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精霊の森は今日もやかましい。  作者: 森の民
本編
4/19

電光掲示板は口ほどに顔文字を語る3

うさぎになったアデルを抱き上げたフィンの体は電光掲示板をすり抜けている。

その様子を確認したラインハルトは首をかしげた。


「魔法を使って画面をすり抜けてるわけじゃないから…この電光掲示板は視覚的に存在しているが物理的には存在していない…とかか?」

「ですよね。物理的に存在してたら顔面ぶつけてますよ。というか、疑問が一つ解けました。」

「と、いうと?」

「アデルさん、一回下ろしますよ。それと動かないでください。」

「あ、ああ…。(;´・ω・)」


フィンはアデルを地面に下ろしたあとで距離を取り、次いでアデルを指さした。


「ほら、うさぎの影しかない。愉快な状況のせいでさっきまで気づきませんでしたけど、この電光掲示板…影がないんですよ。アデルさんが気づかなかったのって電光掲示板の影が自分に覆いかぶさってなかったからかなって。」

「そうか。このでかさなら大きい帽子みたいなもんだし…後ろを振り向かなくても見えた影で気づくよな。影が無かったからアデルは気づけなかった、か。…まあ常に足元の影を見て歩いてるわけでもないからな。」

「ええ、あいにくと僕達はアデルさんと対面していたのですぐに電光掲示板に気づけましたけど。」

「…そういえばアデルのことは騒ぎになってないな。アデル、誰かとすれ違ったりとかしなかったか?」

「…していないな。私が帰ってきてから二人に会うまでの間は誰ともすれ違ってはいない。(;´・ω・)」


困り顔の巨大うさぎにうっかり笑いそうになるが笑い事ではない。


「そうか。それで大騒ぎになってないんだな。…しかし俺は何を勘違いしてたんだろうな。でかい電光掲示板が浮いてるって思ってたんだよ。」

「僕もですよ。でも物質が浮かんでるんじゃなくて、視覚情報があるだけなら…これって魔法ですかね?この掲示板から魔力とか感知できないんですけど。」

「いや魔力が感知できたとして、どんな魔法なんだよ…。」

「ちょっとわかりませんね…。アデルさんへの嫌がらせならもっと色々やり方あると思うんですけど。」

「私はそんなに誰かに嫌われているのだろうか…。(´;ω;)」

「そこまでしょぼくれるなって。大体お前を嫌いな奴がいたなら面と向かってお前に言うだろ?」

「まあ僕達は言わないで我慢するとか黙って嫌がらせするとか出来ないですからね。強いて言うならイタズラがバレないように顔に出さないようにする、が限界ですし。ハルトさんみたいに別種族から精霊になった人達は別ですけど。」

「…コソコソ嫌がらせとか隠し事をしないのはいいが、好き勝手な言動はたまには我慢してくれと思う事もあるな…みんな欲望に忠実すぎだろ…。」

「だって我慢できないんですもん。生来が単純で能天気で楽天的で短慮、それが精霊です。僕も含めてね。…それを考えるとハルトさんはともかくアデルさんはよく色々と我慢できますね?」

「鍛錬であれ日常であれ騎士には忍耐も必要だからね。リヒトクローネ様や妃殿下の顔に泥を塗るような真似は出来ないさ。(`・ω・)」

「でかいうさぎが何か言ってますね。」

「私は…泥を…塗ってしまったのだろうか…?(´;ω;)」

「やめろよフィン。アデルも落ち込んでる場合じゃないだろ?」

「それもそうだな。一刻も早く陛下にお会いして、手がかりを掴まねば…(;´・ω・)」

「そういえば普通に執務室に向かってましたけどハインリッヒ様って本当に執務室にいるんでしょうかね?」

「えっ(;゜Д゜)」

「あっ」


それもそうだ。ハインリッヒは自由気ままの代表選手と言い出したくなるくらい好き勝手に行動する。基本的に執務室にいるとはいえ連絡もせずにふらっとどこかへ出かけてしまうというのもザラだった。


「アデル、ハインリッヒ…様とアキハバラに行ったんだよな?」

「ああ、今回はアキハバラ以外には行っていないな。(;´・ω・)」

「アキハバラで何か買ったか?」

「ええと…確か最初にアニメショップで『ミラクルマジック☆シャイニーリリィ第4期Blu-rayボックス』を買われていて…(;´・ω・)」

「これは執務室にいるな。」

「ええ、よほどの事態にならない限り執務室で見てますね。」

「そんな断言しなくとも…いや、たぶん視聴しておられるだろうが…(;○ω○)」


ハインリッヒはアニメが好きだ。性格的にも我慢できるはずがない。これでハインリッヒが執務室にいるかどうかの懸念は無くなった。さて全員の懸念が無くなったのはいいが、ここで新たな疑問が出てきた。


「それだけで買い物を終わらせるかな…。そうだ、他には?他には何か買わなかったか?」

「確か電気街の家電量販店で…最新型のテレビを1つ買われていた。(;´・ω・)」

「テレビ…テレビだって?」

「テレビですか…サイズわかります?」

「確か50インチだったな。(;´・ω・)」


「「それだ!!」」

「えっ(;゜Д゜)」


「えっじゃないだろ!?お前の後ろのそれ明らかに50インチくらいなんだよ!!」

「これもう下手人ハインリッヒ様で間違いないじゃないですか。うわー…何考えてるんだあの人…。」

「し、しかし、まだ陛下と決まったわけでは…。(;´・ω・)」

「だってテレビと電光掲示板のサイズがたぶん一緒ですし。フェアエンデルングを使えばテレビを電光掲示板にするのも簡単でしょう?そもそも何を考えれば人の頭頂部に電光掲示板をつけようという発想になるかわかりませんけど。」

「そもそも何が目的か…か。」


次の瞬間、全員が身に着けている守護のピアスが光る。通信だ。


『騎士団総員に告ぐ、頭頂部に電光掲示板があるか確認せよ。あったものは今すぐゲートエリアに来るように!!』


思わず3人は顔を見合わせる。

怒りのこもった伝令は王妃アルべリアからのものだった。

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