと読ませてもらったが、作者さん独特の作風が確立されている感じで安心感は抜群にある。
(追加情報:セメントの犬、200文字の秀逸作品。紅茶噴きかけた。)
『 ミミック・コミュニケーション』(Nコード:N8707Z)ごぼふ氏
これは、もー、魂わしづかみされたー。すごいインパクトで、なろうを開けなかった時間帯でも、心の片隅にずっと居座られたよ。続きが気になってねー。
けど、1ページの掴みというか、事件が気になりすぎて、その後からしばらく続く日常描写と人物紹介パートをまるっとすっ飛ばしてしまった。
おかげで二章から、『誰?』て状態で読み進めたものの、ストーリーが強烈なのでぜんぜん気にならなかった。
つづきが楽しみです。
(追加情報:完結! すげーや、やっぱ。なんかしばらく言葉が出なかったね。お疲れ様でしたー。二章から読んで、引き込まれてから一章読むとベスト。)
追記:
設定やら人物に特色がなくたっていい。けれど、ストーリーは、幾らでも突拍子のない展開に出来るはずなんだ、それこそが想像力であって、だから、わたしがいうテンプレというのは、例えば主人公が異世界で神様の声が聞こえるなり会うなりで力を得て、王様に会って世界がどーのと、そういう流れを指しているんだ。飛ばされた先がいきなり異世界のジャングルの中で、おサルの大将になったっていいだろ。
そこらに転がってる誰かのマネだったら、読みたかないんだよ、てことなんだ。