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精霊の森は今日もやかましい。  作者: 森の民
本編
5/20

電光掲示板は口ほどに顔文字を語る4

ゲートエリアには多くの騎士達が集まっていた。

特に異世界への出張が多い近衛騎士団や第1騎士団の者達が多い。ごく少数ではあるが魔導科学に携わる第7騎士団の者達もいた。彼らの頭頂部にはアデルと同様に50インチサイズの電光掲示板が浮かんでいる。

そしてざわつくエリア内を靴音を高く響かせて歩き回る影が1つ。


「ハルトか、遅い!」


王妃改め女王アルべリア・レーヌ・エスペリトゥヴェルト。

エスペリトゥヴェルトの王妃でありながら、全く国政が出来ない国王の代わりに国の全てを一手に担う、民の全員が認める女王陛下である。ちなみに女王陛下という呼び名は正しくないのだが、エスペリトゥヴェルトの住人達の多くは彼女を『王妃様』や『妃殿下』ではなく『女王陛下』と呼ぶ。さもありなん。病床にあった先代女王の願いとはいえ、ゆるやかに滅びかけていた精霊の森を国として立て直し、今現在の状態まで復活させたのが彼女である。彼女が国を作ったも同然なら彼女が王で間違いはないのだ。


「も、申し訳ありません、師父!」


ついでに言うならばラインハルトの呼ぶ通り『彼女』は本来『彼』である。これには事情があるのだが小説を1本書けるくらいに長くなるので割愛しよう。とにかくアルべリアは苛立っていた。…が。


「申し訳ございません、女王陛下!我々は一度国王陛下の執務室に向かっていたのですが、その途…(;´・ω・)」

「待て。待て、そこのうさぎ。階級と名前を言ってみろ。」

「はい!第一王女殿下リヒトクローネ様付き近衛専属騎士、アーデルトロイ・リッターシルト。ここに帰参しました!(`・ω・)」


いやラインハルトに抱きかかえられたうさぎが何か言ってる。やたらキリッとして。この愉快な絵面には流石にアルベリアも毒気を抜かれた。


「ずいぶん可愛い姿となったものだ。どれ…」

「ひ、妃殿下!?(;゜Д゜)」


アデルは慌てるがアルべリアは何事もなかったかのようにラインハルトの腕からアデルを抱き上げた。まっ平らで絶壁な胸にもふもふが触れる。特に嬉しくもないシチュエーションである。


「い、いけません!陛下がいらっしゃるのにお戯れを!(*ノωノ)」

「すまないがうさぎを抱き上げるのは不貞行為に値しないな。以前からフレミッシュジャイアントのようだと思っていたが…」

「確か陛下の元いた世界で1番大きなうさぎの種類でしたよね?」

「ああ最大級の個体は大体このくらいのサイズらしいな。」

「どうかお放しください妃殿下…。(´;ω;)」


そこに電光掲示板を背負った品のいい中年男性と若者がやってきた。


「やあアデル。ずいぶんと可愛らしくなったものだ。(*'ω'*)」

「失礼ですよ、父う…いえ、シャルジェ団長。(;´・ω・)」


声をかけてきたのはエスペリトゥヴェルトの正統な貴族であるリッター4公の1公『何をも屠る王の剣』リッターシュヴェルト公爵家の現当主、第1騎士団団長シャルジュぺルセ・リッターシュヴェルト公爵、約5200歳である。またその後ろには彼の息子であり第1騎士団副団長のアルシェフィロ・リッターシュヴェルト公爵令息、約2500歳も控えている。

そして残念な事に護衛騎士団のツートップの頭頂部にも電光掲示板が光り輝いていた。


「ああ…お二人ともなんということでしょう!(´;ω;)」

「我々に同情している場合ではないよ、アデル。これだけの騒ぎを起こしたと思われるハインリッヒ様は、どうやら執務室にはいらっしゃらないようだ。"(-""-)"」

「えっ、シャイニーリリィのBlu-rayボックスは…」

「ハルト殿それは…いえ、確かにハインリッヒ様なら執務室の巨大モニターに張り付きかねませんが…。(;´・ω・)」

「アルス副団長も被害に遭われたんですね。うわ…被害甚大じゃないですか?」

「ああ。近衛騎士団はともかく護衛騎士団の最高責任者とその補佐は流石にな…仕事に支障が出るかもしれない。…確認したいことがある。アデル、お前は何時に帰ってきた?」

「私ですか?14:40分ですが…。」

「やっぱりな、原因はハインリッヒで間違いない。いいか、よく聞け。最初に被害が出たのが15:05分。その直前の記録がお前達だ。さらにその直前の記録である13:44分に帰ってきた者達に異変は無かった。アデルとハインリッヒより前に帰ってきた者達に被害は出ていない。」

「私が…私がすぐに気づいていれば…。(´;ω;)」

「そう気にするな。アデルのせいではないだろう?…とりあえず話を聞いてくれ。私達の頭頂部に存在している電光掲示板からは魔力を感知できない。それで陛下と共にゲートを調べてみたんだよ。(´-ω-)」


ちなみにシャルジェの言う『陛下』は当然アルべリアの方である。それはともかくラインハルト達がゲートの魔力を精査してみると、どのゲートにも特殊な魔力を感知できた。


「げっ…全てのゲートに仕組まれてる!?」

「ええ。どれも我々の頭上に電光掲示板が設置されるよう仕組まれているようです。(;´・ω・)」

「悪辣だなあ…とっとと部屋に戻ってシャイニーリリィ見ててくれれば良かったんですけどね…。あ、陛下。ハインリッヒ様アキハバラでテレビ買ったみたいですよ。ちょうど『電光掲示板と同じサイズ』のやつ。」


もはやこれで下手人は確定だと全員が頭を抱える中、連絡用の音楽サイレンが鳴り響く。


『あー、てすてす。つながったかなー?つながってるな、よし!みんなー!みんなの王様ハインリッヒだよー!今から電光掲示板のすっごい説明しちゃうぞ!!みんな聞いてね☆』


能天気な声にアルべリアの額に青筋が浮かぶ。


「…あいつは何か?アレか?常に私を苛つかせていないと気がすまないのか?」

「落ち着いてください、陛下。(´-ω-)」

「…確かに何か判明するかもしれんからな…。よし、総員待機!!」


アルべリアの号令でどよめいていたエリア内は静まり返った。

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