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絶対法則幼女-ノアちゃんは気に食わない連中を全員〝分からせます〟!!-  作者: 東山スバル
シーズン3 ノア・コーバは、新たな出会いを広げていった

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28 アイドルデビュー

 アンゲルス連邦共和国・大統領選挙及び中央議会の解散。やや涼しくなってきた9月のアンゲルスは、新たな大統領候補の話題でもちきりだった。

 まず、先立ってリベラル派の最大野党・自由労働党がクール・レイノルズ氏の出馬を容認。元・王族の出馬に、アンゲルス市民3500万人は沸き立つ。


「クール・レイノルズといえば、15年くらい前の壮麗祭で──」

「クール・ブラザーズの代表取締役か……。でも、実業家が労働党から出るなんて、勝てる確証はあるのか──」

「労働党の支持者は、伝統的に資本家が嫌いだ。政権奪取に、政治家らしい政治家を立ててくると思ったが──」


 選挙が行われるのは半年後。しかし、政治の世界に現れた若き新星は、ただ新聞やテレビで報道されているだけでも、異様な存在感を増していく。なにせ、現大統領・サラトガが70歳なのに、クールはことしで35歳の若者。年齢がちょうど半分である。それに、労働党が認可したという事実は票田を確実に動かす。党員・支持者は4年ぶりの労働党政権のため、否応なくクールに投票せざるを得ないからだ。


 そんな情勢下で、クール・レイノルズ候補が選んだ初の演説先は──まるで嫌がらせのように、サラトガ現大統領の〝シマ〟であるサウスAs市で──それもサラトガとの物理的な距離がさほどない場所で行われた。


「お父様、緊張は?」

「すると思うか?」

「だろうな。さて、私は〝マスコット〟してくるよ」


 クールと義理の親子だと認められたノア・コーバは、そのボブヘアくらいの銀髪をサラッとなびかせながら、愛らしい顔を活かした呼び込みと暗躍を始める。


(当たり前だが、サラトガの票田はこの地域に詰まっている。そもそも保守党が強い地域だからな。しかし、サラトガのやり方に疑念を抱いている一般市民は多い。ここは……)


 ノアは少し咳払いをして、選挙カーのすぐそばに設置された……握手会用のブースに向かう。当然、やることはただの握手会ではない。いや、握手はするが、しっかり意味がある。なにもロリコンを呼び寄せたいわけではない。


「ノアちゃんが来られましたー!! こちらですー!! 握手会を行いますー!」

「はーい!! みんな、遊びに来たよ☆」


 ざわざわ、とヒトが賑やかになる。老若男女が足を止め、オタク風な男から(見た目だけは)同い年くらいの女の子まで、しっかり握手を交わしていく。


「ノアたーん!!」オタク相手に顔をしかめない。

「ノアちゃん!! 可愛い~!」投票権のない幼女にも。

「しっかりしてるわねぇ」当然、伝統的な労働党支持者的な老婆へも。


 ノアは、奇抜なようでしっかりした選挙計画を立てていた。まず、自由労働党のスタイルに自分たちを合わせる必要があると踏み、ノアとクールはあくまでも〝自由で、豊かな〟対策に終始していた。


 SNSを使った発信は大前提。主要のSNSはすべて網羅してある。そこに、ノアの愛らしい見た目を活かして、そういった前例のないアンゲルスにアイドル文化を持ち込んだ。マイクひとつでヒトに火をつけるという点においては、アイドルも政治家も大した違いはない……というノアの提案だった。


 サラトガの地盤でより多くのヒトを呼び込むなんて、動画型SNSでのフォロワーを爆発的に増やしたノアにしかできないことだ。この見た目なら、支持者はダンスしているだけで増えていく。


 こうして呼び込んだ客に、クールの演説をぶつける。なにせ、アイドル・ノアの物販店がクールの選挙カーのすぐ近くにあるため、熱心なファンであればあるほど、否応なしにクールの演説を聴く羽目になる。


 すべて、最初から仕組んである。あとは、クールの演説で皆踊るだけだ。

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