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絶対法則幼女-ノアちゃんは気に食わない連中を全員〝分からせます〟!!-  作者: 東山スバル
シーズン1 ノア・コーバは、最強レベルの魔術師と引き分けた

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3

「まあ、私は魔術使えないんだけどさ!」


 仏頂面のノアと、笑みを絶やさないパーラは対照的だが、不思議と悪い気分ではない。


「んでさぁ、ノアちゃんは前世でなんの仕事してたの?」

「仕事?」

「学生でも良いんだけどね! 役所で多分聞かれるさぁ!」

「仕事か、そうだな……」


 ノア・コーバとは、マフィアである。ノアという名前すら偽名だ。

 ただ、ここで馬鹿正直に反社会勢力に属していました、と答える者はいない。

 なので、ノアは適当な嘘をつく。


「実業家だ」


 まあ、前世でもそう答えていたから、嘘はついていない。


「実業家!? かっけえ!! どんな事業してたの!?」

「販売とか流通だな。あと、金融業とか」


 麻薬の販売と武器の流通、闇金である。


「へえー!! あ、バス来たよ!」

「ああ、乗ろうか……。そういえば、カネ持っていないぞ?」

「それくらい私が払うよ! お姉さんに任せなさい!」

「ああ、どうも」


 まさか高校生くらいの少女に奢られる日が来るとは、思ってもなかった。人生不思議なことばかりだ。


 *


 どうにも、パーラはおしゃべりだ。しかも会話に中身がない。一言二言返していくだけでも、疲れてしまう。


「でさぁ! 私の友だちがね!」

「もう着いたんじゃないか? ほら」


 アンゲルスの公用語は英語のようだ。また、フランス語やスペイン語もバスの電光掲示板に記されている。そうなると、この国はイギリスやフランス、あるいはそれに準ずる国の近くにあるのだろう。どおりで言語が通じるわけだ。

 というわけで、ノアたちはバスから降りる。運賃は……3メニー? まあ、後々分かる話ではある。


「ありがとう」


 ノアは素直に礼を言う。


「どういたしまして!!」


 邪気のない笑みを、パーラは浮かべる。


(考えてみりゃ、いつぶりだろうな。無邪気な笑みを向けられるのは)

「んー? どしたの?」

「いや、なんでもないよ」


 ノア・コーバは、恐るべきマフィアだった。数多の敵を、無数のクズどもを、その手で殺めてきた。いつしかヒトは、彼を〝21世紀最大の怪物〟と呼ぶようになって、どんな者からも恐怖を抱かれてきた。

 だが、いまとなれば、微塵も知らない街に転生してしまった無力な幼女。なにも積み重ねていない、ただの銀髪碧眼の幼女である。


(もしかしたら、やり直せるかもしれないな。あの修羅のような世界から、抜け出せるかもしれない)


 ノアは、フッと鼻で笑う。あれだけ殺してきた悪党が、異世界に来たからやり直せる? そんな酔狂な話、あってたまるか。

 そのとき、


「あっ!!」


 パーラのカバンが、バイクに乗ったギャングらしき者たちに盗まれた。そのバイクはスピード違反上等でどこかへ駆け抜けていく。


「……ははッ」


 ノアは乾いた笑い声をあげ、その赤いバイクに手のひらを向けた。たったそれだけの動作で、そのオートバイは半強制的に停止する。そして、ノアは地面を蹴り、泥棒との間合いを一瞬で狭めた。


「おい。ヒトのもの奪ったら泥棒だって、学校で習わなかったか?」

「なんだァ!? クソガキが!!」

「小物臭せェセリフ吐くなよ。ほら、バッグを返せ」

「あァ!? オマエ、この街じゃ奪うほうが正義なんだよ!!」

「そうかよ」


 ノアは、パーラのバッグを奪った後部座席の男の首を掴んだ。彼の顔は凄まじい勢いでピンク色に染まっていく。


「なら、オマエから奪い返すまでだ」


 さすがに危険だと判断したのか、


「分かった! 返せば良いんだろ!?」


 運転席の男が、渋々パーラのカバンをノアに渡した。


「それで良いんだ」


 ノアは手を離し、悠々と歩道へ戻ってパーラのもとへ向かう。

 パーラは驚愕していた。そんな少女の持ち物を、ノアは手渡す。


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