ここらでまた番外。
魔法世界での奴隷制の有り様ってのを考えてみた。
まず、奴隷は商品であって、これが一生もので家に置いておくものという考えは、おかしいよな。
高価な商品というなら、たぶん、車みたいなもんだ。
せいぜい2~3年で転売して、歳取ったり、障害抱えたり、病気になったりで、価値が落ちてって。
最終的には怪しい魔道実験のモルモットとか、剣闘士のエキシビジョン用とか。値段も二束三文にまで落ちていく。
性奴隷とかでも、最終は安い売春窟辺りへ売られるなり、見目がいいなら子供を産ませる専門奴隷にされたり、というところだろう。
商品だもの。
人間は車と違って愛着がどーの、とか言い出しそうだが、人間は慣れる。社会的にそれが普通という価値観になれば、普通に、愛着を持って長く置いておくというご主人の方が変人扱いされる。
アメリカの南北戦争にしても、北部は奴隷があまり必要のない土地だったから、「奴隷かわいそう、」なんて考えが生まれただけで、南部は奴隷労働力が必需品だったからそんな余裕は産まれなかった。
そも、奴隷開放は口実に過ぎなかった。南部の豪農が邪魔だっただけだし。人間はそんなに偉いもんじゃない。
片や、炭鉱なり煙突夫なりの、危険職に関しては、冒険者という非正規労働者に回るんだろう。
煙突掃除は子供のように体の小さい者にしか出来なかった上に、煤で肺をやられて短命だったという。
鉱山も、落盤などの事故が多く、これも粉塵で肺をやられる危険職だ。
まぁ、魔法があるという事を考えれば、煙突掃除はディズニーの「魔法使いの弟子」方式で、ブラシに魔法をかけて自動でやらせてた換算のが高い。
けど、鉱山は自動でやらせるにゃ高度な技術になるから、人の手だろう。
現実でも、危険手当というか、人が嫌がる仕事は報酬が高いものだが。為り手が少ないから。
危険に応じて報酬が上がるもんだが、ここにモンスターが登場するなら、相場が変わってくるよな。
モンスター退治のほうが華がある上に危険度も高いのだから、炭鉱の危険度など「たかが知れてる」という価値観になるだろう。そうしたら、普通の街の一般職に比べれば段違いの危険さにも関わらず、報酬としては同程度、という嫌な仕事になるだろう。
けど、モンスター退治の求人と鉱山の求人と、働き口としては1:10くらいには違ってくるわな。
したら、下部の冒険者なんかは嫌でも鉱山のほうへ行くしかない、ということで、人材確保は出来る。
わざわざ奴隷を買う必要はない。保障も先行投資もいらん、使い捨ての冒険者で十分だ。
モンスターと戦うわけじゃないんだから、とかの屁理屈で足元を見られて安く使われる、ということ。
奴隷にしても、冒険者にしても、最底辺の貧民の受け皿という性質に違いはない。
戦争捕虜は奴隷にしたし、これはタダだ。戦利品の一端ともなるから、国は推奨する理由になる。
奴隷制度を廃止するメリットとデメリット。
敵国の人間を捕まえたら自由に売り買いしてよろしい、というのは、自腹で報酬出すより安く兵士の士気を上げるネタになる。
反面、平時には犯罪者のシノギの、いい稼ぎ口になってしまう。誘拐して売りさばけば、元はタダだ。
誘拐から放火とか強殺とか、凶悪犯罪の呼び水になって、国民の不満につながったり。
奴隷のメリットが、そのまま冒険者でも代替え可能となれば、奴隷制度は意味がなくなり、先行投資のリスクとあいまって、適当な理由をつけて潰されるだろう。
不要だということだから。
それこそ、宗教が人気取りに利用して、「奴隷いくない!」とか言って。止めよう運動とかするんだ。
奴隷と冒険者は連動するね。
まず、人の嫌がる仕事が先にありけり、で。
これを片付けさせるための職種として、奴隷が相応しいか冒険者が相応しいか。どっちが安く上がるかという問題で考えるといいわけだ。
奴隷は一切の権利がないから、問題は冒険者。いや、冒険者ギルドか。
ここがどれだけの権限を持ってて、冒険者が社会でどの程度の数居るか、それと、国には兵士が居ると思うんで、こことの兼ね合いだわな。
ぶっちゃけ、モンスター退治は兵隊さんがやるんじゃね?ということ。
それをしない理由として、兵士より冒険者使う、使い捨て案件ないと理屈が通らない、と。
とにかくモンスターがうじゃうじゃしてる、だから兵士ではキリがない、という理屈。雑多な、兵士が出るまでもないけど一般人だと嫌がる、という隙間産業だわな。
大群でいるなら文句なしで兵隊が出る。けど、数匹単位で、あちこちで出る、なら冒険者に云えとなる。
スズメバチの巣をなんとかしてください!とか。
モンハンだと、ここらへんは職業としてきっちり線引きがされている、という説明があった。
モンスター退治は、ハンターの専門だ。とかのセリフ。
そうすると、危険職や一時限りの雑多な用事は冒険者。
農奴とか、現在の機械化に置き換わる部分は奴隷、という感じで別れるんじゃないかな。
なんてことをつらつらと考えていた。